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ビッグサイロ・プロトコル  作者: 山田の
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27/37

第27話「接続、群衆」


---


地下監視室。


SYNC RATEは上昇を続けている。


富野はモニターを睨んでいた。


会場構造図。


変形開始。


観客脳波。


完全同期直前。


警告表示が赤く点滅している。


チーフは無言で紙コップのコーヒーを口へ運ぶ。


もう冷めていた。


富野が低く言う。


「……もう限界です」


チーフはモニターから目を離さない。


「分かってる」


「止めないんですか」


「止められない」


即答だった。


「今配信を切れば、数万人規模で認識崩壊が起きる」


富野の表情が固まる。


チーフは続ける。


「同期した状態で現実認識を遮断すると、人間側が耐えられない」


モニターには観客脳波。


波形が、一つに重なり始めている。


富野が小さく呟く。


「……操縦席になってる」


チーフは静かに頷く。


「会場そのものがな」


その時。


別画面が開く。


外部アクセスログ。


TOBA_H.


富野が振り返る。


「……鳥羽?」


「データはもう流した」


「最初からそのつもりだったんですか」


チーフは数秒黙る。


監視室にライブ音源の低音だけが響く。


「記録は消される」


小さな声。


「毎回な」


政府ログ。


研究ログ。


戦闘記録。


全部欠落する。


最初から存在しなかったみたいに。


チーフは画面を見る。


「だが、外へ出た映像だけは残る」


富野は黙る。


その意味を理解していた。


チーフが紙コップを机へ置く。


「私は研究者だ」


「なら、“観測された事実”だけは残さなきゃならない」


警告音。



---


SYNC RATE : 71%



---


監視室の照明が、一瞬だけ暗くなる。


そして。


会場全体が、脈打った。



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