32話 招かざる客
ペタン、ペタン。
足音は僕の部屋の前で止まる!
僕と弟は扉に釘付けだ!
「おい、開けてみろよ」
「兄さん、こそ」
「無理無理!」
「あ!?」
「ひぃ!?」
弟の情けない声に僕は驚く!
耳を澄ますと、再び足音がする!
ペタン、ペタン。
そして、また止まる。
ガラガラガラ。
隣の部屋が空いた音だ!
引き戸になっており、ガラスの扉である!ピシャリと閉まる音がしたので、誰かが入った形跡を確認する。
「ははははは。弟よ。見てこい」
「そういうのは、長男の役目ですよ」
「では、今日から長男はお前に譲ろう」
「なら、燐火ちゃんも譲ってくれると?」
僕は弟を睨む!
弟は目線を反らした。
「はぁ、見てくるわ」
隣の部屋は空き部屋だ。
姉が住んでいたけど、大学へ進んだので、空き部屋となる。荷物は全てアパートに持って行ったので、部屋には何も無い。
この家で、唯一の畳の部屋。
仏壇を置くスペースもあり、神棚も設置可能である。
自分の部屋を出て、廊下の電気を付けた。
オレンジの淡い光を放ち、怖さを倍増させる。この時程、白く発光する電球にすれば良かったと後悔するのだ。
改めて、隣の部屋の前に立つ。
扉に手をかけ、ガラガラガラと引いた。
「!!??」
女の子が座っているではないか!!
部屋の真ん中で!
髪は長く、顔は下を向いているから分からない。
三角座りをしており、白いレースの服を着ていた。そして、僕の方をゆっくりと見上げる!
ガラガラガラ!!
僕は部屋の扉を勢い良く閉めた!
心臓はバクバクとしており、今にも破裂しそうだ!自分の部屋に急いで戻り、弟の顔を見る。
「兄さん、どうだった?」
「………………た」
「何?」
「出た………居るわ」
「え!?」
「気のせいかもしれない。お前見て来い」
「あ、え、うん」
弟は部屋を出て行った。
そして、直ぐに声を上げる!
「ぎゃああああああああ!!!!!!」
ドタドタと慌ただしい音を立て、部屋に入って来る!
「兄さん!出た!ど、ど、どうしよう!?」
「………僕はもう寝る」
「ひぃ!!僕もここで寝させて!」
「自分の部屋に帰れ」
「嫌だ!もうあそこを通れない!」
こうして、弟は僕の部屋に泊まった。
自分の部屋があるのにも関わらず。隣の恐怖を忘れる様に、僕達は眠りについたのだ。




