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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第63話『ノヴァ討伐失敗』




 私たちの援護が間に合わずウララがE魔人に殺された。尻尾を巻いて逃げ帰ったのはウララと合流するためである。


「ノヴァは討伐出来ない……! ごめん!」


「味方クランのリーダーが裏切るとは思いません」


 装備をロストしたウララは申し訳なさそうな私の肩にぽんと手を置いた。ノヴァ討伐でまとまったのはE魔人のせいだけど謀られた!! 私たちにノヴァ討伐を考えさせてPKするつもりだったんだよ!!


「気付くのが遅すぎたよ。最初から罠だった!」


「獅王剣は無事です。魔法武器の利点は奪われないことですね」


「装備素材なら結構あるよね?」


 魔法の世界箱にある素材で急遽ウララの装備を製作する。プレイヤーメイドでもこの際ありかな?


 国境の街、エルゲンは3つの砦が並び立つ城砦で、街中には巨人族や獣人族の姿がある。

 販売されている装備はどれも無骨で味がなく、プレイヤーで賑わうようになると装備を中心に発達した。プレイヤー店舗もあるし砦はどれもクラン拠点と化している。


「大裁縫師以上の優麗匠(ゴースト・メイズ)はいるかな~」


「探すのは大変です。プレイヤー店舗がいいですね」


「うんうん。情報では三番砦の表通りにいいお店があるって」


「何処の情報?」


 知った顔のお餅に案内されるとプレイヤー武具店があった。エルゲンの情報を知ってるとは意外だよ。風の噂で聞いたらしい。


「こんにちは。装備一式が欲しくて来ました」


「PKerにやられたのか? 店売りの装備とはな」


 店主はプレイヤーのホンバという男だった。


「素材は白竜です」


「白竜なら一点ものになるな! 購入も出来るがどうする? 店には置いてないが力作だ」


「では購入で」


 ぱぱっと装備を決めたウララは純白のドレスアーマーを纏うと、素材と所持金を置いて店を立ち去った。


「ひゅぅ~。かっこいい装備だね!」


「ひゅぅ~じゃない。お前は冷やかしで残ったのか? それとも装備か?」


「特に理由はないよ。砦の持ち主は分かったりする?」


「3番砦はジャンヌ騎士団だ」


 ジャンヌ騎士団? 通りでお餅が知ってるわけだ。

 ジャンヌ関連を調べていたのはお餅で、騎士団があるという噂は聞いたことがあった。


「それであのドレスと合わせた装備はあるの?」


「……まあ無くは無いが」


「言い値で買うよ。ノヴァでも着られる?」


 ホンバには大笑いされて安く売って貰えた。ノヴァ専用になるかな?


「何か追加で買ったんですか?」


「うん。買ったよ」


 ウララとお餅に追い付いてノヴァ専用の紳士服の話をすると2人して腹を抱えて笑った。


「打倒E魔人ですね」


「倒せるかなぁ。あの人は天性のPKerだよ。アバターから怖い」


「あの顔はまごうことなくオークだった」


「鬼人族だけど種族進化はしてなさそう」


 E魔人は現在ランキング1位。

 次いでほか貂、ウララが続いている。


 私たちだけが知る真実。それはE魔人が始まりの苔を量産していることだ。クエストであれ何であれ、E魔人は始まりの苔を集められる。


 始まりの苔はレイドモンスターの討伐報酬だった。レイドモンスターに近しいプレイヤーは始まりの苔を得やすい。そんな単純な話では無さそうなのがちょっと厄介なところだ。


 E魔人の行動を辿ると、イベント前には既にトリオ獣王国を突破しているのだ。魔人の国があると噂程度に知っている私の数十倍の知識がある。


「始まりの苔をキめたE魔人と正統派のほか貂の争いだよ」


「私たちは第3勢力に加わる?」


「クルヘエーグと戦い慣れているのは私たちです」


 ウララはやる気満々だ。クルヘエーグを倒してから考えよう!


 討伐隊に混ざりながら険しい氷山を見下ろす。ウララを空挺降下してクルヘエーグにぶつけると竜箒でタコ殴りにする。


「フルスイング!! 圧杖撃(ワンド・スマッシュ)!!」


「キシィーーーーッ!! キシィーーーーッ!!」


 笑い方がキモくなったクルヘエーグの上位個体……いや、上位個体かは分からないけど、明らかにHPが多いというほか貂の言葉を信じるなら上位個体だ。とにかくカシーに聞こえるからキシーは止めて欲しい! 思わず耳を塞ぎたくなる!!


「【アイスジャベリン】×6!!」


「王獲刃戯!!」


「魔法の火力がえぐいですぅ!!」


 ポたんは極上の毛皮を引き裂いたお餅の魔法に舌を巻く。

 ウララはウララで侍神族の底力がある。獅王剣ジオルグは鬼に金棒だ。


 破滅大林道にトレインしてきてスリップダメージは失われた。大自然族は実質ダメージを受けない。


「勝てる戦いだよ」


「うん! 勝とう!」


 ジャックの言葉が何よりの証拠。私たちがクルヘエーグを倒す!!












 死獲の魔女は一部始終を見ていた。


「お前たちには失望したぞ」


「も、申し訳ありません」


 簒奪された財宝の山に居座る隠しボスが1人、プレイヤーという配下を連れて時が過ぎるのを待っていた。


 レイドモンスターの来襲は人為的で、この街に災禍が訪れるのは時間の問題。

 スタンピードの噂が広まってから彼ら、魔女狩りの聖騎士団は自陣に取り込んだNPCにスポットライトを当てた。


 ――――死獲の魔女、ゴンザ・レスバーン。


 財宝の山を見せびらかす張本人で、貧民街にほど近い2番砦の屋台骨……種族、臨界物の疑いがある魔女だ。


 ゴンザは砦から動くことがないため彼らはクラン総出で囲んでいる。そして取り込もうとした結果、逆に取り込まれてしまったというわけだ。


 彼女の願いはただ1つ。


「贄を持ってこい。お前たちに相応しい(バッドエンド)を与える」


 死の商人らしい言葉に聖騎士たちは辟易した表情でくるりと身を翻した。





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