28話 失うのか?
「さて、蛇とでるか、それとも………これは不味い。神無月!寺師羽根と下がっておれ!」
「はい!おひい様!」
伊集院さんが下がる。
僕を守る形で。
燐火の影が人の形を形成し、藤堂院さんを襲った!首を掴まれ、藤堂院さんはぐふっ!と声を上げる!
「藤堂院さん!?」
「だ、大丈夫じゃ」
口から血を吐き、藤堂院さんはエビ反りから、体勢を戻す。払い棒で、影を押し退けるのだ!ぐぐぐっと伸ばした手の影を払う!
「お主は何者じゃ?」
「海」
「何処から来た?」
「分からない。凄く遠い所」
「燐火から、出て行く気は?」
「それはない。だって────」
その影は僕を見つめた。
いや、死線を送ってきたのだ!
「そいつが居るから、燐火が不幸になるんだよ。なら、やっちゃえばいいよ、ね?」
物凄い速い影が、僕を突き刺す!
「え!?」
「ぶふぁ!」
いや、僕を突き刺したのではない。
伊集院さんの肩に突き刺さった!どうやら、伊集院さんが僕を庇ったからである。
「大丈夫!?伊集院さん!!」
「寺師羽根君。もう少し下がるよ」
「え、あ、うん」
入り口付近まで下がった。
どうやら、ここまでは影は伸びない様だ。
「もっと近くにおいでよ♥」
恐ろしい。
こいつは人間ではない!悪魔なのか?僕は疑問に思った。
「伊集院さん。もしかして、あいつは悪魔なのか?」
「いいえ。違うわ。霊よ」
「霊!?」
「それもかなり凶悪なね」
伊集院さんは肩を押さえている。
傷口からは、血が流れており、出血は止まっていない。
「伊集院さん!大丈夫!?」
「大丈夫………ではないみたいね。止血するから、何か取って来て。タオルがいいわ」
「分かった!」
僕は部屋を出ようとした!
その時、藤堂院さんが叫ぶ!
「騙されるでない!寺師羽根!」
「え!?」
扉を開く手前で何とか止まった!
振り替えると、伊集院さんの口角が吊り上げる!
「後、ちょっとだってのに♥」
「ぐあ!?」
僕は首を絞められた!
伊集院さんの力は半端ない!振りほどけないのだ!この間、燐火に絞められた時の事を思い出す!このままでは殺される!?
「てい!」
藤堂院さんが塩を投げつけた!
伊集院さんにぶつかり、影は燐火に戻る!
「がは!?ぜー!ぜー!はぁ、ありがとうございます」
「寺師羽根、覚悟はあるかい?」
「え!?」
「燐火を失う覚悟だよ」
僕は聞きたくなかった。
燐火を失うなんて。そんな事、今まで一度も考えた事が無かったからだ。僕は呆然と立ち尽くす。




