表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビッグサイロ・プロトコル  作者: 山田の
PR
26/26

第26話「接続、観客」

ペンライトが、揃う。



---


赤。


青。


白。


黄色。


無数だったはずの光が、 完全に同じ速度で動いていた。



---


誰も合わせていない。



---


なのに。



---


ズレがない。



---


歓声も。



---


手拍子も。



---


呼吸さえ。



---


会場全体が、 一つの巨大な生物みたいに脈動していた。



---


勇希の背筋を、 冷たいものが走る。



---


(……おかしい)



---


熱狂している。



---


ライブは成功している。



---


なのに。



---


“自由”が消えていた。



---


腕の端末が震える。



---


SYNC RATE : 67%



---


「っ……!」



---


数値が跳ね上がる。



---


その瞬間。



---


ステージ床へ、 光の線が走る。



---


一本。



---


また一本。



---


会場全域へ広がる。



---


まるで神経だった。



---


観客席。



---


通路。



---


天井。



---


壁。



---


全部が発光する。



---


「なにこれ!?」



---


誰かが笑う。



---


誰かがスマホを向ける。



---


誰かが叫ぶ。



---


だが。



---


誰も逃げない。



---


逃げようとしない。



---


むしろ。



---


熱狂が加速していた。



---


地下監視室。



---


警告音が鳴り止まない。



---


「SYNC RATE急上昇!!」



---


「制御値超えます!」



---


「海外接続側もリンクしています!」



---


研究員達の顔色が変わる。



---


画面上の波形。



---


数万人分の脳波。



---


それが、 一つへ重なり始めていた。



---


政府職員が叫ぶ。



---


「遮断しろ!」



---


「配信を止めろ!!」



---


だが。



---


研究員が震える声で答える。



---


「止まりません……!」



---


「配信元が増殖しています!」



---


「ミラー数、確認不能!」



---


別モニター。



---


SNS。



---


動画サイト。



---


海外配信。



---


全て同時に拡散していく。



---


ライブ映像。



---


だが。



---


映っているものが、人によって違った。



---


「え?」



---


「今、巨大ロボ映ったよな?」



---


「違う、女の子だった」



---


「怪物じゃね?」



---


コメント欄が混線する。



---


認識が一致しない。



---


なのに。



---


熱狂だけは同期していく。



---


チーフが静かに呟く。



---


「……始まったか」



---


モニター中央。



---


新しい表示。



---


■CONNECTING


■PILOT : UNDEFINED



---


研究員が息を呑む。



---


「搭乗者、未確定……?」



---


チーフは首を振る。



---


「違う」



---


低い声。



---


「多すぎて、特定できないんだ」



---


沈黙。



---


その意味を理解した瞬間。



---


全員の顔色が変わる。



---


会場。



---


勇希は周囲を見る。



---


観客達。



---


全員が、 同じ方向を見ていた。



---


ステージ中央。



---


光。



---


巨大な光の柱。



---


そこから、“何か”が生まれている。



---


形が安定しない。



---


ロボット。



---


少女。



---


騎士。



---


怪物。



---


アイドル。



---


次々切り替わる。



---


観客の認識によって、 姿が変わっている。



---


(まずい……!)



---


勇希は理解する。



---


これ。



---


“みんなで見てる”んじゃない。



---


“みんなで作ってる”。



---


その瞬間。



---


天井全体へ、 巨大な文字が浮かぶ。



---


■MAIN SYSTEM ACTIVE


■COGNITIVE SYNCHRONIZATION : ACCEPTED



---


会場が揺れる。



---


いや。



---


揺れたのは現実の方だった。



---


ステージが、 ゆっくりと変形を始める。



---


床が割れる。



---


壁面が展開する。



---


照明タワーが移動する。



---


観客席そのものが、 再構築されていく。



---


誰かが、 小さく呟いた。



---


「……操縦室?」



---


その言葉。



---


その認識。



---


会場全体へ伝播する。



---


次の瞬間。



---


ビッグサイロ全域が、 “操縦席”へ変わった。



---


続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