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決起の狼煙、平家と源氏

午前四つ、比叡の峰から流れ込む雲が陽光を鈍く覆い、京の空気は夜明けとともに重みを増した。北門の激闘を制して一睡も取れぬまま、加藤清光は平家館の土間に腰を下ろす。鎧紐をほどく間もなく、平清盛が戸口に現れて言う。

「白河院方が再編を終えた。源義朝が正面に立つらしい。すぐ来い」

 昨夜、姫を見逃した若武者がいよいよ敵将として現れる。清盛は続けた。

「鳥羽院御所が破られれば都は炎上だ。北門のような奇策ではなく、正面の力比べになる」


 鴨川東岸の岡に源氏の旗が並び、赤備えの兵が整列していた。加藤がたどり着くと、義朝は馬から降り、真っ直ぐこちらへ歩み寄る。

「昨夜は世話になった。だが退くわけにはいかぬ。父の軍を率いる今、剣で語るしか道はない」

「俺は守りたい人のため平家に立つ。それだけだ」

「胸でなく心で道を選ぶと言ったな。その覚悟、確かめよう」


 正午、白河院方が御所南門へ総攻撃を開始。義朝本隊二千、為義別働隊五百が鴨川を渡る。清盛は近衛兵を合流させ、左右から挟撃する策を敷く。加藤は伝令の先頭に立ち、即席の若侍十名を率いた。

「北院通りを封鎖して兵站を切る!」

 瓦礫を越えた瞬間、土壁が崩れ源氏勢が姿を現す。義朝が刀を抜き、加藤は木刀で迎えた。真剣と木刀が衝突し、木目が悲鳴を上げる。

「木刀で真剣に立つか!」

「変態は頑丈なんだよ!」

 十合、二十合、ついに木刀が折れる。だが折れた柄を突き出し、加藤は叫ぶ。

「胸ではなく心を平らかにしてこそ都は守れる!」

 義朝の瞳がわずかに揺れ、そこへ角笛が鳴る。平家の側面隊が為義の別働隊を崩し、白河院方は退却を開始した。義朝は刀を納める。

「今日は引く。だがこの借りは戦で返す」


 夕闇、朱雀門前のかがり火に兵たちの歓声が上がる。火を囲んだ輪の中で清盛が言う。

「保元の乱は終わっていない。明日も剣を握る者がいる。お前はどこに立つのか、よく考えておけ」

 義朝は小さく頷き、斎子姫は柔らかな笑みで言った。

「わらわも平らかな道を信じましょう」

 小夜がそっと加藤の手を握る。

「全部守ると決めたなら、私たちもその道を歩きます」


 加藤は折れた木刀を掲げ、夜空に向かって宣言した。

「平らかなる心に誓う! 平家も源氏も、ぺたも巨も、皆が笑う都をつくる!」

 火花が星と交わり、乱世の空に小さな狼煙を描く。それはまだ灯ったばかりの誓いの火だが、確かに闇を切り裂きはじめていた。

<次回予告>

第16話「揺れる旗、友と敵の境界線」

源為義が大軍を率い、鳥羽院御所へ決死の再突撃! 平家本隊は決戦の構えを取るが、義朝の胸中には葛藤が渦巻く。加藤清光は“ぺたの盟”を掲げ、血塗られた戦場で最後の選択を迫られる――!

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