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~~DSP『ジュエル☆プリンセス♡スクール』・ジュエナリズム大陸・エメラルド城~~
俺が純花の前でずっとやっていたゲーム、それは『ジュエル☆プリンセス♡スクール』、通称(Jプリ)。
このゲームは、三年前に発売されたリアルタイム美少女育成シュミレーションゲーム。
西洋風のお城では、五人のお姫様が一人ずつアップで出迎えるシーン。
ドレスを着て舞踏会、ショッピングのシーン、なぜか洞窟探索も出てくるオープニングシーン。
ザ・ファンタジーと呼ばれる世界が手の中にあった。
内容は、幼い幼女を『宝石の姫』と呼ばれる立派な姫に育てるもの。
姫の設定は宝石界の姫で、名前には宝石の名前がついていたから。
主人公の立ち位置は、姫を教育する教育大臣だ。
教育といっても、やることは主に二つ。
教育やバイトの指示、イベントの選択。
教育でパラメーターを上げていくと、パラメーターに応じてイベントが発生。
イベントを無難にこなして、こなしたイベントの選択肢で好感度というマスクデータの数値が変動。
イベントの中にはエンディングフラグがあって、バトルロワイヤルフラグなんかもあるが、それをこなすことでエンディングが変わる。
もちろんイベントには選択肢もあるし、選択がフラグに大きく影響を及ぼす。
エンディングの種類が二十種類あるので、全部見てみたいという思いでやっていた。
ただ教育コストがあって、リアルの一日で使える教育やバイトが決まっている。
それだけに育成プランの戦略性も問われるゲームだ。
教育期間は三十日、どんなキャラでも三十日しかできない。
そういう時間的に縛りのあるゲームなのだ。
選べるプリンセス候補は、全部で五人。
そんな中で今回の俺は、一人の幼女を選んでいた。
(さてと、七月ももう終わりだから……エンディングに向けてのパラメーターの仕上げ……と)
ゲーム画面の美少女は笑顔を見せていた。だけど美少女にあまり興味はない。
水色の髪で、大きな目をクリっとさせた童顔の少女。
見た目同様に十歳としっかり年齢が書いてあった。
名前は『パール』、名前を変更できるらしいがデフォルトの名前をそのまま使っていた。
俺がゲーム内で与えた『カリスマ』が上がる茶色のコートを小さい体で重たそうに着ていた。
なんとかというイラストレーターが書いたとされるが、それには興味はない。
俺が興味あるのはその隣にあるものだ。
幼い少女パールの隣には、たくさんの数字や文字が並んでいた。
この数字や文字は、ジュエルプリンセスの能力を示す。パラメーターだ。
俺はパラメーターが好きだし、子供のころから数字フェチだ。
数字の列を見るのが好きで、数字の並びを見てはニヤニヤしていた。
そんな俺の変な高校になっても性癖は治ることはなく、高校に入ってもパラメーターあげに没頭していた。
(文系知識は43……だいぶ上がって来たな。次のイベントは確か、文系知識が必要だったからな。
パールは、文系知識50&常識72以上でイベント発生するな)
パラメーター数字を食い入るように見ていた俺は、パールのそばにいるアイコンをタッチペンで触っていた。
若手の声優を使っているのか、かわいい女の子のアニメ声が聞こえてきた。
「おじちゃん、これでいいの?」
パールがしゃべってくるが無視。
リアルより変にからんでこない分、かわいいとは思うけどアニメにも興味はない。
むしろ俺が気になるのは、パールのパラメーター。
(ならばこのパラメーターだと、プレゼントか)
タッチペンでプレゼントのアイコンをタッチした。
「プレゼントをやろう」
「えっ、プレゼント?」
上目づかいで童顔の少女が目を大きくして俺に語りかけてきた。
そんな俺が十歳の小さな女の子にあげたプレゼントは……
「分厚いね……辞書?」
パールはやっぱり無邪気に『国語辞書』を手に取っていた。
この前、パールに洞窟を探索させて手に入れた。
洞窟探索のバイトって、ファンタジーぽいけど年端もいかない女の子がやるもんじゃないよな。
そのバイトで買った辞書をプレゼントしたのだ。
「うわ~っ、ありがとう、おじちゃん」
パールの笑顔が突然ドアップになって、お礼を言ってきた。
童顔なパールの青い瞳、かわいらしい笑顔がちょっとだけ俺を癒したがすぐに慣れた。
(このゲームのキャラは、相変わらず大げさだ。
感受性のパラメーターは教育でだいぶ下げているが、元の数値が90台だからな)
などと心の中で思いつつもすぐさま、パールのステータス画面をタッチペンでタッチ。
隣の全身図のパールは、すぐにもらった『国語辞書』を読んでいた。
能力の上り具合をすかさずチェック。
(パラメーターは……文系教科が……さすがに届かないか49。
理系教科はいつも通り下がったが、イベント発動はもうなかったはず。
幸い今は夏祭りボーナスで教育大成功が出やすい算段だが……いけるか?)
そんな俺はプレゼントをもらってご機嫌なパールを見つつ、一番画面右上のメールアイコンを見つけた。
(新着メール?誰だろ、なにかイベントフラグでも……)
俺は迷わずメールを見ようとした。
が、俺のタッチペンを持つ右手を突然強い力で掴まれた。
そのまま俺はゲームの世界から強引に引き戻された――




