五 山に眠る青白い光
会議が終わろうとしたとき、ヨハンが別の書類を取り出した。
「もう一つ、ご報告がございます」
「何だ?」
「北東の山にある魔石鉱脈についてです」
エドガーは顔を上げた。
「採掘量に変化があったのか?」
「はい。先月の調査で、以前から採掘している坑道の奥に、新しい鉱脈の一部が見つかりました」
ヨハンは、紙に描かれた鉱脈の図を広げた。
「青白い光を帯びた魔石です。大きさはまだ分かりませんが、品質は悪くないと考えられます」
「魔力の性質は?」
「調査中です。魔力を蓄える性質があるようですが、どの程度の力を保持できるかは、専門家による鑑定が必要です」
魔石。
この世界の山々には、普通の鉱石とは異なる、不思議な石が眠っている。
石の内部に魔力を蓄える性質を持つもの、熱や光を生み出すもの、特定の魔法に反応するものなど、性質はさまざまだった。
魔石は魔法使いだけが扱うものではない。
魔力を操る技術を持つ職人たちは、魔石を加工し、日常生活に役立つ道具へと変えていた。
夜の暗闇を照らす魔石灯。
水を汲み上げる魔道具。
寒い土地で部屋を暖める暖房器具。
鉱山で空気を送り、暗い坑道を照らす作業用の道具。
そうした品々は、魔石の性質と職人の技術によって作られる。
「魔道具の職人に鑑定を依頼できるか?」
「王都の魔道具工房と、領内の職人に相談するつもりです」
アルベルトが興味深そうに図を覗き込んだ。
「魔石の品質が高ければ、魔道具の製作にも使えますね」
「ただし、採掘を急ぐことは許さん」
エドガーは、ヨハンを見た。
「魔石の鉱脈は貴重だが、坑道の安全が第一だ。鉄鉱山の修繕も残っている。人手を無理に割けば、どちらも危険になる」
「承知しております」
「まずは鉱脈の規模と性質を調べること。採掘を増やすかどうかは、その後に決めよう」
ヨハンは頷いた。
魔石は大きな可能性を秘めている。
しかし、その価値を知る者が増えれば、同時に利権を求める者も現れるだろう。
エドガーは、そのことをよく理解していた。




