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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第二十二話『竜窟広場』

本日二話目投稿! 拙作を読んでいただきありがとうございます!




 王竜相手に峠道で死闘を演じて道なき道を切り開く。

 山の側面は度重なる隕石群によって消失した。

 焼け野原に集まったプレイヤーが何人も犠牲になってデスリスポーンは近道だと開き直った。


「ここまで来ればもう安全だね!」


「それは死亡フラグです」


 鉱山村は山頂に近く、建物や広場は地中にある。

 竜窟広場で親しまれるドラゴンの巣穴を作り変えたエリアがあり、隣接する採掘場はモンスターがポップしないことで知られる。特殊ポップのミスリルゴーレムを討伐するためのエリアとして有名だ。


「「「「「ぎゃあああああっ!!?」」」」」


 そして隕石群は竜窟広場に降り注いだ。

 広場の中央に集まったプレイヤーたちは一掃される。


「侵入してこないよね?」


「多分」


「採掘場はプレイヤーが購入しているので許可を取るしかありませんね」


「侵入制限か~」


 ヴァルハルリカは竜窟を通って侵入出来る。

 しかし竜窟広場はそこまで広くない。まるで関係ないけど、エリアの所有権は竜窟のようなものだ。NPCはシステムの恩恵を得られず、プレイヤーはシステムの恩恵に護られることになる。


 採掘場はシステム的に侵入不可で、許可されたプレイヤーしか入れない。

 ハオーラから購入した畑エリアも全く同じ。

 これまでNPCに融通を利かせて利用していたエリアがプレイヤーに所有権が移ると使えなくなる。美味しい狩場であればなおのこと不満は募る。


「リスポーン地点を更新したいですね。そこで相談です」


「……おう。あんたら余所者か?」


 竜窟広場に面する鍛冶屋の店主は訝しげに聞いてくる。ドラゴンが襲ってくることを予期していたような幅の広い軒先で何処までが鍛冶屋なのかと首をかしげたくなった。


「宿がないのは知っています。部屋を売ってください」


「鉱夫通りのか。値は張るぞ?」


「広場がこの有様で高く売りつけるんですか?」


「ちょっと脅かしただけだ」


 村で唯一の鍛冶師は大家でもあるらしく、真っすぐな鉱夫通りの建物を売ってくれた。


「いくらしたの?」


「35kです。余所者らしい場所ですね」


 鉱夫通りの奥に並んだ建物で部屋は1つ。ベッドは3つ並んでいた。

 寝床を選ばないなら奴隷通りのベッドがある。

 採掘場がプレイヤーの手に渡ってから不人気の村だ。


「鉱夫ギルドに用があるので行ってきます。あちらにも坑道があるので」


「詳しい」


「1度来ただけです。採掘場が誰の所有なのかは鉱夫ギルドで分かるはずです」


「私は防具を探してくるよ」


「カシーは装備が酷い状態」


 裁縫師を探すべきかな? 王竜の炎で破損寸前だ。強化してあるからギリギリ持ちこたえている。


「シールヴァルで買おうかな? デスリスポーンで戻れるし」


「王竜に挑むと破損しますね」


「帽子と合っているし捨てるのはよろしくない」


「レベル1装備だよ? 強化素材はジャックシープだけど」


 進化させてもね。ボロ切れ寸前の古着になったから新調したいんだよ。


「んっ? 山頂に降りてきた?」


「降りてきましたね」


 ズズンッと、鉱山村を揺らしたヴァルハルリカはフィールド全土に咆哮を響かせた。

 せめて防具を整えるまで待って欲しいよね。隠れた大裁縫師はいないかな~?


「「「ぎゃああああっ!!?」」」


「降りてきたぁぁッ!?」


『Quaaaaaaaa!!! Quaaaaaaaaaaaa!!!!』


「……王竜、凄い怒ってない?」


 私たちは部屋を出ようとして踏み止まる。

 扉からなるべく離れていよう。ブレスを放たれると一巻の終わりじゃないかな……?


「索敵は使っていませんよね?」


「部屋に入ってからは使わなかった。広場では1度」


「誰かがトレインポーションを飲んだとか?」


「あり得ますね」


 モンスターのポップ率を引き上げる魔法のポーションはレイドモンスターの襲来を約束する。

 市場に出回るのは一部だろうけど、銀鉱山は大自然族の集まるエリアだ。ジャンヌ付きのプレイヤーが1人や2人いても不思議はない。


「体当たりしてくる」


「王竜には不利ですか……しかし戦うのは難しいですよね」


「うおらぁ!! ゾンビアタックだぁあああ!!」


 鉱夫通りから死に戻りしたプレイヤーが飛び出していく。とても嫌な予感がするよ。


 そして案の定、鉱夫通りに灼熱の息吹が注ぎ込まれた。

 その時、鍛冶屋の断末魔が聞こえた。


「俺らの……! 全てを奪うつもりかぁあああああッ!?!」


「アヒャヒャヒャヒャッ!!」


 レイドモンスターに便乗したプレイヤーはやることが一味違う。


「この村、盗賊に乗っ取られる寸前だよ」


「行きますか」


 私は電光の魔杖に持ち替えて、片手にはホワイトポーションを持った。

 豪熱で炙られた鉱夫通りをブランクダッシュで駆け抜けて鍛冶屋の店主をホワイトポーションで助ける。


「鍛冶屋にプレイヤーが2人」


「押し入りかな?」


「私が向かいます」


「あ、あんたらは……」


 竜窟の上から仕掛けたプレイヤーはヴァルハルリカの鱗に刃が刺さらず死亡(デス)

 窮屈そうなヴァルハルリカは身じろぎするだけで私たちを殺せる。竜窟広場で手玉に取られるのは私たちの方だ。

 しかしだ。ヴァルハルリカはヴァルハルリカで「生身でブレスを受けて死ななかったNPC(人間)」に驚いている。


 高い火耐性を有する鍛冶師NPC。

 死なせるのは惜しい。装備性能は製作者のステータスに左右される。


 護衛はお餅に任せて、ブランクダッシュの効果が切れるまでヴァルハルリカを攪乱する。

 竜窟広場は大自然族でも行き来可能なエリアだ。

 シャフトは問題なく使える。縦方向にも回避ルートを選べるのでフィールド上よりも戦いやすい。


「カシー!!」


 ウララの叫び声に私は何もかもを悟る。

 ここでは戦うなと、そう言いたげだった。鉱山村でドラゴンを倒すのはご法度だ。倒す算段を立てるのは悪くない! ということで、解けかけの編み目に捕まって空の旅といこう!


「ひゃっほぉおおおおーーーーーうっ!!!」


『Cyaaooooooooooooooooo!!!!』















 顔周りのすっきりしたヴァルハルリカを拝んでからデスリスポーン。

 鉱山村から王竜の脅威は去ったのか部屋のベッドで目を覚ました。何かこう、言いたい。


「お前が見たのは天空の花園ってやつさ。きゃー、恥ずかしい」


 天空の花園で掴み取ったヴァルハルリカの王恋房束に包まる。

 ドレイン攻撃で吸われたので装備は無事だ。SUN値はごりっと削れた。イソギンチャクは上に生えている。じっくり観察するんじゃなかったよ。あのイソギンチャクが咆哮を上げているんだ。


「お疲れ。凄い! 切ってきた!」


「切ってきたよ~! もみあげ辺りまでふっさふさでさ~!」


「誰の話ですか」


 お餅とウララが部屋に入ってきて3、4メートルはある王恋房束を見せつける。


「アイテム化するんですね」


「うん。頬周りから切るといいって気付いたんだよ。与ダメージはいまいちだった」


「もう1本あるんですか」


「当然! 王竜も切って欲しそうだったよ!」


「そんなことはないと思う」





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