第73話『死なずの大地』
ゴンザ・レスバーンは重要人物でこそないけど、ジィーク・ジ・アルティメットは神アイテムのジィーク・ジ・オリジナルをドロップする。
私たちは死なずの大地に急行した。王都からだと目と鼻の先だ。
「クラン結成はあとあと! 死なずの大地にレアアイテムがある!」
「ジィーク・ジ・オリジナルは絶対に必要」
大自然族として羽ばたくためにはジィーク・ジ・アルティメットを倒してジィーク・ジ・オリジナルを手に入れなくてはならない! 第6聖騎士団が狙っている獲物と同じなんだよね!
死なずの大地にやってくると、第6聖騎士団の主戦力とゴンザ・レスバーンが戦っていた。
「クハハハハハッ!! 我が結界が破れることはないに等しい!!」
「本家を上回る覚醒っぷりだ!! アルティメットを引き出せ!!」
「「「おおおおっ!!」」」
第6聖騎士団が押していてゴンザ・レスバーンは防戦一方だ。単なるモンスターではないのだからクエストによるフラグを踏んだと思う。獲物が被ると待つしかないね!
十数人の聖騎士でゴンザ・レスバーンを押さえており、魔法攻撃による援護はまるで無かった。
助力を買って出ても間違いなく拒まれる。どうしたものかと悩んでいると、聖騎士が1人また1人と倒されていった。援護なしで孤立無援に見えるので声をかけてみる。
「手伝おうか?」
第六聖騎士団のクランリーダーに話しかける。
「……誰かと思えば悪名高いカシーか」
「悪名なんて何処にあるの?」
「E魔人と共闘してゴンザ・レスバーンやクルヘエーグを倒しただろう!? それが悪名高いと言わずして何と言う!」
悪名高いのはE魔人であって私じゃない。そこのところ分かってくれないかなぁ。E魔人から逃げ隠れしているのは私も同じだ。
「助力は不要。俺たちで倒せる敵だ」
「無理しない方がいいよ。忠告はしたからね!」
「ふん。覚醒などたかが知れている」
その時、ゴンザ・レスバーンの覚醒が起きてジィーク・ジ・アルティメットに変貌を遂げた。
ミシミシと巨体を膨れ上がらせて化け物の異形に染まる。
「我が生涯をかけた秘奥義を見よ!! 【森羅万生】!! ゴァアアアアアアアアアアアッ!!!」
「化け物か……!!」
禍々しい魔力に飲まれた大槌が死なずの大地に激震を与える。バランス感覚を失った聖騎士たちは、理性を保ったまま覚醒したゴンザの攻撃で遥か頭上に飛ばされた。
「ぎゃあああっ!?」
「あの化け物……! 速過ぎる!!」
「気合で防げッ!!」
あっという間に数人が倒されて討伐作戦は瓦解していく。ジィーク・ジ・アルティメットを甘く見ていたのは最後の一人になって実感した。
「あ、あんなの倒せるんですか?」
ハイビィは不安げに聞いてくる。
「倒せるよ! 私たち大自然族がいるからね!」
「大自然族の割合が高いですよ!」
サーチベリーはそうツッコミを入れる。大自然族は6人かな? 侍神族がいるから問題ないけどね!
第六聖騎士団が総崩れとなって、私たちは飛び入り参加を決める。ジィーク・ジ・アルティメットとは何度か戦ってきたけど、レベル200オーバーは初めてだ。
禍々しい大槌は憎悪に染まっておらず、クルヘエーグの見せた狂笑を引き継ぐゴンザ。
E魔人が倒した時はクエスト討伐だった。同格の存在が味方にいるとクエストが発生する仕様で、ノヴァを従えるE魔人のみがクエストを発生させた。だから討伐させられたと言える。
2度の覚醒を経たゴンザは異次元のステータスを有する。
しかし見た目以上の強さがない。攻撃モーションは明らかに単調で機動力に振り回されている感がある。
パッシブスキルで切り替わる瞬間がある。そこからが本番だ。
「1人で壺にいると寂しくなるけど一人じゃないんだよね」
「ハイビィは一人じゃないです!」
「経験値を吸って生きるのが世界樹なのかなぁ」
そうだよ! 連盟の如雨露で経験値を流せる!!
「ちょちょっ!」
「ダメージは与えておこう! 壺の替えはあるよね?」
暇そうなハイビィを壺ごと掻っ攫ってムスペルシュートで投げつけた。これで経験値が入ってくるよね!
「無茶をさせないでくださいよ、カシーさん!」
「意外と足止めになってる? なってないか!」
「ゴァアアアアアアアアアッ!!!」
壺を投げつけられて怒り心頭のゴンザへと魔法攻撃が殺到する。その隙にサーチベリーが2人を回収した。
足止めはジャックとジャンヌの2人がしてくれる。地面を媒介とするスキルで競い合っている2人だからね。
シャフトスタン、ボックスアップ、ターゲットアース……初期スキルだけど進化の途上にある補助スキルで戦っている。
花に欠ける地味な戦い方だ。
私たち大自然族は地の根を張って迎撃する方が性に合う。まあ私はシャフトを鍛える意味の大きさを理解している。
「パッシブスキルを出してきたね!」
「こちらも本気で戦えます!! 任せますね、カシー!」
「任されたよ!」
ウララは私を頼りにしてくれる。サイクロンとの連携でサイクロンモードだ! 暇な日に『サ学』をプレイしているウララはもう少しでサイクロンモードに辿り着ける!!
別ゲーの鬼畜難易度だろうと比較するに足る難易度だった。ハードモードの次に存在するサイクロンモードで皆殺しが始まる……愛を誓い合った一人のキャラクターとしか生きていけないモードだ。
「星逸斬り・改!!」
「改なんてあったっけ!?」
「ありましたよ!」
何を今更と言ってくるウララはふっと戦意を落として笑みを作る。
「改の方が使いやすいです。熟練度300で進化出来ました」
「進化しておこう。進化先が見られないのは困るよね~」
「今月のアップデートで変わるといいですね」
そういえば第3回イベントの前にアップデートがあるんだ。先月も仕様変更等でアップデートしたけど、スキルシステムが大きく変わることは無かった。
「ゴンザを倒してスキルを進化させる!!」
スキル進化は本人の意思によるって新規には絶妙に優しいけど、古参プレイヤーには煩わしいだけだからね!!
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