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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
十二話:ジュエルクイーンとロードライト
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静かな和室で、湯神子は再び自分の席だろう畳の上に座った。

俺はうずくまりながら、いろんなことが頭によぎっていた。

記憶の波が、俺を飲みこむほどの勢いだ。

それでもかろうじて体を起こして、俺は湯神子の方を見ていた。

まだ頭が痛い、苦しい。


「おしゃべりはそれぐらいにして、遊びましょ」

それでも冷酷に湯神子は俺たちに告げてきた。目は全く淀んでいない、湯神子はブレがない。

かろうじて体をよろめさせながら俺は湯神子を見上げた。


「遊べるわけないじゃない」

「なんで?遊びに来たんでしょ」

「俺も湯神子を止めに来た」

「無駄だと分かっても……つまらない人。じゃあ仕掛けるわ」

そう言いながら湯神子はタッチをしていた、DSPだ。

もちろん俺のDSPにも即伝わってきた。


「時間は二十四時間、それまでに決意してもらいたいの」

「今だ、純花」

俺は最低の手段に打って出た。純花はすぐに湯神子に近づいて奪いにかかる。

右腕をあっさりととって、湯神子を追い詰める純花。

そんな純花に腕を掴まれてあっさりとDSPを落とした湯神子。

湯神子の顔がさっきまでの顔と違う、明らかに怯えていた。


「湯神子……」

「こないで」

だけど声が完全に上ずっていた。


「これであなたは戦えないわ」

「ずるい……私を消すのね」

「湯神子だって消したじゃないか、佳乃も戸破も!」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

さっきまでの強気の態度は一変した湯神子。

怯える湯神子を見ると、少しだけ罪の意識を感じてしまう。

それぐらい湯神子は弱っていた。


「でも駄目よ、あなたはヒドイことをしたから」

仁王立ちをする純花、まるでいじめているようにも見えた。

だけど俺は心を鬼にするしかない。

湯神子をこのゲームから解放するために純花に手を出した。


「純花、やるぞ」

「でも……」

「悪いが止まっている暇はない」

「……うん」割り切れない純花が俺に向けてDSPを投げようとしていた。

「不正はいけぬのう」

そこに出てきたのが真っ黒なドワ太、リアルに出てきた。

いや違う、その瞬間時が止まったのだ。


「ドワ太!」

「えっ?」純花は反応するが、純花にはやっぱり見えないようだ。

そのドワ太は、あっという間に純花の持っていたDSPを手にしていた。

俺ははっきりと見えた、黒ドワ太が純花から奪い返すのを。

そのままDSPを黒ドワ太が湯神子に渡していく。

早いのか、純花は全く反応すらできない。いや、時が止まった。

全く動けない時が止まった空間にドワ太が、俺の方に顔を向けてきた。


「なんだこれは?」

「不正はいけない、ゲームをしているのだから。ゲーム内のルールに従うべきだ」

「ゲームのルールって人を消し去るルールに何の意味が?」

「ルールですから、エメラルド女王はこのルールを作りました。

これは女王に対する冒涜じゃよ」

「もしかしてエメラルド女王って?」

「今は誰でもありません、だから女王を決めないといけません、こちらの世界で」

「こちらの世界とか……勝手に巻き込むな!」

「世界は女王を欲しておる、女王が無ければ世界はまともな形を保てない。

ターフェライトを使えなければ王国は滅んで歪んでしまう。

そうなればこの世界にも少なからず影響が出るぞ」

黒ドワ太は落ち着いて湯神子にDSPを返した。


「大臣よ、ぬしはそれでも戦わねばならぬ。

女王を決めるまでこのゲームは永遠に終わることはできぬ」

「何人も死んでもか?」

「無論だ、くどいぞ!」

そう言うと俺の足元に出てきたのが、赤い帽子のドワ太。


「くどいのはぬしじゃ、戦いは避けられぬ。

どんな卑怯な手を使ってでもゲーム以外で解決はできぬ。小賢しい細工をするな」

「どうして俺と湯神子を戦わせたい?」

「決まっておろう、女王を有したものだから」

「違う……なんでこうなるんだ?」

「三女子の意志じゃろうな。これはあくまで推論にしかすぎぬ」

赤いドワ太の言葉で俺の頭がまたガンガンと響く。

だけど、そこではっきり思い出した。


湯神子には三女子という母親がいた、親戚が一同に会する祖父の家ではっきりとその顔を思い出した。

痩せた顔で、頬がこけて、眼鏡をかけた大人しい女性。

太った叔父と痩せた三女子さん、でこぼこ夫婦の真ん中に小さな湯神子。

足や手が擦りむいて絆創膏だらけの湯神子。


「これが湯神子の家族……」

「そうよ」

そう言いながら黒ドワ太の奥から出てきたのが、DSPを抱えた湯神子。

俺の目の前にいた湯神子は、いつも通りの無表情で俺を見てきた。


「私には何も残っていない」

「残っていない?」

「そう、何も残っていない。家族は消滅した。

母を最初の女王候補にして、育成を失敗させた。彼女が望んだことだからいいのだけど」

「なんなんだよ……どうして?」

「本人に聞いて……私は分からない。ただ私はこの汚い世界にいたくないの。

勝っても負けても私は後悔しないの」

湯神子はそう言いながらわずかに微笑んでいた。


「私と遊んで」

手を差し出して、大事そうにDSPを持っていた湯神子。

俺を誘うように湯神子が俺をじっと見ていた。

もう俺は覚悟を決めていた。逃げることも、奪うこともできない。

ならば結局この戦いは、ゲームなんだ。ゲームとして扱わないといけない。


「遊んでやるよ」

「うん……ありがと」

俺は湯神子の誘いに乗ってあげた。

それと同時に時が動いて、純花は驚いた顔を見せていた。



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