表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STAR RAIN  作者: bagswife
9/30

二人

夜明け前のナーガスラム。


2つのチームが別々の方角から廃工場に近づいていた。


アギト側——フユ、セナ、カナン、コウの4名。

ナイツバード側——レイ、シリア、シュルト、ロイドの4名。


「合図は工場の外灯が消えたとき。それまでは各々の持ち場で構成員を制圧しながら包囲を絞る。キャブラとテアルらアルバトロスの残党は必ず奥にいる。そこに2チームが合流する手順だ。」


事前の合同ブリーフィングでそう決めていた。


「簡単な話だ。」シュルトが太刀の柄に手をかけながら言う。

「簡単とは言っていない。」リヒトが言い置いた。「テアルの泥人形に注意しろ。制圧には有効打を確実に入れることが条件だ。」


「わかっていますよ。」シュルトが返す。


「シリア。バーサーカーを早い段階で出すな。制圧戦だ。暴走は困る。」

「はい。」シリアが短く答える。


フユはレイと目が合った。レイは小さく頷いた。

互いに何も言わなかったが、十分だった。


====================


外灯が消えた。


全員が動き出す。


工場の東口からナイツバード組が入る——はずだった。


「……東口ってどっちだ。」

シュルトが立ち止まる。


「右ですよ。」ロイドが言う。

「右というのはこちらから見てか、向こうから見てか。」

「……普通に右です。」

「普通が曖昧だと言っている。」

「こっちですよ!!」ロイドがシュルトの肩を掴んで向かせる。


シリアがすでに東口から入りながら振り返る。「置いていくぞ。」

「待て。俺が先頭を——」

「遅い。」


シリアは行ってしまった。


ロイドがシュルトを引っ張る。「はぐれたらまずいので早く!!」

「俺がはぐれるわけ——」


工場は複数の搬入路が入り組んだ構造だった。

シュルトは3つ目の分岐点で確信を持って左に曲がった。


「こっちだ。」

「……それ、外に繋がってる道ですよ。」

「なぜそれをさっさと言わない。」

「言おうとしてました!!」


====================


工場の西口からアギト組が突入する。


中に入った瞬間——床が盛り上がった。


「泥人形だ!!」セナが叫ぶ。


一体、二体、三体——どこからともなく現れる。


「テアルはどこだ。」カナンが傀儡化身を起動させながら問う。

「上だ!!」コウが刀を抜く。


工場の2階部分。

テアルが欄干に立ち、眼鏡を上げながら見下ろしていた。


「いらっしゃい。」


指が動く。泥人形がさらに増殖する。


「奥へ行くのを止める気か。」セナが複数の剣を展開する。

「そうです。頭の邪魔はさせません。」


東口からシリアが合流してきた。

「人形の数は。」

「増えてる、14以上。」ダリウスが——いない。今日は留守番だ。弱点の分析ができない。


「問題ない。潰せばいい。」

シリアの目に火がつき始めている。バーサーカーの気配が滲む。


「シリア、まだ出すな!!」セナが叫ぶ。


テアルの泥人形の群れと、アギト・ナイツバードが入り乱れる戦闘が始まった。


その混乱の中——


フユはレイの腕を掴んで走った。


「行くぞ。」

「ああ。」


泥人形の隙間を縫って奥の扉へ向かう。

「どこへ!!」セナが叫ぶ。

「キャブラを止めに!!」

「無茶言うなよ!!!」


扉を蹴破った。


====================


工場の最奥。


キャブラがソファーに深く腰を沈め、煙草を吸っていた。


扉が開き、フユとレイが入ってきた。

キャブラはゆっくりと顔を上げる。


2人だけだ。

工場の外では戦闘の音が聞こえる。

援護は来ない。


「……2人か。」

キャブラは煙草を床に踏み消した。


「こないだガキと——もう一人は。」

「レイ=ステルファン。」レイが答える。


キャブラは立ち上がり、鎖を手に取った。


じゃらりと音が響く。


「俺の相手に新人2人じゃ足りねえぞ。」


フユは剣を抜いた。

レイは両手を広げ、周囲に水分がないか確認する。工場内に雨水の残滓。配管の滲み。わずかだが、ある。


「足りるかどうかは、やってみないとわからない。」


フユはキャブラを真っ直ぐに見た。


キャブラは——笑った。


「そうだな。」


鎖が宙を舞った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