大好きな婚約者に冷たくされています、無視され死にそうなのですが婚約者の可愛いが止まりません
※お知らせ
「口付け」は作者の癖により「口接け」になっています、誤字報告されても絶対に直しませんから!見逃していただけるとありがたいです
ルーレンディアが積極的に進めている交通安全対策は取り組まなければならないが後回しにされていたことだった。
ルーレンディアに協力すると素晴らしさが見えてくると同時に好かれていないことにも気付いた。
ルーレンディアは俺様の名前を呼ばない。
ルーレンディアは俺様の贈り物を一切、身に着けない。
ルーレンディアは俺様と視線が合うと視線を逸らす。
ルーレンディアは俺様が差し出す手を取らない。
(クソッ、婚約式で口接けしておけばよかった)
婚約式の時は初恋の勘違いをしていた時期なのでギリギリまで唇を寄せて額に口接けするフリをしただけだ。
後悔しても正々堂々、口接けしてもいい機会は失ってしまい望んでも距離を取られるのでどうにもならない。
あれから一年、俺様の誕生日パーティーなのでザボン公爵家に迎えに来たのだが、ルーレンディアが俺様が差し出した手を無視して馬車に乗った。
「(馬車に乗る際の支えとして差し出した手くらい取ってくれてもいいと思う)……はぁ」
「殿下、そんなに嫌なのでしたら私は馬で行ってもよろしいのですよ」
俺様のルーレンディアに対する邪険な行いの後ろめたさによる後悔の溜め息が誤解されたようでルーレンディアが無表情で話しかけてきた。
「……これ以上、良からぬ噂を広げるのは好ましくない」
愛しいルーレンディアが王宮に来る希少な日なのに別々に行くなどあり得ない、そして良からぬ噂は覆したい。
「左様でございますか」
凛とした口調も高貴さを感じさせる美しい俺様の婚約者であるルーレンディア♡絞り出した言い訳が通用したらしく、ルーレンディアは窓の外を見ているから思う存分ルーレンディアを眺められる。
(それにしても俺様は婚約者だし対面ではなくルーレンディアの隣に座りたい、権利はある筈だ。自然に隣に座るために今度は二人乗り用の馬車で迎えに来るべきなのだろうか。いや駄目だ、そんな狭い馬車にルーレンディアを乗せられない)
我が婚約者への悩みは尽きない。
悩みはもう一つあった、イルカのキーホルダーである。
他の女に差し出した心は回収しなければならない、ケジメは着けるべきなのだ。
そして俺様は自分の気持ちを伝えるべく何かしら理由を付けてルーレンディアの元に会いに行った。
今日も美しいルーレンディアは何を着ても似合っている、流行遅れであってもルーレンディアの美貌で遜色なく見える。
それにしてもルーレンディアの誕生日に俺様が贈ったサファイアのイヤリングを身につけてくれてもいいのではなかろうか。
「ザボン公爵令嬢、今日は俺様と共に最新医療の視察に……って、どこに行くのだッ」
「見てお分かりでしょう、孤児院と貧困街と託児所です。」
「そんなことは他に任せて婚約者として同行しろ、医師との歓談が目的だがザボン公爵令嬢も特別に昼食に招待してやってもいいぞ」
勿論、事前に席を予約してルーレンディアとの食事に他は入れずに謝罪と愛の告白をする予定なのだが、ルーレンディアに嫌がられないように熟考し練習通りに提案してみた。
「消化不良を起こすような真似はお止めになった方が賢明……私、気付きました、ですから医師が同伴するのですね、素晴らしい対処ですこと。ですが私が根本的に解決して差し上げます、私を同伴せず行かれては?私の昼食は移動する時にいただきますのでご心配には及びませんから。それでは殿下、お互い有意義な一日を過ごしましょう」
護衛が馬を引いて来ると俺様の前を素通りしてルーレンディアは華麗に馬に乗った。
踏み台もなしに見事な乗馬の腕前に二人で遠乗りはどうだろうか、王領や狩場でいい場所がないかと思い描いている間にルーレンディアは出発した。
「待て、コラ!」
叫んでみても見えるのはルーレンディアの背中のみ。
