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神と悪魔を差し置いて最強を名乗る。  作者: あるみホイル
種族総合闘技大会編
6/17

アンダーグラウンド

「到着です。ここが妖精族の村で、フラシームです。」妖精族のクレアは顔を上げながら白くお城のような門を眺め一馬と煌牙に目的地到着を知らせる。


妖精族の村の真逆を進んでいた二人は悪魔に襲われていた妖精族のクレアを助け恩返しなのかここまで案内をしてくれた。


「ひょー、龍人族の村の門とは違って綺麗な門だなぁ」一馬が感心していると煌牙もまた感心していた。

「ほぉ、感慨だな」


妖精族の村に近づくにつれ森も変化していきただの緑の森から光輝くエメラルドグリーンの木々が生え、とても綺麗とは言い難い雑草は青や緑紫に光る(こけ)のような植物が森全体の地面を覆い尽くし、空中にはフワフワと得体の知れないタンポポみたいなものが飛んでいる。

幻想的といえば幻想的だがひどく気味が悪いと二人は思った。理由としてはまず光過ぎであるということと木々の形が不気味だからだ。まるで魔女の森で生きている木のような形の悪いのが多すぎる。まだ光ってるからマシだがこれが光ってなければ恐怖しかないだろう。


「村長に話してきます。少し待っててください」そう言うとクレアは門の前に立ちブツブツと呪文のようなのを唱えている。言い終えると門が自立的に動作し、ゴゴゴと地鳴りのような音を出しながらゆっくり開く。一人分だけ門は開きクレアは門をくぐろうとしていた。その刹那チラッと見えた妖精族の村フラシームは門と同じく白い家々が建ち並び奥に特大の太さの光る樹が見えた。


しばらくして再び門が開くとクレアともう一人、長く白いあごひげを伸ばした一馬と煌牙より一回り背の低い老人が現れた。


「お主らが人間とやらなのかぁ?」


風貌からして威厳のある妖精とは思っていたが喋り方が言い方は失礼だがボケているようだった。


「は、はい。」とりあえず煌牙は適当に返事をしてこりゃめんどくさいな、という顔をしていた。


「ほぉほぉ、人間かぁ、う〜ん」

老人妖精は褐色の杖で体を支えながら二人をまじまじと見る。老人妖精の衣類もクレア同様なのだが背が低いこともあり地面に裾がついていた。


「長老、こちらが神道寺 一馬。あちらが天童 煌牙です。」

「一馬に煌牙かえ?凛々しいのぉ」

クレアの言葉からしてこの老人はどうやら長老で妖精族の長だった。

一馬は自分の曾祖父と長老を重ねており喋り方はそっくりで背丈も曾祖父と同じぐらいだった。


「えーと、長老でいいんですか?」

長老はそれを聞くと一馬を見て背筋に力をいれ背筋をピンとした。

「おほん、何を隠そう私が長老ガンタイルである。」

「あぁ、どうも。」

「長老は二人を妖精族の村に招待してあげるらしいのですが・・・」

「え?いいの?」

アッシュは妖精族は警戒心が強く中々村には入れてくれないと言っていたのに簡単に入ることができた。

「ほんじゃ一馬と煌牙よ、ついて来い」

長老は向きを直し門に向いて歩き出した。それに便乗しクレアと一馬と煌牙も長老の後ろをついていく。

門をくぐり中に入ると龍人族の村とは比較にならない程の異国感覚に二人はこの世界は本当に楽しいとこだと感じた。

先ほども言ったとおり白い家々はどうやらどれも同じような大きさ形であり緑の芝生が生え広がる土地には見たことのない野菜や果実などが栽培されており妖精達も自給自足で隣の家やその周りの妖精達とも仲が良いと見えた。

龍人族の村とは違い武具や得体の知れないゲテモノ料理などは無く店自体ほとんどなかったが一般的な宿屋やレストランのような大きい飲食店と雑貨屋の三つだけが目に入った。

「なぁ、クレア」

「はい?」

「妖精族の村ってなんだが活気というか店があまりないな」

「そうですか?」クレアは首を傾げてそんなことはないという顔で村全体を見渡した。

「見た感じ三つしか店らしきものはなかったぞ」

「いえいえ、まだたくさんありますよ」

「え?どこに?」一馬は再び村全体を見渡したが大方店と呼べる建物はなかった。家自体は密集しているがあんな狭いとこで店など開けるとは思わなかった。

「ふふっ、後のお楽しみですよ」クレアはニコッと笑いながら手を腰の後ろで組み一馬の顔を見た。

「おいおい、お二人さんイチャイチャすんなよな」煌牙は呆れた顔で一馬とクレアを交互に見ながら言う。まさか煌牙に呆れられるとは思っていなかった一馬は友人の新たな一面を知ったことで煌牙に対する考え方も少しだが変わった。

話は少しズレるが妖精族の容姿は人間とほとんど一緒だ。違いは耳がとんがって長い事と背中に折りたたまれた羽があることの二つだけだ。指の長さも髪の質感も歯の形も体の作りも人間と大差のない種族で普通に接する事ができる。ちなみにクレアの歳は一馬と煌牙より二つ大きく人間なら大学一年生だ。

「あぁ、すまん。ついな」

「遊びに来てるんじゃないんだぞ」

「お前がそんなこと言うとはな」

「当たり前だ。妖精族の村でひと時を過ごそうなんてこれっぽっちも思っちゃいねーよ」

「ははっ、ごもっともだな」


ひたすら歩きどんどん近くなってくる太い樹も最初門をくぐった時は単純にデカイとしか思っていなかったが近づくにつれて顔を上げる高さも高くなり樹に到着した時は完全に真上に見上げていた。太さときたら一周するのに何分かかるだろうか、スカイツリーとこの樹とでは月とスッポンである。

