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――画面が切り替わってリアルの画像が見えた。
場所は岩場でどこかの山だろうか。時間的には夕暮れで、陽が沈みかけようとしていた。
見えたのが崖、強い風が冷たく崖下から吹き上げていた。
何より切り立つ崖の淵に立っていたのは、
「純花!」
少し離れて俺は崖の淵に立つ純花に声をかけていた。
ゴツゴツと歩きにくい岩場を俺は、純花の方に歩を進めていく。
しかし、純花は普段と違ってとても大人しい。かえって不気味だ。
「ごめんね、あたしはもう生きていけない」
「なぜだよ!どうしてそう決めつける?」
「あたし……分かったの。ここにいちゃいけない子だって、生きることも許されないって」
「そんなことは……」
「ミツノマル……さよなら」
純花は涙を流しながら俺の方に声をかけて、崖の方に飛び降りて行った。
純花に対して必死に手を伸ばそうともがいたが、俺の手は届かなかった。
そのまま純花の体が崖下に吸い込まれて行った――




