第4話「接続、突破」
包囲が、さらに狭まる。
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五機。
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一切の乱れなし。
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同時に踏み込んでくる。
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(無理だ……)
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反射的にそう思う。
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操作は遅い。
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敵は速い。
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判断が、そのまま遅れになる。
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「っ……!」
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一機が正面から突っ込んでくる。
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避ける。
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間に合わない。
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衝撃。
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機体が揺れる。
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視界がブレる。
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(ダメだ……間に合わない)
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そのとき。
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“違和感”に気づく。
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敵の動き。
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完璧すぎる。
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無駄がない。
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だが――
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(同じだ)
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すべて、同じ動き。
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同じタイミング。
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同じ判断。
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(パターン……?)
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次の動きを読む。
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右から来る。
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来た。
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今度は、避ける。
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ギリギリでかわす。
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(いける……!)
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思考が、少しだけ早くなる。
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いや――
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“噛み合い始めている”。
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遅れていた操作が、わずかに縮まる。
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敵の一機が、踏み込む。
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(こいつだ)
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狙う。
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だが、射撃は間に合わない。
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距離が近すぎる。
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なら――
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踏み込む。
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自分から。
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「……っ!」
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重い。
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だが、進む。
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左腕に、光が集まる。
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揺れる。
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まだ安定しない。
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(関係ない……!)
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振り抜く。
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敵の動きは読めている。
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同じタイミングで、防御に入る。
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だが。
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“少しだけ早い”。
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刃が、滑り込む。
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関節部。
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装甲の隙間。
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“構造上、弱い場所”。
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そこを――
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断つ。
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一瞬。
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抵抗。
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次の瞬間。
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崩れる。
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敵機の腕が、遅れて落ちる。
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「……っ、やった……?」
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完全ではない。
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だが。
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“壊せる”。
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その確信が、走る。
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残り四機。
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動きが、わずかに変わる。
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包囲の密度が上がる。
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警戒している。
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(学習してる……?)
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さっきまでと違う。
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だが。
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「……いいね」
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口元が、わずかに歪む。
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恐怖は消えていない。
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だが、それ以上に。
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“理解できる”感覚があった。
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(やれる)
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ビッグサイロが、構えを変える。
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さっきよりも、ほんの少しだけ自然に。
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遅れは、まだある。
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重さも、消えていない。
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それでも。
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戦い方は、見え始めていた。
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「――来いよ」
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四機が、同時に動く。
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今度は、迎え撃つ。
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戦闘は、まだ終わらない。
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続く。




