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ビッグサイロ・プロトコル  作者: 山田の
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25/26

第25話「開演、熱狂」

午後六時。


ComicMallメインステージ。


照明が落ちる。


数秒の暗転。


その瞬間。


会場全体の歓声が、 一つの波みたいに重なった。


巨大モニターが点灯する。


白。


青。


赤。


高速で切り替わる映像。


電子音。


カウントダウン。


観客達が、一斉にペンライトを掲げる。


「5!」


「4!」


「3!」


「2!」


「1!!」


爆音。


火花。


光。


ステージ中央が開く。


2.5次元アイドルユニットが、 光の中から現れる。


歓声が爆発する。


まるで地面そのものが震えたみたいだった。



---


勇希は、思わず息を呑む。


(……凄)


会場全体が熱を持っている。


知らない人間同士なのに。


全員の感情が、 同じ方向へ流れていた。


ペンライト。


歓声。


コール。


手拍子。


全部が揃っている。


揃いすぎている。


腕の端末が、 また震えた。


ブルッ。


勇希は視線だけ落とす。



---


SYNC RATE : 31%



---


「……上がりすぎだろ」


誰にも聞こえない声。


だが。


その瞬間。


周囲の観客が、 まるで同じタイミングで笑った。


ゾワッ。


背筋が冷える。



---


ステージ裏。


さやかはモニター越しに観客を見ていた。


異常な盛り上がり。


予定を超えている。


同接数。


海外配信。


リアクション。


全部が過去最高。


だが。


スタッフ達のテンションとは逆に、 さやかの表情は硬い。


「SYNC RATEは」


隣のスタッフが即答する。


「現在38%です!」


「安全域です!」


安全。


その言葉が妙に引っかかった。


モニターの向こう。


数万人の観客が、 同じタイミングでペンライトを振る。


その動きが。


まるで、一つの巨大生物みたいに見えた。



---


地下監視室。


警告音。


数値が跳ね上がる。



---


SYNC RATE : 42%



---


研究員が顔色を変える。


「上昇速度が異常です!」


「海外同時視聴側と波形リンクしています!」


「は?」


政府職員が振り返る。


「海外まで同期してるのか!?」


「配信経由です!」


チーフは黙ったまま、 波形を見ている。


画面上の数値が、 人間の脳波とは思えない挙動を始めていた。


会場。


配信。


SNS。


コメント欄。


全てが、一つの巨大な波形へ収束している。


その時。


モニターの片隅に、 新しい表示が現れる。



---


UNDEFINED IMAGE DETECTED



---


空気が止まる。


研究員の声が震える。


「……生成、始まります」



---


ステージ。


ライブは最高潮へ入っていた。


センターのアイドルが、 サビへ入る。


観客全員が叫ぶ。


ジャンプ。


熱狂。


光。


その瞬間だった。


大型モニターの映像が、 一瞬だけズレる。


ノイズ。


歌声が、 半拍だけ遅れる。


観客達がざわつく。


だが演者達は止まらない。


いや。


止まれない。


照明が暴走したみたいに点滅する。


赤。


白。


黒。


そして。


ステージ後方の巨大LEDへ、 “何か”が映る。


最初は輪郭だけだった。


人型。


だが、形が定まらない。


見るたび違う。


少女。


騎士。


怪物。


アイドル。


ロボット。


全部が混ざる。


観客達の歓声が、 一瞬だけ止まる。


その静寂の中。


誰かが呟いた。


「……なんだ、あれ」


その言葉。


その認識。


その瞬間。


“形”が固定される。


巨大スクリーンの奥から。


“それ”が、こちらを見た。



---


SYNC RATE : 51%



---


警告音が鳴り響く。


地下監視室。


研究員が叫ぶ。


「五十超えました!!」


「現実境界、維持できません!」


チーフが立ち上がる。


その顔から、 初めて余裕が消えていた。



---


ステージ上。


巨大スクリーンが、 内側から膨らむ。


映像じゃない。


“向こう側”に何かいる。


観客のスマホが、 一斉に震える。


画面へ、 赤い文字。



---


CONNECT ACCEPTED



---


次の瞬間。


スクリーンが、 破裂した。



---


続く。

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