裏世界大統領
龍人族の村というか街には見たことのない食べ物や衣類に雑貨など多種多様な出店や店舗が軒を並べている。その中でもひときわ気になったのは短剣に長剣、斧や弓矢に鉄なのか非常に頑丈そうなもので造られている鎧が埋め尽くす武器屋だ。歩きながらだったのでチラ見した程度なのだがその中にあった剣身が黒く柄のところが黒を基調に白い線をワンポイントに使い綺麗に造られていた片手剣と目が合い見えなくなるまでずっと注目していた。
怪鳥から降り歩き始めてから大体10分ぐらいが経過したあたりで噴水を中央にドーナツ状になっている待ち合わせにはもってこいな広間に着くなりアッシュが立ち止まる。
「小人達よ、いや一馬に煌牙よ今から龍人族にて長であるドドルガム様の屋敷に入る。くれぐれも無礼のないように頼むぞ」
噴水の向こうには要塞のようなどでかい屋敷が堂々と建っていた。
噴水をよけながら要塞の扉まで行くと扉の前に二人龍人族の門番が長剣を地に刺した状態で柄頭を両手で抑えて微動だもせずに真っ直ぐ見据えていた。
「ドドルガム様の使いのアッシュ只今帰還した。」
門番にそう告げると門番の二人はジロッと一馬と煌牙を見て後ろを振り返り龍人族の二倍になる扉を押し開いた。
「では、私はここまでだ一馬に煌牙よ、ドドルガム様はその階段を上がった先でお待ちになられている。」
「アッシュは来れないのか?」煌牙が言うとアッシュは顔を左右に振った。
「我はドドルガム様の使いだ、神聖な屋敷に入るなど御法度なのだよ」
「そうなのか、ならなんで俺らは入れるんだ?」
「ドドルガム様直々に一馬と煌牙の二人に一目会いたいと仰せになられていたからな、さぁ行け」
アッシュは一馬と煌牙の背中をドンと押し屋敷に入ってしまった。すると入るなり門番が扉を閉じてしまった。
「どうすんだよ、ここの式たりとか知らないからどうしようもないよな、煌牙どうするよ?」
「そうだな、郷に入れば郷に従えって言うしな、なるようになるだろ」煌牙がのんきに言うものだからついついため息をしてしまった。
アッシュに言われたとうり赤絨毯が敷かれている階段を上がるとその向こうにはまた門番が二人立っていた。次の門番は槍の石突を床につけ柄の中央辺りを両手で持っていた。
扉の前までの30mぐらいを歩き門番の前で停止する。
「あ、あの〜ドドルガム様?に会いたいんだけど」精一杯の笑顔で右の門番に話しかけると扉の向こうから低い声が聞こえた。
「入れ異界の者よ」
それを聞いた門番二人は扉を両方押し開いた。
扉の向こうから聞こえた声の主は一馬と煌牙を背に窓から街を眺めていて二人が入るのを感知したのだろうか、クルッと二人に向き直し一礼頭を下げてきたのでとりあえず社交辞令と思い二人も軽く頭をペコッと下げる。
「よくぞ我が龍人族の村に来ていただいた。心から感謝申し上げる。」
「あっ、いえどうも」煌牙が右手を後頭部に当てながら頭を三回クイックに下げる。
「お二人はどうも《人間》という種族でギガバイトから遥々リッシュコズモに来られたとお聞きしました。しかもアッシュの使い魔をいとも簡単に倒したと噂が流れ村の我が一族では既に有名人なんですよ」
「え?俺ら有名人なの?」まだこの世界に来てから一時間程度しか経っていないのに名前を知られているのにビックリしてしまいついつい友達と話す時と同じように煌牙が言ってしまったが特に村長は気にしていないようだ。
「ええ、お二人は我が一族の三人しかいない幹部を倒したのですから当然ですよ、おそらく他の二人も歯が立たないはずです。」
「へぇ〜、俺ら有名人だってよ一馬?」
「異界から来たし何より幹部さんを倒したからあんなに見られていたのか、龍人族は目が怖いから見られたら緊張して歩きずらかったよ」
