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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第二十三話『採掘場の主』

本日三話目投稿! ブックマークをしてくださった方々に感謝します!




 『JCO』運営はジャックの扱いを相当迷ったはずだ。

 公式キャラのジャックと大自然族のジャック。

 双方の役割をプレイヤーに知って貰うことが大前提で様々な要素を盛り込んでいる。


 その一つが秘された魔法だ。


「【灼熱地獄衆レター・オブ・マネジメント】……いや、どんな魔法?」


 プレイヤーの死亡判定が引き金となって解放されるギミックらしく、解放された魔法は1回使用するとジャックの存在ごと消える。加護も消えてなくなるわけだ。

 ここまで戦ってきたパーティーメンバーがよく分からない魔法で忽然と消えてしまう。


 不死身のジャックはこの魔法で役割を終える。

 直訳すると運営のお便り。

 掲示板で情報収集した限りでは、ジャックパックやジャージミルクなどがある……らしい。効果は付与魔法でジャックパックは移動速度上昇、ジャージミルクは生産時の成功率上昇とのこと。


 魔法発動の判断はプレイヤーに委ねている。

 その証拠にジャックは何も言ってこない。ちゃんといるよね? パーティーはそのままだし。


「ジャック?」


「いるよ! 魔法を使うの?」


「使わないよ?」


 気になる……付与魔法だよね? 直訳すると運営のお便りってだけだよね? 【灼熱地獄衆】はどんな魔法なのか気になる……! 気になって眠れない!!


「……………………運営のお便りは先に読んでおかないと駄目だと思う。付与魔法だと装備にもかかる? 手紙だし何通も……はっ!」


 そうだ。手紙は増えてもおかしくない!!

 【灼熱地獄衆】だ。複数形である。付与魔法とは思えないので、アイテムが貰える可能性は高い。仮にもチュートリアルクエストをクリアしたんだし、魔法を発動するジャックのレベル次第ではアイテムが増えるはず。付与魔法でも効果は高くなるよね? 時が満ちるまで開いては駄目なんだ。


「危ないところだったよ。『JCO』運営はゲーマーの味方。お便りはイベント告知に決まってるよ」


 深夜零時を回ってレイドイベントの告知があった。

 王都襲撃イベント。

 正式サービス開始からきっかり1か月後におびただしい数のモンスターが王都を襲撃する。計5つのレイドマップがイベントフィールドと化して人族国家は未曾有の危機に瀕するシナリオだ。


 イベント結果はランキング形式で、数万人のプレイヤーが王都防衛に回る。

 イベント期間内により多くのモンスターを倒すとランキング上位を死守出来るんだろう。イベントフィールドに展開するプレイヤーは防衛戦力を軽く超えてくる。

 第1陣は10万人前後で、第2陣はそれを上回る数だ。第2陣のプレイヤーもイベント期間内に王都まで辿り着ける。チュートリアルという名の地雷を踏まなければ。


「鍛冶屋の様子でも見てくるかな~」


 是非とも防具が欲しいので、助けた鍛冶師の元に向かう。


「おっ? 何か作ってる?」


「あんたか! 助けて貰った礼がしたくてな」


 そう言って、工房で製作していた武具を見せてくれる。

 鉱石で強化させられるゴツい重鎧の足パーツ。うん。これはパーツだよね。私のために作ってくれた?


「材質は木なの?」


「デスフレイムタートルの甲羅だ。この工房の扉だったんだが奴のブレスを受けたから防具にした」


「強そうだよ! ありがとう!」


 火耐性の付与された防具だ! ロボットの足パーツみたいに厳ついけどドレスで隠れるかな? ビームサーベルを使っていたし鍛冶師NPCは天啓を得たんだろうか?

 そう考えていると、のっしのっしと凶悪なガントレットを装備した鉱夫NPCが通り過ぎた。鉱山村ではベーシックなスタイルだった? 強化して貰おうかな?


「この素材で強化出来る?」


「出来るぞ!」


 それならとヴァルハルリカの王恋房束を2本とも渡した。完成まで竜窟広場で待っていよう。


「広場の掃除でもするかな」


 瓦礫に埋もれた竜窟広場をせっせと片づける。

 選択肢がなかったとはいえ、このエリアに誘き寄せた私たちが原因だ。

 村なのを度外視すると戦いやすいエリアだった。防衛イベントは死ぬほど大事だよ。


「悪い。クエストを受けている」


「うん?」


「手伝ってくれるのは助かるけど」


 広場で瓦礫を拾っているとプレイヤーがNPC連れで現れた。

 さっきの鉱夫NPCだ。重機みたいな両腕なので瓦礫撤去は楽々だろうとプレイヤーを見やる。


「じゃあ任せるよ。瓦礫もお願いしていい?」


「ああ。ソロプレイヤーか?」


「パーティーを組んでるよ。採掘場から出てきたの?」


「……まあな」


 ほほ~。つまりこっちの重鉱夫は鉱山村の村長なんだ。


「友達が採掘スキルを取りたくて一緒に来たんだよ。この辺りの採掘ポイントには詳しいの?」


「美味しい狩り場はPKの巣窟だ。採掘場にめぼしい採掘ポイントはない。ベレット鉱石が採れる鉱脈はあるからそっちには下りていいけど」


「コモンで払うよ。王竜の情報は興味なし?」


「この村は縄張りの外だったよな。レベル800のレイドモンスターとしか知らない」


「レイドイベントに関わってきそうなモンスターだよね」


 アイテムトレードを持ちかけてヴァルハルリカの王恋毛を見せる。


「ヴァルハルリカの……王竜の素材か」


「ミスリル鉱石20個でいいよ。友達も1本持ってるんだよね~」


「20個か……分かった」


 トレード成立! これで祭壇の大斧を2段階強化出来る!


 魔刀職人のハンデイとフレンドになったので、武器強化の前に慌ててウララを呼ぶことになった。

 ハンデイは採掘場の主だ。

 しかも魔刀職人なので色々とスムーズに進められる。上位職は転職条件に一定値のスキル熟練度があるので名もなき鉱山村に武器屋を開けてしまう。


「助かりました、カシー。しかし凄い装備ですね」


「念願の武具だよ」


 ヴァルハルリカの王恋房束を用いた脚部パーツは破壊不可1号に換装された!


 ボロ切れ古着から厳つい脚部パーツから見え隠れする。

 耐久4500、攻撃力800の王竜騎噴脚(ヴァルハルリカン)だ。

 攻防一体の武装に仕上がっている。火耐性付与。超高熱のブレスを受けて紅蓮に染まったデスフレイムタートルの甲羅を損なうことなく光沢に磨きがかかった。


 【火神鍛造】による賜物だ。

 合計熟練度1500以上の鍛冶魔法を融合することで獲得可能と噂されている。

 生産魔法の熟練度上限が500でストップしやすい現状、熟練度最大の鍛冶魔法を三つも要する魔法が使えるのはNPCのみ。プレイヤーがその境地に辿り着くまで半年はかかる。


 村の重鎮を危うく死なせるところだったので、竜窟広場を戦場に変えるのは間違いだと思い直した。

 マッチポンプみたいで悪いけど、命を助けて好感度は上がっている。


「強化した」


「ありがとう!」


 そして祭壇の大斧はハンデイが強化してくれた。

 【火神鍛造】を習得したいそうなので、熟練度上げの足しにして貰ったんだ。採掘場の入場許可も得られたので万々歳である。





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