その樹の幹に掘られたドアがありどうやら樹の中に入るようだった。長老が樹のドアを開き中に入るなり手招きで二人を誘う。

一馬と煌牙が樹のドアの中に入るとエレベーターのような十人が入れるぐらいの四角い空間があり最後にクレアが入ると長老は杖でトントンと床を叩いた。するとゆっくりと四角い空間が動きだし感覚的には下に行っているようだった。

この樹のエレベーター、現実世界のエレベーターに比べてとても静かで動きだしなど滑らかすぎて動いているのか分かるのに少々時間がかかったほどだ。一馬が樹のエレベーターの天井やら床やら壁をジロジロと見ていると長老がそれに気づいたように話しだした。

「ほい、一馬よ」長老に呼ばれキョロキョロしていた目は長老に向いた。

「なんですか?」

「気になるじゃろ、樹にだけにな」

長老による突然のギャグに一馬とそれに煌牙とクレアはどう対処すればいいか分からずただ困惑していた。だが長老は自分のギャグにケラケラ笑いながら長いヒゲを撫でていた。

ところでこのリッシュコズモにもダジャレという言葉遊びがあったとは思いもよらなかった。

似ているようで似ていないこの世界にそのような文化があるということは他にも現実世界にあった何かがあるのかもしれない。だが何故この世界の国語は日本語なのだろうか、リッシュコズモにはリッシュコズモなりの文化があり国語もリッシュコズモなりの言語があるはずだ。なのに何故か日本語というのは偶然なのかもしれないが独自の文化があるリッシュコズモで偶然日本語というのはいささか不自然ではないだろうか?もしかしたら何らかの魔法のようなのにかけられており一馬と煌牙はリッシュコズモの言語を理解しているのだろうか?


しばらく樹のエレベーターが動いていたがようやく止まったようど長老が歩きだそうとしていた。

樹のエレベーターのドアが向こう側から開けられ一行はエレベーターから降り一馬と煌牙の目に飛び込んできたのは大樹の太い根っこを避けるように地下に建てられた商店や娯楽施設、歓楽街にそれにつられるように入店していく妖精族の群れに二人は度肝を抜かれた。

この地下は大樹の根っこをベースにドーム型に地面が掘られ大空間のアンダーグラウンドだった。

灯りの灯るランプや店の前に立てられている看板、酒を呑んでいるのだろうか足元がしっかり地面についておらずあっちにフラフラこっちにフラフラしながら笑っている妖精達や小さい子供と親子だろう家族が食材を購入し今日のご飯のメニューを聞き喜んでいる姿など活気に溢れている景色はまるで現実世界の商店街のようなのに似ていた。

目を見開き興味津々に建ち並ぶ店を見ていると長老が何か二人に渡してきた。

「一馬に煌牙よ、少し楽しんで来なさい。クレア、お前は二人に村を案内してあげなさい。」

二人が渡されたのは光に当たるとキラキラ輝く銀貨で五百円をやや大きくしたぐらいものだった。その銀貨には絵柄などはなくただ刻印のような文字が彫られているだけの極めてシンプルで誰にでも作れそうな銀貨だ。

一馬はこの銀貨にいったいいくらの価値があるのか分からず裏を表を見ていた。煌牙はその銀貨をズボンのポケットに入れて長老が去っていくのを見ていた。

「あの、いくらもらったんですか?」クレアは二人に長老から貰った金額を確かめようとしていた。一馬は手のひらを開けクレアに見えるように差し伸べた。

「え⁉︎100モールも貰ったんですか⁉︎」クレアは驚きながら一馬の手のひらにある銀貨を凝視していた。

「100モール?その100モールあったら何買えるの?」煌牙もズボンのポケットから銀貨を取り出しピンと弾きパッとつかむ。

「そうですね・・・100モールでしたら朝昼晩の食事を三十回ぐらいできますね」

「三十回⁉︎待てよ、例えば一食こんぐらいの額で・・・」煌牙は指を折りながら100モールの価値を計算していた。

「ざっと計算して九万ぐらいか?一食千円ぐらいだとして」

「九万?千円?」クレアが知らない単位を聞き人差し指をアゴに当て首を傾げていた。いちおうギガバイトのお金の単位を教えるために一馬がクレアに説明を始めた。

「俺らの世界には一円から始まって五円、十円、五十円、百円、五百円、千円、五千円、一万円が主に流通している硬貨と券なんだ。大体千円あればお腹いっぱいに食べれることはできるな」

「そうなんですか、あっ!でしたら一馬と煌牙はこの世界のお金のことまだ知らないのでは?」

「うん。全く分からないよ、できれば説明してくれるかな?」

「はい。私達の世界ではどの種族の村でも同じ硬貨を使います。いわば世界共通ですね。で、単位なんですが最初は1マールから始まって100マールで1ミールになり、1ミールが100ミールで1ムールで1ムールが10ムールで1メール、最後に1メールが10メールで1モールになります。一回の食事でしたら5ムールあれば十分でしょう。」

「まぁ、使ってたらそのうち分かるようになるだろ」煌牙は再び硬貨を指で弾きながら掴んだりしていた。

「では、試しに食事でもどうですか?私のオススメのお店があるんですよ!」クレアは目を輝せながら二人の手を引っ張っていく。

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