「はははっ、我ら一族が生まれた当初は獣人族と闘いに明け暮れていたから目が怖くなったのでしょうか」
龍人族の長にてドドルガムは高らかに笑い何かの毛皮で作られいる椅子に腰をかけた。
「お二人もどうぞ腰をおかけください」村長はスッと人間サイズに作られている椅子に手をさしのべ座ることを二人に促す。
「俺らまだこの世界に来てから時間が経ってなくてこの世界のことよく知らないんです。もしよろしければこの世界のこと教えていただけませんか?」リッシュコズモ=裏世界について知っているのは種族と戦争ぐらいだった。まず敵を倒すには敵を知ることから始めようと思いこの場を借り教えてもらおうと一馬は考えた。
「ええ、いいですよ。少々話は長くなりますが」
「時間はありますよ、大丈夫です。」
「では」ドドルガムはコホンと一息つきリッシュコズモについて話し始めた。
「まず、神と悪魔からお話しましょう。この世界、リッシュコズモは最初原始的な微生物だけが生きていたそうです。ですがある時突然神と悪魔が生まれました。本来神と悪魔は姿を見せないが悪魔による進撃などがあれば天界から降りてくるそうです。そしてこの世界には最高神ホーネルをはじめ五柱の力の神ゾリダズ。知恵の神サプノート。地の神モウクサ。天の神カッシム。生命の神アマネルの六柱により世界の秩序は保たれています。それに対なす存在の悪魔は世界を奪う存在として君臨しています。
最高魔デジボーンが指揮をとり部下達を地上に送りデジボーンの左手右手として君臨するのが、死の悪魔ザリムーンと魂の悪魔ヤボラです。神と悪魔の戦争が最後に起きたのは今から1200年前でそれ以来神も悪魔も地上には姿を表していません。ですがここ最近妖精族のテリトリーの森で下級悪魔達が妖精族を連れ去る事例が頻繁に起きています。過去にも悪魔達が動きだすと神が動き戦争になっているのが大半をしめていて近々また神と悪魔の戦争が始まると全一族は考えています。ですがその前に神と悪魔と同等な力を持っている《龍》の存在が我々全一族にとっては脅威で奴らはこの世界のどこがで眠っています。そして龍人族の旅商人が三日前に洞窟で龍の卵を見つけました。龍が地上に進行するときは決まって後釜の子孫を遺していて龍の目覚めが近いことが分かりました。そこで我々全一族は龍討伐のために指揮をとる一族を決める大会をまた開催することにしました。また、というのも今まで指揮をとる一族を決める時は《種族総合闘技大会》で一位になった者の種族の長が最高司令官として龍討伐の指揮とっていて今回もその習わしで決めようと種族会議で決議しました。話が少しズレましたね、つまりこの世界のトップが神でありこの世界を支配しようとしているのが悪魔です。我々はいつも神と悪魔の戦争に巻き込まれ多大な被害が生まれていてそれは全一族同様なのです。我々、龍人族以外にも妖精族、獣人族、機械族が地上で生活しています。同盟で龍人族と妖精族は協定関係にあり龍人族と妖精族の生活がより良くなるために共同で創ったのが機械族です。彼ら機械族に最初感情はなくただ働くだけの存在として生まれました。しかし妖精族の長のフィリア殿が同じ世界に生きる者として喜怒哀楽の感情がないのは気に入らない言い妖精族は機械族に感情を植え付けました。すると機械族は独自の文化を築き上げ一つの種族として認められ今では龍人族と妖精族それに機械族が同盟を組み貿易などを行っています。ですがあと一つ、獣人族という闘いが大好きな種族がいまして三種族が同盟を組んだことを聞き入れ獣人族だけ同盟でないことに腹を立て貿易を邪魔したりと悪質な事をして我々龍人族ならびに他二種族は獣人族を嫌っています。