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STAR RAIN  作者: bagswife
23/30

古の森へ

病室の外。


廊下に出た3人——セルドア、エリック、フユ——は、しばらく誰も口を開かなかった。


エリックは壁に手をついていた。

大きな体が、少し小さく見えた。


「……あの子は強い。」セルドアが静かに言った。

「だから生きている。普通の人間なら因子に飲まれて終わっていた。」


「……それで、どうすればいい。」エリックが顔を上げた。


「フラット君が意識の中で悪魔に打ち勝てば、因子を自分のものにできる。器になれる。」


「勝てるか。」


「それはフラット君にしかわからない。」


エリックは目を閉じた。


「だが、外から手伝えることがある。」


セルドアはフユを見た。


フユは背筋が伸びた。

あの龍王が——自分を見ている。


「君にも手伝ってもらわないといけないな。」


「……俺が、ですか。」


「そうだ。」セルドアはあっさりと言った。


「エリック。ナイツバードのシリアを呼んでくれ。君たち3人でリンドウェルの外れ——古の森へ向かってほしい。」


エリックが眉を寄せる。「古の森……そこで何が。」


「そこで待つものに全て伝えてある。」


「待つもの、とは。」


「行けばわかる。」


それだけ言って——セルドアは廊下を歩き始めた。

振り返らなかった。


フユはその背中を見た。


理由はまだわからない。

だが——行くしかない。


「フユ。」


エリックが隣に立っていた。

「シリアを呼んでくる。待ってろ。」


「はい。」


====================


シリアはエリックの説明を聞いて、一言だけ言った。


「行きますよ。」


3人はリンドウェルの外れへ向かった。


街の喧噪が遠くなる。石畳が土の道になる。

木々が密になった。光が届きにくくなる。


「古の森、か。」フユが呟く。「行ったことないな。」

「僕もない。」シリアが短く返す。


木々の隙間から光が差し込み、地面に模様を作っている。

禍々しい気配はない。異様なほど静かだ。


フユは自分の胸の奥を確かめた。

因子が——静かだった。共鳴しない。揺れない。

まるで眠っているような穏やかさがある。


「……不思議な場所だ。」


「来たなあ。」


声がした。


3人が足を止めた。


大きな木の根元。

銀髪の男が、木にもたれて立っていた。


「待っとったでぇ。」


関西弁だった。


年は30前後か。銀髪をぼさっとさせた男。

黒装束。腰に剣。

だがその気配は——3人が今まで感じたものとは明らかに違う。


重い。静かに、圧倒的に重い。


「……誰だ。」エリックが前に出る。



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