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~~女王ロワイヤル(三本目)エメラルド城・地下~~
始めは真っ暗な場所だった。
湯神子も俺と同じ画面を見ていた。
「ほう、考えたな」
「ああ、ロードライトがつけていたドクロの腕輪は『ペリトッド』。
効果は三戦目をダンス勝負に変更する、レアアイテムらしいな」
「……そうとも。ならばお兄様がつけているのは?」
「『コスモオーラ』唯一このアイテムには秘密がある」
「三戦目の勝負を文系勝負に変更する……」
「ああ、プレゼントに入っていた。このアイテムもおそらくチートアイテムだろう」
「いいや違う……三女子の仕組んだ罠だ」
「なんだと」
「従来ロワイヤル変更アイテムは、一つしか存在しない。もし、二つ存在すれば……」
「さあな、少なくともお前の得意分野にならない」
俺は自信たっぷりに言った。
前回はダンス、前々回もダンス、この確率を考えて理由を考えた。
そして、ドワ太に問いただしてこのアイテムの情報を引き出した。
後は簡単さ、特別な日にしか出ないショップにこれが売ってあった。
普通にゲームをしては絶対に見つかることがない場所に。
「さすがね、このゲームをやりこんでいるだけのことはあるわ」
「俺はセレスタイトの大臣だ、彼女を女王にする」
俺はもう迷わなかった、だけど湯神子は不敵に笑っていた。
「あら……残念ね」
「なんだと?」
「DSPが処理にやっとおいついたわね」
「どういうことだ?」
「二つの変更系のアイテムが出回った場合、ランダムになるのよ」
「ランダムって……」
「本当のランダム、そうね。このゲームはどうやら私に味方しているわ」
そう言いながら出てきたのはコロシアムだ。
砂埃舞う闘技場が目の前に現れた。そして出てきたのが『格闘』という文字だ。
「格闘か……いける」
セレスタイトの格闘パラメーターを見てみるが……98だ。
ロードライトのパラメーターはさすがに90ないだろうからハンデはあるか。
そんな時、目の前の湯神子が口を開いた。
「戦う前にお互いの格闘値を言い合いませんか?」
「なんだ、作戦か?」
「どうせ体力ゲージで分かってしまうんです、先に言い合いましょう」
「余裕だな、湯神子」
「ええ、言ったところで私の能力値は変りませんから。私は6です、最も低い能力です」
「6……マジかよ。投降するつもりか?」
「そんなつもりはありません、これはゲームですから。ではお兄様」
「俺の方は98、最も高い能力だ」
「そう……楽しみね」
だけど驚く様子はない。これだけの実力差だ、普通に行けば俺が圧勝するはずだ。
意気込む俺は一本制のバトルを開始した。
だけど戦ってから五分ほどして、
「あたらねえ……」
俺の攻撃は空を切りまくっていた。
パンチもキックも完全にかわされていた。まるでロードライトの動きは神業だ。
「どうしたの?」
ロードライトとの戦いで、徐々にセレスタイトの半分の体力が削られていた。
ロードライトは体力が最初から6%しかない、おそらく一発ダメージを与えれば倒せるだろう。
だけど忘れていた、湯神子は格闘ゲームの天才だということを。
的確に攻撃を当ててはすぐに離れる。
俺のセレスタイトは何とか近づこうとするが、間合いを取られて逆にカウンター。
責める手が全くない。
「だんだん焦ってくるでしょ……ゲームだから負けることもあるわ」
「ふざけるな!」
だけど俺の攻撃は後ろに下がってよけられて、それに合わせて湯神子がカウンターを仕掛ける。
ロードライトの下段蹴りを喰らって、セレスタイトが苦しそうに悲鳴を上げた。
「ふふっ、弱い」
「何を……まだ俺は諦めない」
「でも弱い、ダメージを与えることができない。お兄様は私に勝てない」
「クソッ!」
俺は唇をかみしめて、戦いを続けていた。
俺の攻撃が当たらず、ロードライトの攻撃だけが当たる。
セレスタイトは苦しみながらも、必死に攻撃を続ける。
「……ダメだ」
既に100%あった体力ゲージは二割を切っていた。
このままいけば、何もできずにセレスタイトはやられてしまう。
そんな俺は半分あきらめの気持ちがよぎった。
「諦めるんじゃないわよ!」
そんな時、俺のそばにいたのが純花。
エプロン姿の純花は、顔を真っ赤にして俺のそばでゲーム画面を見ていた。
そう、また純花のことははっきりと感じ取れたのだから。




