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リビングに待っていたのは部長と佳乃だ。
部長は袴を着ていて、佳乃は振袖だ。
伊勢ヶ崎家は由緒正しき書道の一族だったな。
着付けされた佳乃は、大和撫子のような笑顔を浮かべていた。
「よお、菅原。あけおめ」
「部長、どうしたんですか?」
「なに佳乃がお前に会いたいって、うるさいんだ」
「あけましておめでとうございます」
そう言いながら佳乃が、穏やかな笑顔で俺の手を取り挨拶をした。
丁寧なあいさつに、俺もかしこまってしまう。
「ああ、おめでとう」
佳乃もまたクリスマスの日に帰ってきた。
純花のことを覚えている数少ない人間だ。
「ほう、これが兄貴の新しい彼女か」
「な、なんだよ戸破……」
「いや、別に。ゲームにしか興味のない兄貴がやるなぁ、って思ったから」
戸破が流し目で見てきて、俺は少しだけ照れていた。
そんな時、部長が俺の方を睨んでいた。
「佳乃は渡さん」
「部長……それは」
「ふん、この前は佳乃の事を救ってくれたようだが。
だけどそれとこれとは話が別だ、なにせ佳乃を手に入れたくば書の腕を見せよ」
「そうですね、家元としての書の心得がある方がいいですね」
佳乃がかわいく笑っていた。
普通の年齢の女子よりもずっと落ちつていた。
「部長たちは初詣の帰りですか?」
「ああ、初詣に行ってきた。結構人が多かったぞ」
「でも……楽しかったです~、純花ちゃんにも会えましたし」
「え?」
俺は佳乃の言葉に思わず驚いてしまった。
戸破も同時に、驚いた顔を見せていた。
「純花姉……」
「どこにいるんだ?」
俺は思わず佳乃に問い詰めた。
佳乃は穏やかに笑顔を見せていた、純花はあちらの世界の女王になったはずだ。
二度と戻ることができない、あちらの世界の女王をやっているはずだ。
ジュエル☆クイーン♡スクーリングは、もう反応もしない。
「はい、神社で巫女さんをしていました」
「マジか!」
俺はいてもたってもいられなかった。
すぐに俺は立ち上がって、佳乃の手を引く。
「案内してくれ!」
俺は佳乃に強く迫った。佳乃は穏やかな顔で俺を最後まで見ていた。




