27話 取り憑かれ
結論から言うと、物凄く怒られた。
少年院行きは免れる。それだけが、救いだった。
伊集院さんに連絡し、藤堂院さんに繋いで貰ったのだ。そこから、燐火の暴走を説明する。すると、警察まで来てくれたのだ。
深夜1時、もう子供は寝ている時間。
事情聴取から、僕は解放される。これも藤堂院さんのお陰だ。この人が説明してくれなければ、僕は間違いなく少年院に送られていただろう。
「いやあ!!縄をほどけ!今直ぐに!」
燐火は布団でくるまれ、縄で縛られている。
シティハンターハンターのサエバを連想してしまう。まぁ、奴場合は、エロい事をしようとして、薫に縛られて、みのむしの様に吊るされるのだが。
「藤堂君さん、本当にありがとうございました。そして、ご迷惑お掛けしました」
「なあに、気にするな」
横には伊集院さんも居た。
何だか申し訳無い気分となる。
「あの………燐火はどうなりますか?」
「どうなりますか?か。どうしたい?」
「元に戻って貰いたいです」
「ふむ……………苦難の道程だな」
藤堂院さんは深く溜め息を付いた。
「とりあえずその子を家に連れて行く」
「あ、はい」
僕は燐火を持ち上げ、藤堂院さんの車に乗せた。同行する為、車に乗り込む。
「神無月。お前はどうする?」
「おひい様。私も同行させて下さい」
神無月さんも車に乗る。
助手席に座り、シートベルトを着用していた。
神社に連れて行きたかったが、階段を登るのに断念する。燐火が暴れたからだ。燐火の叔父さんは役に立たない。気が動転しており、ろれつも回らないのだ。このままでは、燐火を落としてしまう。なので、伊集院さんの家へ連れて来た。
藤堂院さんは必要なモノを取りに、神社に行っている。
僕達は、伊集院さんの家で、それ以外のモノを準備するのだ。
「お札を部屋に等間隔で貼って。そして、入り口には、円を描く様に。その円の真ん中には、この特別なお札を」
「了解」
伊集院さんに指示され、僕はお札を貼り付ける。
入り口は1つ。部屋には窓も何も無い。10畳はある。
「───!───!!」
燐火は何か叫んでいる様だ。
タオルでくくりつけられており、何を言っているか不明である。これは黙らす事が目的では無い。舌を噛み切らない為である。
「準備は出来たか?」
「はい。おひい様」
巫女装束に着替え、藤堂院さんは部屋に入る。
お婆さんだが、とてもキレイに見えた。僕は決して熟女好きではない。
払い棒を持ち、お酒を撒いた。
結界の様に、ロープを張り付け、四角に囲う。
中心には燐火が、そして、藤堂院さんは燐火を踏む。
「──!─!!──!!!」
右手で、鷲掴みした塩を、燐火に撒いた。
燐火は暴れる!が、縛られているので、身動きは取れない。
蝋燭に火を灯す。
部屋は薄暗くなり、陽炎が見栄隠れした。
電気を消したからだ。
そして、僕は驚く。
燐火の影が!
燐火の影がうねりを上げる!人としての形をしていない!不気味な光景だ!部屋の四隅の蝋燭の火が、ボワッ!ボワッ!っと、火を吹く!
「お出ましだ」
藤堂院さんが、燐火の口を封じていたタオルを外す。
すると、燐火はケタケタと笑い出すのだ!
「お前は誰だ?」
「燐火を見守るモノさ」
「なら、元に戻るがいい」
「お断りさ」
「何故?」
「私はね。燐火に頼まれたのさ。そいつを忘れる為にな」
「もうその件は終わったと聞いたが?」
「私も戻りたいさ。でもね。そんな簡単な事では無くなった」
「何があった?」
「取り憑かれたのさ」
「誰に?」
「知るか!そいつに聞いてみな」
「変われるのか?」
「ああ、こいつは厄介さ」
藤堂院さんは、眉をビクリと動かす。
それだけヤバい事なのだろうか?僕は不安になった。