自分の過去の所業のせいでルーレンディアを心底嫌っていると誤解されていることに過去の自分に苛立ちながら研究発表を聞き、食事は食欲がないので持ち帰りにしてもらった。
ルーレンディアとの仲を修復できず終わってしまった昼食を持ち帰るのは腹立たしいし、面倒だったので食事は侍従が新婚なので押し付けることにした。
その侍従は早めに帰って遅刻しやがった。
ルーレンディア帰宅後まで玄関先で待つ。
ザボン公爵夫人から部屋で待つように勧められたが、ルーレンディアが帰宅するまで部屋の窓に張り付くか部屋の中をウロウロするだけなら外でウロウロしながら待っていた方がいい、帰って来た♡
「ザボン公爵令嬢、貴女は弱者の立場を理解できる立派な女性だ……い、いつかの令嬢の無礼な助言も俺様はありがたく思っているからなッ」
「身に余るお言葉をいただき光栄に存じます、殿下」
ルーレンディアが綺麗な礼をして俺様を見送り体勢に入った……理由は察せる、察せるが俺様としてはもう少しルーレンディアと共に過ごしたいのだ。
俺様は興味のない令嬢から積極的に仲を深められるが故に、好きでもない相手からの積極的な性的な誘いがとても迷惑だと知っている。
しかも俺様は公爵令嬢なルーレンディアが断れない地位を持っている、俺様は強要したいわけではない。
(頼むルーレンディア、俺様を誘ってくれ)
俺様が期待して見つめたのが良かったのかルーレンディアが躊躇いながら口を開いた。
「……申し訳ございませんが我がザボン公爵家では事前に申し入れがない場合、夕食にご招待することはできかねます、理由はお察しくださいませ。殿下、御機嫌よう」
俺様は侍従に与えた昼食を取り戻そうかと真剣に迷ったが既に早退した後である、後悔したがもう遅い。
愛想笑いだけで屋敷に消えるルーレンディアを引き止めたくても今まで愛情も示さず邪険に扱ってきた俺様は後ろめたさもある、更にルーレンディアにこれ以上嫌われたくないので緊張して逆に憎まれ口を言ってしまうし、優しくしてやりたくても慣れていないことと恥ずかしさとで上手くいかない。
「クソッ、今日も可愛い」
「当たり前だ」
いつも帰れと言っているのに翌日の仕事を円滑にしようと居座るザボン公爵と違い、ザボン公爵の従者である筈なのに定時に城から帰宅するザボン小公爵から声をかけられた。
ザボン小公爵はルーレンディア第一主義のため過去の失態があるだけではなく、俺様のルーレンディアへの溢れる想いを察しているので近い将来♡ルーレンディアをザボン公爵家から奪い去る俺様へ当たりが強い。
「独り言だが、個人資産を新規参入した商家が持ち込んだ事業の投資に当てたところ思った以上の成果を上げ利益が出た。我は愛しいルーレンディアに何かあってはいけないのでルーレンディアの予定について確かな情報を求めているのだが、善意により情報をもたらしてくれた者に対して総合すればザボン公爵家で年間に栽培している野菜の苗と肥料と家畜の飼料の代金に相当する額を報酬に考えているのだが」
「仕方ない、我が妹の安全に繋がるのなら何でも耐えようではないか、協力してやる」
取引は成立したらしくザボン小公爵がそう言って屋敷を見た。
……ザボン小公爵から無視されている、どうやら農地の苗代等が浮いた分で屋敷のどこを修繕するかの算段をしているようだ。
ザボン小公爵との取引が成立したのだから重大なことを聞かなければならない。
「ザボン小公爵、ルーレンディアの明日の予定について教えて欲しい」
「ルーレンディアは明日、王立図書館に行く予定にしている。届け出されている馬車事故についての資料が王族にしか許可が下りない特別閲覧室にあるらしく入室したがっていたから姿を見せて案内してやれ。ルーレンディアは王族になる必要が生じて囲い込めるし、ルーレンディアは純粋だから裏があるとも思わずに感謝もされるぞ」
「義兄上、本当か?!」
俺様はザボン小公爵に操られているような気がしないでもなかったが、いい情報であり、いい考えなので問題ない???
