22話 多重人格
この話は少し短いです。
伊集院さんの家から、出て電車へ向かう。すると、後ろから声を掛けられた。
「手を上げろ?撃つぞ?」
僕はとっさに手を上げた。
そして、後ろを振り向く。そこには燐火が居た。
「にしし♪」
「何故、疑問系たったんだよ。てか、先に帰ったんじゃなかったのか?」
「コンビニでお薬買ったから、もう大丈夫!」
はぁ、こいつは。
まぁ、いいか。と、思っていたら、腕を組まれる。
「一緒に帰ろう?」
「あ、うん」
僕は燐火に翻弄されっぱなしだ。
腕に伝わる柔らかな感触を、僕はバレない様にするのが精一杯だった。
次の日。
伊集院さんからランナーでメッセージが入る。
伊集院〈お昼休み時間作れない?
僕は了解したとメッセージを送る。
昼休みになり、屋上に向かった。
伊集院さんと約束したからだ。燐火には用事があると伝えたが、なかなか納得しない。なので、伊集院さんと会う約束をしたと伝えたら、そう、としか言わなくなる。なので、屋上には僕1人で来た。
「用件は何?」
「日比野さんの事よ」
「燐火の事?もしかして、違和感を感じたと言う事に関係が?」
僕はゴクリと唾を飲んだ。
「日比野さんの家に行ったの。勿論、無断でね。親には許可を貰ったけど。そしたら、部屋に入って驚いたわ」
「………一体、何が?」
「これよ」
伊集院さんは分厚い本を僕に渡した。
そこには黒魔術の本と書かれており、不思議な模様が描かれている。
「これが?」
「日比野さんは、これを使って守護霊交換の儀式を行ったの。貴方が事故になった次の日ね。そして、儀式は成功した」
「え!?」
「いや、成功というより、失敗ね。でも、日比野さんの希望は叶ったという事」
「言ってる意味が解らない」
「日比野さんの一人称は?」
「…………あたし……………あ!!??」
そういえば、私と言ってる時があった!
昨日は自分の事を燐火と言っていたし……。
最初は聞き間違えだと思っていた。
"わ"と"あ"だから。でも、昨日の事で納得する。やはり"あたし"ではなく"私"と言っていたのだ。
「伊集院さん………燐火は普段、自分の事をあたしと言い、昨日までに"私"と"燐火"の2つの発言をしています」
「そう。なら、最低2人の人格が混ざっているわね。かなり厄介よ」
多重人格。
この場合、そういえなくもないだろう。
だが、多重人格は幼い時になる。
虐待が主に。暴力、性的虐待等を受け、それに耐えきれなくなり、自分の中にもう一人の人物を作り出す。そして、その人格が暴力や性的虐待を受けて、自分自身の人格を守ろうとする事により、発生するのだ。
前世の人格。
それも一部では認められついる。が、生まれ変わり等、立証不可能な為、確実な事とは言いにくい。
目安は、10歳まで。
そして、願い。強く願えば、願う程。
人格的形成がしっかりとした16歳での、多重人格はなる要素がない。もし、現実逃避したとしても、人格がそれに耐えきれず、精神崩壊へと進む。精神が壊れた人間は、元にはもう戻れない。
「何とかならないのか?」
「話してみないと解らないわ。でも、それも難しいわ。相手が上手だもの。寺師羽根君、絶対に油断しない事。分かった?」
「肝に命じとく」
キーンコーンカーンコーン。
昼休みの終わりを付けた。
僕はご飯を食べるのを忘れ、お腹を空かせたのだ。




