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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第十五話『ジィーク・ジ・アルティメット』




 大自然族とは正反対の質量と密度の権化は「ガリトーのスキルを引き継いだモンスター」という一点において最強だった。


 いかなる斬撃も通さない屈強な肉体が降ってくる。

 村全体に地響きと化け物の咆哮が響いて廃村の建物は瓦礫と化した。

 あの巨腕と打ち合ってはまともに立っていられない。尻尾を巻いて逃げるのに誰も反対しないだろう。ハオーラは反対するかな? レイキーアを連れ戻すために私とパーティーを組んだんだし。


「カシー! 見つけたわ!」


「見つけた!? って、本人を見つけちゃったか!」


「酷い有様だ」


 レイキーア工房に繋がる隠し通路を探させたハオーラがレイキーアを引っ張ってきた。

 見つけたようで何より。ここは逃げて貰うのが正解だよね。

 しかしハオーラは遊撃として戦える。レイキーアには戦闘力を期待しないけど上位職業の大裁縫師だ。ロープで動きを封じるのは流石に無理があるかな? 非戦闘員は逃がすべきだ。


「レイキーア! 大自然族専用の武器はある!?」


「1つあるが」


「盾と交換!! パーティーを組んで!!」


「……分かった」


 フードを外したレイキーアは決意を秘めた瞳で盾を装備する。


「ガリトーの盾か……あいつは死んだんだな? 死なずの大地で蘇ったと聞かされた時は驚いた。ガリトーは戦場で死んだんだ。唯一の友人だった」


「ゴァアアアアアアアアアアッ!!!」


「友人の敵討ちには微力ながら協力するよ! 私と戦うってことだけどね!」


「ガリトーは死んだ。街には墓もある。しかしある日、ガリトーは屋敷にやってきた」


「兄上……それでは」


 ガリトーはお尋ね者だ。

 因縁があるのはレイキーアの方で、少なからずハオーラも関わっている。


「なんでビームサーベルを持ってるんだろ……まあいいや! 四人でこいつを倒すよ!!」


 レイキーアと物々交換で手に入れた電光の魔杖は攻撃力500のビームサーベル。

 こんな武器を隠し持っているNPCと出会った幸運には素直に感謝して、機動力の上がった巨人相手に1歩も引かずに戦闘を続行する。新たな武器を得たプレイヤーは等しくテンションが高い!!


 満面の笑みで……と言っても表情はアバターに反映されないので、私は人目をはばかることなく電光の魔杖を操る。フルスイングによる威力増大は薄いと通常攻撃で急所を貫いていく。

 斬撃は行わずに魔法を織り交ぜながらその場に封じ、ハオーラの【アイスジャベリン】を頼りにしながら巨人を針山地獄に突き落とした。


「ガアアアアアアアアアァァァァ………!!」


「武器が強かったよ。南無さん!!」


 電光の魔杖をランスの如く用いて、ジィーク・ジ・アルティメットを成敗する。




『クエスト「ハオーラの願い」をクリアしました』


『アイテム「ジィーク・ジ・オリジナル」を獲得しました』




 ジィーク・ジ・アルティメットを討伐して、レベル33からレベル52に急上昇した!

 獲得ステータスポイントは1レベルごとに6ポイント。これは黙っていないと壮大に叩かれる案件だ。ビームサーベルもゲットしちゃったし。


「倒した……のか」


「兄上っ! カシーが倒してくれたわ!」


「2人のお陰だよ~! ジャックもありがとね!」


「いいんだよ、カシー! ジィークが困らせたみたいでごめんね!」


「ジィーク? 不老の賢者ジィークのこと?」


 ハオーラはジャックに問いかける。

 クエストモンスターにしては討伐難易度が高かった。別のフラグが立っていたんだよね?


「ジィークはジィークだよ!」


「ジャックの兄弟だし大自然族だと思うよ。ひとまず街に戻ろうか。それでいいよね?」


「ああ」


 力強く頷いたレイキーアにハオーラはほっと胸を撫でおろした。






 ガリトーは昔、ひょろくてチビな貴族の5男だった。

 体格に恵まれず戦う才能もない。

 それでも死なずの大地に送られて貴族の責務を全うした。魔王軍と戦って死んだのがガリトーという男だ。


 ジィークの加護で蘇ってから屈強な肉体に変化した。

 故郷の街に戻って旧友のレイキーアと再会し、死んだ事実を諭されてガリトーは発狂した。生前のガリトーとは似ても似つかわぬ姿に変わり果ててレイキーアは聞く耳を持たなかったんだろう。


 レイキーアたちの両親を惨殺して、街道で悪さをする盗賊団の親玉になった。

 ガリトーの盾を持ってガリトーを騙った……それだけじゃないのはジィークの存在があるから。


「ジィークは動詞に近くて……まあスキルを司るんだよね。大まかな法則性は分かったよ」


 ジャックは機動系のスキル。

 ジィークは防御系のスキル。

 人族の国にはもう一人、廃盾のジュゲムがいる。場所は迷宮都市だ。

 最後の2人は不明で、ジャックは会ったことがない。


 『JCO』をプレイする上で念頭に置いておかないと後悔しそうなスキルツリーの情報だ。

 加護の力は絶大である。

 1つあるだけでステータスの伸びしろが大幅に引き上げられる。


「これは使っていいものかな……?」


 私は屋敷の客間で寝転がりながら悩ましげにアイテムウィンドウを見つめる。




・ジィーク・ジ・オリジナル

自由自在に装甲を製作する魔法のツール。その鎧は決して破壊されず、無数の運命に抗う盾となる。




 これが2つある。ドロップアイテムにもあったんだよね。

 お手軽製作ツール。つまりは神アイテムだ。

 ジィークの眷属を倒すとこのアイテムを入手する。イベントを先取りしている気がしなくもない。


「……アバターのカスタマイズにも使えるよね?」


 今の私は透明人間だ。

 ジィーク・ジ・オリジナルを使うことでオブジェクト化される可能性は高い。


 先に調べてみようとゲーム内掲示板を見ていく。

 『大自然族』『自然族』専用掲示板は殆ど非活性みたいだ。プレイ人口が増えているのに大自然族は増える由もない。チュートリアルをかっ飛ばす新規プレイヤーが大半なのかな?


「う~ん。レイキーアの【精霊縫糸(サンクチュアリ)】に頼むべきだよね」


「何を頼むの?」


「私の姿そのものだよ」


 レイキーアは【服飾鑑定】と【服飾解体】の複合魔法、【精霊縫糸】を持っている。

 複合魔法は熟練度が一定に達した魔法を融合して生まれる。


「レイキーアなら作ってくれるよ!」


「よし! そうと決まれば作って貰わないとね!」


 パーティーメンバーなんだし遠慮するのもどうかと頼んでみる。


 屋敷の地下に引っ越したレイキーアは、何1つ変わらない生活を送っている。天井の馬鹿でかい骨と木の実を付ける小木がないのでちょっと寂しく感じるレイキーア工房だ。






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