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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第二十四話『シャフトシャフトキック!』




 螺旋状の坑道はシャフトの天敵であった。

 武具でどうにかならないかと鍛冶師のパゾースに頼んで完成したのが王竜騎膨腕(ヴァルハルリカル)だ。ヴァルハルリカの王恋毛を使用したガラス細工の腕装備で、魔法耐性の極まった結晶体は「魔法を封じること」が可能な器となった。


 打撃判定の【パンチャーバレット】は片腕に、

 斬撃判定の【キリングエッジ】は両腕に封じられる。


 魔法を封じると王竜騎膨腕は膨張する。

 最大五つ。魔法は重複可能なので片腕に【パンチャーバレット】を籠めまくって一回り大きくした。坑道を引き裂きながらシャフト移動するのはたまらなく楽しい。


 ベレット鉱脈があるのは螺旋状の坑道だったので、ウララの採掘スキル習得に貢献するため往復する。

 スキルの習得はレベルアップごと。

 生産スキルでも採取、伐採、採掘は誰でも習得可能だ。


 ウララは鉱夫ギルドのクエストを熟しながらミスリルゴーレムを討伐している。

 ポップ条件に大自然族の存在があって、シャフトしまくるとミスリルゴーレムは出現する。


 ただまあ落とし穴もあって、ベレット鉱石には猛毒が含まれる。

 明狂の銀鉱山は毒石が豊富に採掘される不毛の鉱山だ。銀鉱脈は殆ど掘り尽くされた後で名もなき鉱山村は毒石と石材とたまに採れる魔鉱石で成り立っている。


 ミスリルゴーレムはミスリル鉱石の他にミスリルゴーレムの核をドロップする。

 ウララにはレアドロップ率の上昇があるので、丸1日かけてミスリルゴーレムの核を30個ほど集めた。ミスリル鉱石は2スタックだ。専用の採掘場だと周回効率が違う。


「レベル70になりました。カシーはしばらくシャフト禁止です」


「目が回って動けないよ」


「この場所をダイエット坑道と名付ける」


 2キロ弱の坑道を100往復以上はした。シャフトの熟練度は裏切らないんだ。


 午後一番に参戦したお餅はシャフトがストーンシャフトに進化して、猛毒地雷原のベレット鉱脈を調べ回っていた。地中にモンスターの反応はなく、隠しエリアはないだろうと結論付けた。


「地中世界は不思議だった」


「明るいんだよね?」


「少量でも魔鉱石が産出するので明るいようです」


「すり抜けは邪法の類」


 大自然族は環境オブジェクトを最大限活用出来る。

 プレイヤー視点でも実験的な種族だ。バグらないのか?って好奇心をそそられる。


「レイドモンスターに大自然族がいると厄介ですね」


「だよねぇ~」


「姫プがしたい」


 いきなりどうしたの? お餅が姫プ?


「PK対策は必須ですね」


「私はミスリルゴーレム専門で。地中は心地いい」


「迷宮都市があるよ?」


「三人で行ってみたいですね」


 うんうん。加護持ちの出荷は今に始まったことじゃないのでお餅が気にすることはないよ。


 序盤のレベリングでミスリルゴーレムの討伐は王道中の王道だ。

 そのために大自然族がいると言っても過言じゃない。

 そしてジャンヌクエストで得られるトレインポーションがあると効率は2倍。採掘場だと他のモンスターは寄ってこないので実質ミスリルゴーレムのポップ率が2倍になる。


「ミスリルゴーレムがこれもドロップしました」


「これは?」


 ウララは模様の入った遺跡の石片を見せてくる。


「祭壇の欠片です。ドロップ率1パーセント未満の激レアアイテムで祭壇武器に使われます」


「へぇ~! 祭壇の大斧はクエストアイテムかと思ったよ!」


「鉱石ギルドには納品クエストがありました。ドロップ率は上がるようです」


 なるほど~。ウララは受けなかったんだ? ギルドクエストは受注制限がある?


 特定のギルドでギルドクエストを受けると、他のギルドではクエストを受けられないらしい。

 ウララは鉱夫ギルドで毒石納品を熟している。

 レベル70になって毒耐性を獲得していて熟練度解放までは速い。熟練度は対応するクエストで上昇するからね! シャフト専用のクエストはチュートリアルしかないけど!


 私はシャフトの手間賃にミスリルゴーレムの核を貰って王竜騎膨腕を強化している。

 防具はパゾースの【火神鍛造】で強化となった。

 魔法のスタック数は順調に増えるし、NPCのスキル熟練度も並行して上げたい。


 ミスリル鉱石も殆ど買い取って貰った。

 1個8000コルで2スタックなので、ウララはミスリル鉱石でぼろ儲けしている。ハンデイはハンデイで大自然族を囲ってやっているはずだよね。

 採掘場を借りた恩があるので祭壇の欠片はハンデイに持っていった。


「その姿で大自然族とは。言い値を払うから情報を教えてくれ」


「強い刀2本で」


「光魔鉱と闇魔鉱の合金がいいです」


「それで手を打とう」


 ハンデイは私とお餅が大自然族と気付いて情報を求めてきた。

 背後には大自然族のプレイヤーがいる。

 ジィーク・ジ・オリジナルの情報を提供すると、ハンデイに付いているプレイヤーは墳塞下流域を攻略する。イベント期間前に死なずの大地を下見するかもね。


 隠し職業のことは伏せて死なずの大地で蘇ったNPCのドロップであると明かした。

 鍵となるレイキーアについても黙っておく。

 ジィーク・ジ・オリジナルはイベントアイテムの可能性が高い。私たちは王都襲撃イベントでこのアイテムを獲得するのが目標だ。神アイテムだし神アイテムだし、討伐フラグを探すのはやっぱり楽しい。


「王国内に散らばっている可能性は高い……イベント報酬はあれ(・・)だからな」


「あれって?」


蘇生薬(スポンサードリンク)だ」


 ……スポンサードリンク?


「死獲の魔王が進軍するとその手のNPCは集まってくる。だが今回は魔王が動いていない。魔王の眷属がそのアイテムを握っているのか……下手するとアイテムを量産させられる」


「あ、うん」


 初のレイドイベント。

 事前情報はないはずだけどスポンサードリンクに付随するアイテムは分かる。


「刀は任せてくれ。王恋毛があるとサイバーチックな魔刀になる」


「魔杖にするので魔鉱の刀2本で」


「分かった。大裁縫師の知り合いがいるんだよな?」


「裁縫師だよ。レアスキル持ち」


 そう嘯くとハンデイは納得した。


 ヴァルハルリカの王恋毛はビームサーベルに使える。

 レベル800のレイドモンスターから得られた最上位の素材だ。私はいくつも持っていたので気まぐれにミスリル鉱石と交換したけどそれ以上の価値がある。メイン拠点の屋敷にいるレイキーアを頼る方がよっぽどいい。


「パゾースとはパーティーを組めるかな?」


「……鉱夫通りの建物を買い占めると組めるかもな」


「試してみますか」





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