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STAR RAIN  作者: bagswife
15/30

セイレンと二つの討伐

「全員揃ったな。」


ライオットヴァルドが詰所の扉を開けて入ってきた。

選考会で見た顔だ。進行役を務めた大男。

大噴火の英雄が、こんな場所に顔を出す。それだけでこの儀礼の格がわかった。


「今日は中級任務儀礼の説明に来た。始める前に——」


ライオットヴァルドは5人を見渡し、それから扉の方へ目をやった。


「もう一人来る。待て。」


5人が顔を見合わせる。

もう一人?各団から一人ずつのはずだ。5団で5人。それで全員のはずだが。


扉が開いた。


「遅くなりましたあ。すんません、道で猫と遊んでたら遅れました。」


飄々とした声。軽い足取り。

薄い茶色の髪をぼさっとさせた青年が、悪びれもせずに入ってきた。


「カミル=スペランツァ。よろしく〜。」


「……どこの団だ。」

バンが問う。


「セイレン。」


静寂。


「……セイレン?」フラットが首を傾げる。「聞いたことない。」

「そりゃそうですよ。表には出てないんで。」


カミルは壁に背を預け、あっさりと言った。


「神栄団には表立って募集をかける5団の他に、推薦でしか入れない部隊があるんですよ。それがセイレン。選考会もないし、表の名簿にも載らない。ライオットさん、説明あってます?」


「あっている。」ライオットヴァルドが頷く。

「セイレンは特殊任務専門の部隊だ。存在は非公開。今日は儀礼の関係で同席させた。」


フユはカミルを見た。

推薦でしか入れない部隊。

選考会もなく、表にも出ない。

それがどういう意味を持つのか、まだよくわからなかった。


「まあ難しく考えなくていいですよ。今日は一緒に仕事するだけですし。」

カミルはフユと目が合うとひょいと肩をすくめた。


「ライオットヴァルドさん。任務の説明を。」


リザが書類から顔を上げて言った。


「ああ。始める。」


====================


ライオットヴァルドが地図を広げた。


「今日の任務はデズノールの討伐だ。」


デズノール。


「ノールの強化体です。」

リザが即座に補足する。手元の書類をめくりながら淡々と説明した。

「通常のノールと異なり、悪魔因子の密度が3倍以上。再生速度が高く、中級以上の戦力でないと有効打が入らない。弱点は核の集中部位だが、通常のノールより深部にある。」


「詳しいな。」ライオットヴァルドが感心したように言う。

「調べてきましたので。」リザは再び書類に目を落とした。


「出没は2ヶ所。東区廃墟と北区森林の中。それぞれ1体ずつ確認されている。」

ライオットヴァルドは地図上の2点を指す。


「6人を2チームに分ける。」


チーム分けが告げられた。


東区廃墟——フユ、レイ、フラット。

北区森林——バン、カミル、リザ。


フユはチームを確認した。

レイとは気まずいままだ。

だがフラットがいる。まだやれる。


「任務の目的はデズノールの討伐。捕縛ではなく完全な消滅だ。

いいか——デズノールは通常のノールより凶悪で人間の闘気に強く反応する。」


ライオットヴァルドはそこで一瞬だけフユを見た。

それだけだった。続きを話した。


「各チームは独立して動く。援護は期待するな。自分たちで判断して完遂しろ。」


「質問。」バンが手を挙げる。

「制限時間は。」

「日没まで。」

「了解しました。」


「以上だ。行け。」


====================


詰所を出て、2チームが別々の方向へ歩き始める。


「じゃあまたあとで〜。」

カミルが片手を上げながらバン、リザと共に北へ向かう。


フユはその背中を少し見ていた。

セイレン。推薦制。

あの軽さの裏に何があるのか、まだ読めない。


「行くぞ。」

レイが先に歩き出した。


フユはその後を追った。

フラットが横に並ぶ。


「ねえ、デズノールって実際どのくらい強いんだろうね。」フラットが問う。

「リザの説明通りだと、ノールより厄介なのは確かだな..」フユが答える。

「そうだよね。中級の任務だもんね。」フラットは少し緊張した顔をした。

「君たちはノールをすでに倒してるんでしょ?」

「僕はまだだからさ。」フラットが正直に言う。

「でも頑張るよ」


「頑張ろうな」

フユはフラットの肩をしっかりとつかむ。


そうしながらフユは

東区廃墟へ向かう路地を歩きながら、

遠く北の方角でカミルたちが向かう森林を見た。


今日で何かが変わる気がした。

それが何なのかは、まだわからない。


3人は廃墟の入口へと歩き続けた。



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