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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第77話『ジャックの死』




 【灼熱地獄衆】の効果は絶大だった。


 翡翠の王剣で防御を貫かれることなく、アタッカーの攻撃を加速させていた。ウララとほか貂、ポたんがいれば百万力だ。どんなモンスターさえ倒せそうな気がしてくる。


「ジャック! 防いで!!」


「うん! リバーシ・アサイメント!! フュージョンバリア!!」


 ジャックの防御スキルを前面に立てて丁寧に一撃ずつお見舞いする。

 ジアロノヴィアドラゴンの鱗は硬く、そんじょそこらの武器では破れない。金剛槍ケルベログを腕の延長として振り抜くと青みがかった胴体には浅く傷が付く。


 打撃力に乏しいフルスイング・改は封印して、ジアロノヴィアドラゴンを宙逸斬りで叩き落とす。


 重量の乗った攻撃なのもジャックのお陰だ。

 シャフトパージから進化したプライドプレスでジアロノヴィアドラゴンを地面に倒す。攻撃手段こそ乏しいものの補助スキルでやっていた。


 ジャックとの思い出は計り知れない。

 切り札の魔法を切ることになったのは本当に残念だった。











『ユニークイベントクエスト「世界の怪物を夢見る」をクリアしました』 


『上位種族「臨神族」に転生しました』




 あっさりと、上位種族に転生した。しかも臨神族だった。


「種族が臨神族になったよ」


「種族転生だと?」


「うん。ぱっとしない種族だよね!」


 臨神族……垂界物から臨界物を拾える種族らしい。垂界物からパワーを貰う感じはいいけどちょっと待って欲しい。


「よ、依代があってこの水晶になったみたい。これが私の一部?」


「浮かんだ」


 水晶が独りでに浮かんでワールド情報を聞かせてくる。


『個体名「カシー」……アカシックレコードに刻まれた名前。第三世界線の住人にして臨神族に至ったプレイヤー。ジャックの話題にカシーが出てくるかもしれない』


「怖過ぎるこの水晶」


「ネタアイテムは相変わらずですか」


 溜め込んだワールド情報を吐き出す装置と化したらしい。アカシックレコードって適当過ぎないかな? ジャック・ザ・リッパーの呪いと関係があったりする?


「はい、ジャック」


「ありがとう! カシー、またね!!」


「うん。また遊ぼうね!」


 討伐したジアロノヴィアドラゴンの鱗を受け取ったジャックと別れを済ませる。はい、ジャックじゃないとほか貂は目頭を押さえた。


 クエスト報酬はジャックの守護紋。防御スキルの得意だったジャックが残したアクセサリーだった。ジャックがいなくなって寂しくなるよ。


「足枷がなくなった気分だろう?」


「言い方が酷い!!」


「ジャックの加護を考えるだけで憂鬱になるものだ」


「それは強ち間違いじゃないけど!」


 ほか貂は先輩面してくるのでちょっとムカつく。ジャックは足枷じゃなくて楽しい友達だったからね!


 ハイビィと合流するためにも私たちはラビリンスに転移した。街中限定だと【圏内転移(エリアテレポート)】が有効だ。


 E魔人を最大限警戒していた私たちは、入れ替わりで陽龍の迷宮へと入っていくクランの数に驚いた。


「これは移動するしか無さそうだな」


「オススメは量乗の迷宮だよ」


「少し遠いが悪くないな。しかし雙葉濃緑地にしよう」


「行ったことないけど蜂がいる場所だよね」


 雙葉濃緑地はラビリンスの北に位置する国境のフィールドで、地上にダンジョンがあるとプレイヤーの間では広まっている。


「迷路型のダンジョンで極竜のポップするエリアがある」


「始まりの苔を使うと出てきやすいかな?」


「まあな。試してみるか?」


「試してみますか。カシーとサーチベリーたちはお留守番です」


「了解!」


 経験値効率を考えてもその方がいいかな? 私たちは待機だ。


 迷宮都市ラビリンスには色んな形の迷宮がある。

 例えばNPCが管理する銀杭の迷宮は厳重に管理されており、特定のプレイヤーしか入れないという。

 種族的に優位なダンジョンもあって、空中ダンジョンなどは悪魔族にしか攻略出来ない。


「面白いダンジョンが色々とあるよ。どれを攻略する?」


「陽龍の迷宮を攻略したかったです」


「気持ちは分かるけど他のダンジョンです!」


「あはは。私は陽龍の迷宮でもいいよ~」


 同じダンジョンに潜っている間は安心だよね。それにE魔人の影はなかったのだし。


 トップ独走中のE魔人は辺境の大迷宮に缶詰だろう。ほか貂たちが私たちを頼りにした理由はよく分からないけどクランに加盟してくれた。


 私とサーチベリー、ハイビィの三人は再び陽龍の迷宮に入った。レイドパーティーを組んでおけば安心!みたいに考えていると、罠目白押しの陽龍の迷宮に食われてしまう。


 私たちは50層までかなり飛ばして攻略した。3人でゆっくり攻略するのもありだよね。

 ジャックの加護が無くなってから幾分か動きやすくなった私たちだ。ハイビィのジャジィープロテクトは熟練度が未開放だったし、加護を強める呪い耐性もめっきり上がらなくなった。


 それから陽龍の迷宮10層でお馴染みのモンスターと会敵する。ミノタウロスは陽龍の迷宮のスターだ。





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