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セレスタイトのイベントの後、ジュエル☆クイーン♡スクーリングを終えた。
その日は夜も遅かったのでゲームをやめることにした。
けれど翌朝つけると、何事もなかったかのようにセレスタイトが笑顔で出迎えてくれた。
朝は目立った会話もかわすことなく、教育の指示だけをしておいた。
先払いでコストを支払って、教育をできるので便利だ。
夜には疲労度も回復してバイトもできるだろう、時間はいくらでも惜しいのだ。
そんな俺は、その日も布団の上下運動にいそしんでいた。
二階建ての民宿『純平荘』の階段を、何度駆け上がっては降りた事か。
夕方まで働くと、俺は遅めの昼食をとるように勧められた。
離れに戻って台所に行くと、テーブルでは純花パパが先に食事をしていた。
茶色の服を着た、気のよさそうな初老の男。
白髪交じりの髪で穏やかにインスタントのそばを食べていた。
「菅原君もやっとご飯か……苦労をかけるね」
「ええ、昼食です。お腹すきましたよ」
「今日は純花の手作りだぞ……よかったな」
純花パパは純花の名前を出しては、笑顔を見せていた。本当に純花のことが好きなんだな。
作ってあるそばをよそって俺は、純花パパと向き合っていた。
「結局、インスタントじゃないですか」
「天ぷらは純花が揚げたんだ。純花の作るものはなんでもうまいよ」
「純花のことが本当に好きなんですね」
「ああ、自慢の娘だ」
目を細めながらそばをおいしそうに食べていた純花パパ。
俺も遅めの昼食の天ぷらそばをいただいていた。
うん、純花の天ぷらの料理スキルはパラメーター通りの味だ。
「自慢の娘……響きがいいですね」
「自分の分身みたいなものだからな、子供って」
「そうですね、俺は子供なんて持ったことないから」
「ああ……いいもんだ」
遠い目でつぶやいた純花パパ。
そんなパパならば、純花のプライベートのことを知っているかもしれない。
まあ、それでも話してくれるかわからないが。
とりあえずは一言、こんなことを言ってみた。
「白馬の王子様って、このあたりは有名ですか?」
「白馬の王子様?何のことだ?」
「やっぱり知らないのか」
「すまんねえ、知らんよ。純花に何かあったのか?」
「いえ、なんでもありません。気にしないでください」
俺は苦笑いをしながら次の話題に変えていく。
「では、純花は昔からリア充とかいう……」
「リア充?なんかの鉄砲か」
「いえ、知らないならいいです」
どうやら純花パパには、『白馬』も『リア充』も理解できないらしい。
ならば俺はストレートに切り出すしかない。
「最近の純花は少しおかしいですよね」
「……最後の反抗期かもしれぬな」表情が曇る純花パパ。
「最後の反抗期?」
「ああ、年頃の女の子だからな。純花だって夢見る少女だ」
「ははっ、そうですね」
いろいろと引っかかるが、愛想笑いで取り繕った。
純花が暴力女だととても言えない、純花パパの愛情は完全に純花に向けられていた。
真っ直ぐで純粋に純花に対してはよどみがないから。これが親なのかもしれない。
「なら昨日のも……反抗期?」
「……でも菅原君には関係ないよ。すまないね、余計な心配をかけてしまって」
「どういう意味ですか?」
やっぱり純花パパは俺の質問を逃げるように避けてきた、絶対怪しい。
純花パパの強引な平謝りに、俺は引き下がれなかった。
テーブル越しに壁があるかの様に、純花パパまでの距離が遠く感じた。
「そろそろ行くよ。ごめんね……本当に。私が全部いけなかったんだ。
今までずっと引っ張りすぎたのだから」
「待ってください、俺は純花が心配です!」
正直に俺は、純花に対する気持ちが言えた。
それはよどみなんかじゃない、普通と少し違う違和感がその言葉を言わせた。
「ありがとう……その言葉で充分だよ」
純花パパはしわの顔を緩ませて、そばの器を片付けて出て行った。