元々龍人族と獣人族は不仲であり度々戦争などがありましたが今のところはそのようなことはなく安定を保っています。好戦的なのがなければ仲良くできるのですが獣人族は闘いに関しては種族トップであり龍討伐に多いに貢献してくれると思っています。今回開催する大会の一位も獣人族ではないだろうかと個人的には考えています。龍人族と獣人族と機械族には魔法が使えませんが妖精族は魔法を使え、後方支援や戦線の前でも威力の強い火炎魔法や足止めができる氷結魔法に地の利を使う万物魔法などがあり討伐を有利にしていくことが出来ます。さらに怪我をしている人を回復させることもできます。妖精族秘伝の自分を生贄に死んだ者を蘇させれる魔法があるらしく神秘的な種族であります。」
話終えたドドルガムは背もたれによりかかり一息ついている。すると煌牙がとんでもないことを言い出した。
「なぁ、村長さん。俺たちはその大会に出場は出来ないのか?」
それを聞きドドルガムは驚いた顔で止まっていたが椅子から立ち上がり机から分厚い紙を二枚取り一馬と煌牙に渡した。
「大会に出場する者は名前と家柄、種族を書き村長の認証判子を押されて初めて出場できる仕組みなのですが君たち人間族はお二人しかいないのでお名前と種族を書いていただき私が判子を押して提出しておきます。獣人族、妖精族、機械族の長には今日開かれる会議で話しておきます。大会は一週間後からなんですがついでです大会についてもお教えしておきましょう。大会には一種族五名が出場でき、勝ち抜きとなります。ルールは制限時間なし、武具の使用は認められ、勝敗は審判の判断によりどちらかが戦闘不能になった場合と降参による辞退の二つだけです。」
「で、何回勝ったら優勝なの?それにもし俺が一馬と闘う事になる可能性とかあるのか?同じ種族なら闘う必要はないと思うが」
「優勝は、一グループ四人の五チームで最後のグループは二回戦を勝てばそのまま決勝まで上がります。シードではない場合は五回勝てば優勝です。それともし同じ種族同士になればどちらかが辞退するのもよし、実力勝負で闘うのもよしです。」
「五回か・・・もし優勝すれば一番偉いのはその種族の長なんだよな?俺ら人間が優勝してもそれは有効なのか?」
「ええ、そうゆうルールですから貴方がた人間族が優勝すればどちらかが龍討伐の指揮をとるかたちになります。」
「おい、一馬世界大統領になる前にこの世界で大統領になれるぜ」ニヤニヤしながら優勝する気まんまんの煌牙にやれやれと思いながらもノッてしまう。
「へへ、どっちの世界でも大統領になってやるよ!」
「じゃーおれがこの世界の大統領で一馬は俺らの世界の大統領だな!」
「それはいい案だ煌牙、目指せ優勝!」
「お二人とも優勝する気なのですか?」再び驚いた顔でドドルガムが二人を交互に見る。
「もちろんですよ!出場するからには優勝しかあり得ないですよ!」
煌牙の意気込みに穴のデカイ鼻で笑う。確かに来たばかりの異界の者が優勝するなどこの世界の一族達からしたらでしゃばりな発言かも知れない。しかし二人には未知の力が備わっておりこの種族総合闘技大会で人間族の存在を多いに知らしめる可能性はかなりある。
「人間族とは無謀な種族なのですね・・・しかし私は好きです。そんな無謀な挑戦をする者を」
「へっ、無謀じゃないですよ」一馬は鼻の下を右人差し指でこする。
「はははっ、気に入りました!私は龍人族にて長のドドルガムです。お二人方のお名前を教えてはいただけませんか?」一馬と煌牙は顔を見合わせ、ニヤッと笑う。
「俺は天道 煌牙、煌牙でいいぜ」
「俺は神道寺 一馬です。一馬と呼んでください!」




