23話 あと一歩
伊集院さんを連れて、生徒会室へ使った。
燐火はいつの間にか消えていない。ランナーでメッセージを送る。
コンコン。
「失礼します」
「どうぞ」
生徒会室に入ると、長谷部先輩と燐火が居た。
「何だよ。先に行ったなら、メッセージくれよ」
「ごめん。にしし」
燐火は笑いながら、そう答えた。
「長谷部先輩、こちらが伊集院さんです」
「初めてまして。生徒会長を務めています。長谷部です。宜しくね」
「こちらこそ宜しくお願いします。伊集院です」
「で、伊集院さんには、副会長をやって貰う事になるわ。いいかしら?」
「はい。問題ありません」
こうして、とりあえず生徒会のメンバーが揃った。来年の事を考えれば、もう少し人材が欲しい。
この日は、生徒会の説明だけで終わった。
明日から、頑張らなくてはならない。そう思うと、少し気が重くなる。
燐火の件も片付いてないし、まだ何も解決していないのだ。
家に帰ると、誰も居なかった。
珍しい。僕は台所で冷蔵庫を開ける。冷えたお茶を取り出し、コップに注ぐ。
何か見られている気がする。
後ろを振り向くと、そこには燐火が居た!
「え!?ぐは!?」
首を絞められ、身動きが取れない!
左腕で首を絞められる!凄まじい力だ!これが女の子の出せるパワーかよ!?
「く、苦しい!」
「お前さえ、居なければ!!」
燐火に引き摺られ、台所に辿り着く。
すると、右手で器用に扉を開けた。そこから、光輝く金属を取り出す。
包丁だ!
僕は燐火の右手を必死で掴む!
が、あまりの力に包丁の刃が、僕の首元に近付いてくる!両手の力を目一杯込めた!
しかし、勢いは止まらない!
少し、また少しと包丁が近付き、僕の首を少し削る。血が少し出た。このまま深く刺されば、大出血は免れない!
呼吸も途切れ途切れ、包丁を押さえるのに、僕は必死だった!
「燐火!止めろ!」
「お前が死ねば、燐火は苦しまなくて済む」
「僕を殺せば、燐火は悲しむ!」
「悲しむより、苦しい方が辛い………辛いんだよ!」
更に包丁が僕の首に食い込む!
このまま、もう少し差し込むか、横にスライドされれば、間違いなく死ぬだろう。
僕は息が出来なくなり、意識が朦朧としてくる。
ダメだ。もう限界。こんな所で、死ぬのか。燐火に殺されて。
「寺師羽根君!大丈夫!?」
燐火に首を絞められ、包丁が首に食い込んでいた所に、伊集院さんが現れた!その瞬間に、燐火から力が抜ける。
カランカラーン。
包丁が床を滑る。燐火はそのまま、床に倒れた。
伊集院さんに首の手当てをして貰う。
結構ヤバかった。血がなかなか止まらなかったのだ。もし、伊集院さんが来てくれなければ、僕は間違いなく死んでいただろう。
燐火はぶつぶつと何か言っている。
伊集院さんが話しかけた。
「貴女は誰?」
「海」
「何処から来たの?」
「知らない。遠い所」
伊集院さんは、僕の方を見る。
そして、爆弾発言を言う。
「私では手に負えないわ」
燐火を連れて、藤堂院さんの所に行かないといけなくなった。




