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俺はこのゲームの勝者ほど空しいと思ったことはない。
純花と湯神子、二人のうちにどちらかが消える。
DSPを奪うこともできずに、戦いは回避できない。
純花に三度奪わせたが、湯神子の手元にDSPは返ってきた。
(本気でやるのか)
それでも迷いが消えたわけではない。俺はDSPを見ながら、台所にいる純花を見ていた。
その純花はなんと台所で料理を作っていた。
パラメーターは50、だけど台所に汚さから湯神子の料理はもっと低いと予想される。
いつの間にか夜になっていて、純花はさっきスーパーで買い出し。
湯神子は純花のそばで手伝っていた。これからゲーム内で殺し合う二人なのに、そんな雰囲気がどこにもない。
純花が急に言いだしたことだ。
「とりあえずご飯を食べましょ、ミツノマルはDSPで準備して。
ユノーンはあたしと手伝いしましょ」
純花のテキパキな指示、カリスマ84は伊達じゃない。
湯神子も純花に対して恐怖を感じながらなんとか従っていた。
二人を見ていると、なんだか姉妹に見えてくるから不思議だ。
純花と湯神子、意外といいコンビなのかもしれない。
「なあ、純花」
「なによ」
「俺は……お前を消すかもしれない」
「いいわよ、あたしは覚悟ができているから」
純花は驚くことも恐怖を感じることもない。
ただ、淡々としていた。戸破が目の前で消えているのに、それでも落ち着いていた。
「いいのか、俺にゆだねても」
「あたしは負けないから。ミツノマルがやっても」
「すごい自信だな」
「当然よ……だってあたしは最強のパラメーターバカの彼氏がいるんだから」
「彼氏……へえ、二人もいるのね」
湯神子がなぜかややこしいことを言ってきた。
それと同時に、純花の肩がビクンと動く。
しまった、湯神子は佳乃のことを彼女だと思っているんだ。
ましてや純花は佳乃の記憶が完全に消えているんだ、説明さえできない。
「それは初耳ね……誰かしら?」
「えと……その……俺に任せろ」
「教えなさい、さもないと……」
そう言いながら純花はなぜか俺の方に振りかえった。
やばい、料理は50だけど格闘は96なんだ。
「今、俺は……ゲームの用意をしているから」
「ふん、覚えていなさい!」
純花はものすごく機嫌が悪そうにしていた。
そんな俺はゲーム画面の方に向いていた。




