赤い来訪者
精神世界へと沈んでいった4人——フユ、シリア、ミロク、セゴウ。
その身体は根城の地下室に横たわっていた。
「……静かだね。」
フウカは腕を組み、部屋を見回す。
「静かすぎる。」ラフィットが答える。
4体の無防備な身体。
その周囲を2人で守る。
タルタロスの試練中、最も無防備な時間だ。
「ラフィット。」
「わかってる。」
2人は背中合わせに立った。
外では、ソウジがエリックを連れてフラットの病室へ向かっていた。
「エリック。フラットの父として聞いてほしいことがある。」
「……言ってくれ。」
「フラットに宿った悪魔は後天的なものじゃ。だがそれは弱いという意味ではない。むしろ——」
ソウジは歩を止めず続ける。
「後天的な器は、自我が強い分、悪魔に飲まれにくい。フラットは今、意識の深部で抵抗しておる。」
「……あいつは、俺のせいで。」
「それはあとで悔やめ。今は前を向け。」
エリックは黙って頷いた。
====================
根城の地下室。
フウカは壁に凭れ、ラフィットは入口を見張っていた。
「ねえラフィット。」
「なんだ。」
「試練中のミロクって、何考えてると思う?」
「……さあ。ベルゼブブと漫才でもしてんじゃないか。」
「あっはは。あり得る。」
フウカが笑いかけた——その瞬間だった。
空気が変わった。
ラフィットが反射的に立ち上がる。
フウカの笑いが消える。
廊下の奥から、足音がした。
ゆっくりとした、気怠そうな足音。
「……誰だ。」ラフィットが低く言う。
扉の前に、男が立っていた。
赤髪のパーマ。無精髭。
右腕だけがない。
左腕だけで、男は肩に剣を担いでいた。
「ん〜……おおよそ予想通りって感じかぁ。」
男は部屋をゆっくりと見渡した。
寝かされた4体の身体。
それを守る2人。
「ん……釣りたかったオキタがいねぇなぁ……」
男は小さく嘆息する。
まるで独り言のように。
「まあいいか。神速、悪魔狩り。」
金色の目が細まる。
「有名人が釣れたしな。」
禍々しい空気が、室内に満ちた。
ラフィットが銃を抜く。
フウカの目が鋭くなる。
「……何者だ。」
男は答えない。
ただ、左腕だけで剣を構えた。
「……なあ、お前ら。」
「あ〜……強そうだな。まじで。」
男の口元がゆっくりと緩む。
「ん〜、まあ殺しておくか。」
「構えろフウカ‼︎」
ラフィットが踏み込んだ。




