29話 救いたい、願いたい
燐火は僕の大事な人だ。
幼馴染みで、いつも僕の側に居てくれた。そして、いつも励ましてくれたのだ!
だから、燐火を失うならば、僕は生きている意味が無い。
「燐火を失うならば、僕は死にます!」
「ほう?それがお前の答えか?」
影は僕にそう言うと、ギロリと睨む!
「うぐ!?」
僕は恐怖でおののいた!
動けない!蛇に睨まれた蛙の如く、一ミリもだ。
恐ろしいを超える恐怖。
殺意を向けられ、それが僕の体中を覆い尽くす!
「はぁはぁはぁ!!」
額から大粒の汗を掻いた!
過呼吸となり、意識が朦朧としてくる!不自然だ。肩で息をしていない。目の焦点は定まらず、周りが白くボヤけてきた。
怖い!怖い怖い怖い!!!
恐ろしい!苦しい!辛い!悲しい!
負の感情が沸き上がる!
もうダメだ。僕はもう死ぬだろう。死んだら、もう何も出来ないな。色々やりたかった。美味しいモノを食べ、面白いゲームをプレイする。
一人じゃ楽しくないな。
そうだ。どうしてだろう?誰か…………誰だった?
…………………………………………………………………燐火。
僕は燐火と一緒にいたい!
声を上げて、僕は叫ぶ!
「燐火!愛してる!」
影がブレた!
「燐火!もう離さない!」
影が苦しみ出す!
「燐火!戻って来い!お腹空いたよな!僕が美味しいモノを作るから!そして、一緒に食べよう!」
影は声にならない声を上げる!
人間の声ではない!!
「燐火ーーーー!!!!!!!!」
「そ、奏介!?奏介!!!!!あたしはここだよ!奏介奏介奏介!うう!あ!うわぁああん!!」
燐火は戻った。
影は消え去り、藤堂院さんが最後に何か唱えている。それはまるで、儀式の様な。
僕には分からない。
でも、何となく分かる。
もう燐火は大丈夫だ。影は天を昇る。何故だか、天井はなく、空が丸見えだ。月へと消える影を僕は目で追った。星空がとても眩しい。
「今日は満月………か」
解放された燐火が僕に抱き付く。
僕は何時までも燐火の頭を撫でた。
ぐぅ~。
「あは」
「インスタントラーメン、袋入りで良いね?」
「うん♪」
「鷲は生卵入りで頼むぞ!」「私は塩味で!」
「ぷ!ぷははは!」
笑った。
久しぶりに笑えた。腹の底から。
こうして、燐火は取り憑かれたのを除霊され、守護霊を戻す事が出来た。
しかし、これはまだ序章に過ぎない事を、僕は痛感する事になる。