「殿下は騙されやすいのかもしれませんね」
「ルーレンディアと仲が深まるのなら悪魔に魂を売ってもいい!」
「悪魔か……悪くない」
黒く笑ったザボン小公爵と俺様はこの日から親友になった。ルーレンディアを褒め称える時は話が合う。
結婚♡してからルーレンディアにこの話をするとルーレンディアは疲れた様子で「お兄様」と呟いていた。
ザボン公爵がルーレンディアの心を占めても俺様は夫でザボン公爵は所詮、兄。
俺様は嫉妬などしなかったのだが、夜にルーレンディアから傷心の慰めはしてもらった。
大好きな婚約者に俺色を身に着けてもらいたい~暗躍するお兄様を添えて
殿下、13歳。
「義兄上、ルーレンディアのことなのだが……」
「義兄呼びは止めていただけないでしょうか、不愉快です。ルーが宝石よりも美しいことなら知っておりますので何も言わないで下さい」
「それは我も知っている。そのことではなくてだな、ルーレンディアが我の贈った宝石類を身に着けないのはなぜだ……まさかすぐに売り払って生活費になっているのでは?」
「そうだったら助かりますが我が家にそんな物が贈られてきたことは一度たりともございませんから濡れ衣です」
「な、な、な、何と?!」
「婚約者を蔑ろにしていた殿下が支払いをしていないだけなんじゃないですか?」
「支払ってないわけなかろうがッ!陰謀の匂いがするッ、即刻調査だ!」
(……あの王妃がポンコツだからルーレンディアへの贈り物を夫からの贈り物だと感激して受け取ったのではあるまいな……イヤ、カードの宛名くらい見るだろうし、そこまでポンコツではないだろう)
カードの宛名は「My Love」や「My Dear」的な現地語、不幸にも息子と夫は同じ顔で金髪碧眼、性格も同じで愛する女性へ贈る品は宝石限定、必ず金+青色宝石なので気付かれず。
「なぜ全て母上への贈り物になっているのだッ!」
「(……絶妙に古臭いな)ルーにそぐわない仕立てのせいでしょうかね~、王妃様ですとお似合いです(棒)」
「我からルーレンディアに改めて贈るから持って帰れ」
「仕立て直しを要求します、審美眼のある我が家の生きる宝石であるルーの心には響かないでしょう」
「これは片付けておく。仕立て直したドレスだけでも持って帰れ」
「(嫌な予感がするが)助かります」
時代遅れフリフリドレス到着
「燃やせッ!!」
「分かった、片付けておくッ!」
「そろそろルーレンディアの誕生日だな、贈り物としてこのような宝石はどうだッ!」
「このゴテゴテは何ですか、目も当てられません!専門家に手直しを任されてはいかがでしょうか」
「それはダメだ、ではこれはッ!」
「壊滅的です」
「単なる嫌がらせだろうッ!」
「では言わさせてもらいますが、何十年か前に流行した物だと記憶していますが今となっては持つのも恥ずかしい救いようがない趣味の悪さです」
「他の者に聞く!そこ……の?」
「(真実を告げると不敬になると思い、逃げたな)いませんね」
「パド、見て見てぇ~、陛下からネックレスもらったの♡」
「母上によくお似合いです(いい歳した母上にハートのネックレスとは相変わらず悪趣味だな……ハッ!この仕立て……理解した、いや、させられたぞ)」
「ザボン小公爵、婦女子に贈る品について教えを頼めないだろうか。教授料は新しいカーテンでは?」
「承ります!」
ですがお兄様が頑張って教えても不幸にも殿下のダサデザインは改善されない、努力ではどうにもできない神の采配。
お兄様は16歳になったのでザボン公爵の従者として城に出仕しています。
殿下、14歳。
「今年こそ!どうだ、完璧だろう!」
「殿下、流行が繰り返されるとしてもソレは先取り過ぎて奇抜です。もう専門家に任せるか宝石類を贈るのは諦めてはいかがでしょうか?」
「……分かった、コレも片付けておく」
(なぜ仕立て図の時点で相談しない……作らなければいいのに)




