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~~エメラルド城・セレスタイトの部屋~~
純花はセレスタイトと繋がっている、それは間違いない。
だから白馬の王子も、純花の中に存在しているから言葉に出てきた。
純花がプライベートに悩みを抱えているとしても、あの性格だからなかなか話さないだろう。
純花は変り者ゆえに学校内でも、周りに壁を作っている人間でもあるのを俺は分かっていた。
DSPをつけ、『ジュエル☆クイーン♡スクーリング』内のセレスタイトを求めたのは深夜。
初日から疲れていたのに、深夜零時を回っていた。
いつも通りの穏やかなセレスタイトが、そこにはいた。
「おかえりなさい、光輝さん」
恒例の挨拶だけど、純花ではとてもやらない。二次元の優しさで俺に出迎えてくれた。
「ただいま、セレスタイト」
「うふふっ、今日は教育終わりましたね。後は……」
「そうだな。アイツは?」
「ワーちゃんですか?」
「ワーちゃん?」
「はい、ワーちゃん。ドワ太さんのワーちゃんです」
セレスタイトはにこやかに俺に語ってきた。
なんだか変なあだ名をつけるところは、ある意味純花らしいところだ。
「ああ……いるぞ。待ちくたびれた」
そして何よりセレスタイトのそばで、座ったまま眠そうにしていた。
「ドワ太……純花やセレスタイトの話」
「純花とセレスタイトを助ける話だろう。分かっておる」
「なら教えてくれ!」
「死亡フラッグの回避方法はただ一つ、セレスタイトの持ち主である純花の悩みを解決するしかない」
ドワ太の話に俺は訝しげな顔で首をひねった。
「純花の悩みって?」
「純花ちゃんの悩みですよ、何か彼女は悩んでいる様子ですから」
セレスタイトが真顔で言ってきた。
「プライベートだけど……俺には分からない。
純花はああ見て頑固だから誰も教えてくれないし、簡単に話さないだろう。
セレスタイトこそ、知らないのか?純花を写した鏡なんだろ」
「……はい、でも記憶の一部が抜け落ちているんです」
「それが、死亡フラッグの条件でもある。実にゲームらしい演出ではないか」
ドワ太がひげをいじりながら、俺の方を見ていた。
「でも、悩みを解決できないと」
「消滅する……純花もセレスタイトもな。クリスタルゲージを見てみよ」
ドワ太に言われて画面右端のクリスタルゲージを見ると、すでに半分以上減っていた。
「いつの間にこんなに……」
「事態は刻一刻と悪化しているようだな」
「クソッ、どうしたらいいんだよ!お前、ヘルパーだろ!」
「そうじゃな、ならば一ついいことを教えてやろう」
俺がドワ太に詰め寄るが、そばにセレスタイトの視線を見てためらった。
落ち着いた様子でドワ太は一つ咳払いをした。
「ジュエル☆プリンセス♡スクールと違い、このゲームではイベントの発生条件が違う」
「パラメーターだけじゃないのか!後はなんだ?」
「無論、リアルだ」
「リアル?」
「このゲームはリアルをシュミレーションするゲーム。
指輪の女王候補を使い、人のパラメーターを覗き見て、人の成長を促す。
つまりリアルにも隠しパラメーターがあるということだ。
好感度や、対人関係なら分かりやすいだろう。
だが、結局のところは動かないといけない。イベントを起こすには……」
ドワ太の話をじっと聞いていた。
「俺がリアルで動く……と」
「そうじゃよ、教育とはそういうものだ」
ドワ太は背中を向けたままいずこへと消えて行った。
困惑したセレスタイトの顔が俺の方に迫ってきた。
「大丈夫……ですか?」
「ああ……やるしかない。純花が死ぬとセレスタイトも消滅するからな」
「はい、よろしくお願いします」
最後はセレスタイトが、元気づける笑顔で俺は勇気がわいてきた。
そう、俺は今純花の実家に来ている。ならばチャンスだってある。
ならば純花にもう少しアタックしよう、セレスタイトの顔を見てそう思えた。




