ラビットさんのオカルトラジオ 6
「まさか見つかるだなんて!」
途端に見慣れたはずの学校の景色は様変わりしていた。こっくりさんをしていたはずの机も椅子もない。トタンで囲まれた薄暗い空間に、二人の男がいる。俺は恐怖で叫び出しそうになりながらも、雨音を背にかばった。拍子に眼鏡がズレたが、そんな事どうだっていい。雨音はそんな俺を安心させるように、俺の手を握ると、男たちを見上げた。
「あなたたちはどなたですか?ここは何処ですか?」
「いやー、冷静だねー!最近の若者は肝が据わっているのかな」
「卯月、彼らは制服を着ている、まだ子供であろう。怖がらせるのはかわいそうだ。ここは端的に行こう」
二人の男の内、黒髪でライダースジャケットに身を包んだ男が、俺たちの目を見た。
「人手不足に資源の枯渇。それは、この世だけではなく、あの世にも言える。この国、二藍のカミサマが行方不明になり、早千年余りの時が過ぎた。カミサマが居ない以上、本来輪廻転生は機能しない。それに加えて、魂を作るための資源もこの数万年の人間製造で枯渇してきた。このままでは、新たな魂も作れず、この国の人間は滅亡してしまう」
男は淡々とした口調で続ける。
「そこで我等、魂リサイクルセンターは、いわば民間の輪廻転生機能として、カミサマに代わり、働き続けているのだ」
「改めてお願いしよう君たちのその才能、俺たちに貸してはくれないだろうか?」
「いや、お前が一番怖がらせてるから!」
急に朗々と意味不明なことを話し出した黒髪の男の頭を、もう一人の男―金髪でマウンテンパーカーを羽織っている―が、そこそこ強そうな力ではたいた。
俺と雨音は状況が呑み込めず、ひたすら固まるばかりだ。黒髪の男は、ハッとした顔をして俺たちに頭を下げた。
「紹介が遅れてすまない、また、強引な招待も詫びよう。誓っておくが、私たちに君たちを傷つけるつもりは微塵もない。」
俺たちの目を真っ直ぐ見つめながら、黒髪の男は名刺を差し出した。俺はこわごわとその神を受け取る。
「……魂リサイクルセンター?」
「ああ、私の名前は宇佐美瀬尾という」
「気軽に、うーたんって呼んであげてね!」
「……それからこのふざけた男が背卯月だ」
「気軽に卯月くんって呼んでね!」
「……」
俺と雨音は顔を見合わせる。どこから突っ込んだものかと思ったが、こいつら怪しすぎる。魂リサイクルセンター?うーたん?怪しすぎて関わり合いになりたくはないが、突然連れてこられた場所で、カラの大きい大人に囲まれてどうしたらいいか分からない。雨音とつないでいる手が汗でびちゃびちゃになっているはずだ。こんなときでも気持ち悪がらずに手を繋いだままでいてくれるのが雨音の長所だなと、現実逃避をし始めている自分がいる。
「まあ、怪しんで当然だよね」
背と呼ばれていた男が、それまでの軽い笑顔をやめて、真剣な表情をした。
「俺たちを助けてほしい」
「……は?」
「君たちが聞いていたラジオは、適性のある人間を見極めるための、いわばオーディションなんだよ」
「……??」
「あのラジオを聞いて、前世の名前が分かるというのは本当さ。その上で俺たちは探していた」
「何をですか」
喉が張り付いたように声が出ない俺と違って、雨音ははっきりと背に問いかけた。
「君だよ、アマネ。前世も今もアマネという名前の人物、つまり君のことを俺たちは探していた」




