第71話『ジャンヌの加護』
新スキル、ムーンランナーは迷宮内でも有効な空中機動スキルで使い勝手は良かった。
問題はジャンヌの加護がレベル上昇と同時に(小)から(中)に上がったことだ。ほか貂に聞いたところ、ジャンヌの加護(中)で究極の極振り仕様になる。
「全ステータスポイントが最も高い能力値に入るクソ仕様」
「クソ仕様ではないです」
「いやいや。加護なのに大して恩恵ないじゃん!」
「そんなことはないです!」
講義するジャンヌにデコピンして黙らせる。加護なのに恩恵がないどころか貧乏神のように憑りついてくるキャラだよね?
「ジャンヌの加護(大)になるのはレベル300以降だよ。ジャンヌを切り捨てるなら今しかない」
「それを言うならジャックの加護も不遇です」
「ジャジィープロテクトで戻せたりしないのかな……」
対象の加護を1つのみ(小)から(中)に引き上げるパッシブスキル、ジャジィープロテクトは元より手持ち無沙汰。ウララは熟練度を解放してからジャックの加護を上げている。
私はジャンヌの加護も上げようと思えば上げられたけど、効果が効果だけにレベル150までは放置となった。
ジャンヌの加護は全ステータス上昇の起こる侍神族とは水と油のような関係。しかしウララは気にしていない。
「私の加護は絶対です! 敬虔なる信徒のために私は尽くします!」
「ジャンヌ騎士団があるんだよね~」
「私たちもクランを結成するといいかもしれません」
「ジャック騎士団にならないかな?」
訳あってジャック率は低いんだよ。主にチュートリアルのせいだけど。
ジャックだとチュートリアルクエストでは普通のポーションとジャック・ザ・ポーチのみ。
ジャンヌだとトレインポーションオンリーだ。この違いでジャンヌ人気が加速した。第1回イベントからジャンヌは人気者だよ。
「パーティーで十分だよ」
「そうですか? 願いの大地に拠点まで作りました。もっと発展させられるので人を動かす力が欲しいです」
「お餅が乗り気なら構わないよ!」
【広域転移】の魔導書が出るまでと粘り続けた私たちは、最下層の40層に辿り着いてボス戦の準備を整えた。
「ポーション率が高くて良かった! ラスボスはジューシーなあいつだよ! 名をケルベロスという!」
「水晶で頭を打った?」
願掛けよろしく縁起物の水晶に耳をへばりつけて情報を得た。ワールド情報かはさておき、私はケルベロスの気配を感じている。
最下層に辿り着くまで約10日。
下層に降りるごとに強敵が現れて幾度となく占ってきた。ワールド情報ではなくはなくそ以下のゴミ情報だと罵られたのは記憶に新しい。私ではなくウララが言った。
ケルベロス討伐には関わってないけど、レイドモンスターは共通して美味だ。ケルベロスのお肉は大層美味しかったというので、クルヘエーグはもっと美味しいのでは?と話題になった。
「魔導書は全然ドロップしないから残念だよ」
「【広域転移】のマジックアイテムはスライムズが頼りですね」
「ラスボスがドロップしてくれる」
お餅のやる気に火が付いたのは魔力回復ポーションが沢山あるからだ。消費し切れない量のポーションが魔法の世界箱に詰まっている。
エッダ・ディスカウントのドロップした全快アイテムのエリクサーポーションもある。宝箱からも見つかっていてまとまった量を手に入れた。
ボス部屋の扉を開いてケルベロスと対峙する。
「レベルは!?」
「レベル250だよー!」
「レベル250! 弱体化してるね!」
ジャックのレベル鑑定で判明したのはレイドクラスではないこと。レベル300からレベル250に下がっているので安心感はある。
「これでもクルヘエーグを3回倒していますからね!」
「三つ首はいい的」
お餅の6連魔法で目くらましをすると、ウララはケルベロスに獅王剣ベオルグを突き刺した。
「「「ガォォォオオオッ!!!」」」
「【キリングエッジ】×7!!」
すぐさま回避を選んだケルベロスに追い付いてフルスイング。金剛槍ケルベログと地獄の番人ケルベロスのどちらが強いか試してやろう!
「ジャック! 防御は任せたよ!」
「分かったよ、カシー!」
防御はジャックに丸投げして金剛槍ケルベログをぶん投げる。回避方向さえ見切れば直撃コースだ。
敏捷は500を超えている。ケルベロスの攻撃に合わせられるのも私だ。猛毒ポーションを使い果たしてしまったので、地道に攻撃してケルベロスをその場に留める。
流石にラスボス。体力が多かったものの特殊モーションは無く、レイド武器3本で押し退けられた。
「あれ。呆気ない!」
「討伐です」
小一時間かけて蜂の巣にすると迷宮のケルベロスは私たちに屈した。クルヘエーグのように形態変化するタイプではなかったらしい。
「意外といい狩り場だったりして?」
「そうですね。ドロップアイテムは美味しいので居座りますか」
「武器の消耗が少し」
お餅は金剛杖クルヘルグで何度か直撃を受けている。攻撃をいなすのに時間がかかって武器が消耗していた。
一旦、始まりの街に戻って出直すことにした。最寄りの街は始まりの街なのでケルベローグまでは戻らない。
「ドロップアイテムで肩が重いよ。何処で売る?」
「雑貨屋で構いません」
「ポーションも少し手放すよ」
それがいいね。ドロップアイテム大放出といこう!
迷宮産のアイテムを雑貨屋で手放していると、ばったりサーチベリーと出くわした。始まりの街にいるなんて珍しい。
「2週間ぶりです! カシーさん!」
「初めまして。ベリーの友達のハイビィです」
「初めましてだよ」
サーチベリーは大自然族の友達連れ。壺を持っている姿は哀愁漂うよ。壺で思い出したけど世界樹はしぶとく育っているそう。
「ハイビィはサーチベリーに誘われて始めたの?」
「そうです。トレインポーションのためだけに呼ばれました」
「正直者だなぁ」
「私は一緒に遊びたいから誘っただけです!」
信じて下さいましと言うサーチベリーはジャンヌを殺す勢いでトレポを欲しがっている。いつかのゴボーラを思い出した。
ブックマークよろしくお願いします!! 評価も頂けると!!




