第83話『神大陸』
神大陸にはヴァルハラトプスの他にも王竜にまつわるモンスターが多数出現した。適正レベルは150から200だ。
「間違いなくいい狩り場だな!」
「イベント時にいたかった!」
新種モンスターの情報はいち早く共有して1人も欠けることなく神大陸の調査を続けていた。
そこまで広い大陸ではないものの、マップ全域を探索することは困難。持ち込んだ物資には限りがあるし、クラン方針はマッピングじゃない。探索範囲を義魂の森に固定して攻略を行った。
「今日は義魂の森から真流域に進もうと思う」
「真流域?」
「ポたんと攻略中に発見したんだ。イベントモンスターが出現する」
「本当に!?」
「始まりの苔も採取出来たよ」
おおっ! 神アイテムを採取出来るエリアがあるんだ!
神大陸に上陸出来なかったウララに合掌しながら義魂の森・真流域でイベントモンスターと戦った。
「取り巻きが多すぎるな!」
「レイドパーティー必須とは面白くなってきたね!」
「ポたんは空気に徹しまーす」
獣人族の種族転生クエストが発生して、イベントモンスターの強さが増した。ポたんは転生先を選びたいあまり空気に徹している。
攻略法はそれぞれだ。
ポたんは兎神族になりたくて小動物のように丸まっている。耳を長くするために戦わず索敵に努めるポたんだった。それで耳が長くなるという保証が隠しステータスには存在する。
「耳が長くなる隠しステータスについて徹底解剖します! カシー、何の隠しステータスか教えてー!」
「占いで教えるよー!」
「占いコーナーまであるんですねー!」
「占いコーナーは私の専売特許!」
死獲の魔女に関するイベントフラグを踏みまくれば願いの大地に出張で魔女の館がやってくるかもしれない!
真流域のボスが従えている取り巻きの中にはジィーク・ジ・アルティメットが2体。
合計レベルが500になるように設定されたレイドモンスターで、10人以上で挑んでも物量で押し負かされる。
ジャックとジャンヌを入れると35人のレイドパーティーになる。数で勝っているレイドモンスターを倒すには申し分ない面子だ。
「ジィーク・ジ・アルティメットの1体は元ゴンザと判明した!」
「似てると思ったけどもう1体ってガリトー?」
「ガリトーとは誰だ?」
「レイキーアの友人だった男だよ! 何かフラグを踏んだかな?」
「カシーの踏んだフラグだったのか」
2人とも成仏せずにこんなところでモンスターをやっているとは。何かのフラグだとすると復活フラグ?
「兎神族になるにはどうすればいいですかー!?」
「2体を倒すことじゃないか!?」
「じゃあ倒します! にしてもカシーって強過ぎませんか!?」
「臨神族で臨界物だからだよ!!」
臨神族だけだと水界物が近くにいてもアシストは見込めない。必要なのは水界物の上位にあたる最上位隠し職業「臨界物」だ。
転職に至ったのは航海の最中だった。
『カシーさん。暇なので始まりの苔使いません?』
『いいよ~。1個だけね!』
『私のもあるので2日は持ちます!』
サーチベリーは船を始苔化してモンスターを討伐しようと提案してきた。ジャックたちが航路を見ながらマルチシャフトをしていて大抵暇だ。イベント期間外だけど始苔化をして遊ぼうと思った。
ほか貂たちはログインしておらず、他のクラメンも集まりは悪い状況。神大陸まで10日以上かかるとなればなおのこと始まりの苔が重用される。
『モンスターが出てきました!』
『サハギン・グリーンヘル! レベル100前後だね! 量乗の迷宮にはサハギン・ヘルファイアが出てきたよ』
『繋がりがありそうです!』
サハギンは色とりどりのポーションをドロップする。チュートリアルクエストのグリーンポーションはこいつのドロップだろうと気楽に倒した。
『やっぱりポーションをドロップするね~。SPの自然回復上昇がかかるからサハギンポーションは優秀だよ』
『上陸までに沢山集めましょう!』
『そうだね! ハイビィはどうしたの?』
『呼んできます!!』
そうしてハイビィのレベリングをしていると、唐突に最上位隠し職業転職クエストが発生した。
転職条件は不明。水界物と同じくジャックの気まぐれと思われる。
隠しステータスではJ陣の合計値が1万を超えていた。J陣による物転生は水界物特有のものかもしれない。
私は水界物になった時期が速かったのであまり疑問には思わなかった。遅いくらいだと思って転職クエストを受注。
ザパァアアアアアアアアアアンッ!!!!
レベル200の猛毒サーペントを引いて私たちは徹夜させられた。2日目の始苔化は無かった。
「カシーには文句があります! 始まりの苔を使いましょう!」
「今?」
「今しかないです!」
「今は止めろ! 強くなったのは始苔化のお陰だったか!?」
ほか貂は即座に反対する。
「そうとも言うよ~。忘れ去られた4日目の航海で私たちは強くなった!」
「4日目には誰も来なかったはず!」
「私とサーチベリー、ハイビィはいたよ! 始まりの苔を使った!!」
サーチベリーがね! 私は使わなかったから文句があるらしい。
「始苔化で転職や転生しやすい土壌になるからよろしくね! ジャックからは何かコメントある?」
「始苔化はないよ!!」
通して読みやすいから始苔化になっている。
ジィーク・ジ・アルティメットは復活フラグだろうと睨んでいて、始まりの苔で完全復活するかもしれないと予想出来た。
しかしガリトーとゴンザだ。蘇生させる理由が全くない。
「範囲攻撃だ!!」
「やば」
「うわあっと!?」
真流域のレイドボス、マックスゴレム・ファイバーコアは頭部からレーザーを放って無防備なプレイヤーをこのエリアから退場させた。
「3人やられた!!」
「甘く見ていたか……! レーザー攻撃は気合で避けろ!!」
ほか貂は【万物衰退】で正確なHPゲージを見ると、マックスゴレム・ファイバーコアの真下から掬い上げる。
同時攻撃を行ったポたんに私は【ドミネートヒール】をかけた。直撃こそしなかったけどレーザー攻撃で大ダメージを負っていた。
「ようやくコアが見えた!! 一斉攻撃だ!!」
「ほか貂! 一斉攻撃なんてコマンドはないよ!」
「何!?」




