六 小さな令嬢の疑問
夕暮れ。
アリアはミーナと一緒に食堂へ向かっていた。
廊下の壁には、歴代の当主の肖像画が並んでいる。
その中に、見慣れない絵があった。
山の中で、青白い石を手にした男が描かれている。
「ミーナ。あの人は誰?」
「こちらは、ヴァルデン家の古い当主でございます。魔石の採掘と魔道具の製作を領地に広めた方と伝えられております」
「魔道具?」
「魔石を使って動く道具でございます。魔石の力を利用すれば、火を起こしたり、光を灯したり、水を汲み上げたりすることもできます」
アリアは、絵の中の青白い石を見つめた。
「魔法が使えなくても、魔道具は使えるの?」
「はい。道具そのものに魔石の力を蓄えたり、決まった働きをする仕組みを組み込んだりすることで、魔法を使えない者でも扱えるものがございます」
「すごいわね」
「ただし、作るには専門的な知識が必要です。魔石の性質を調べ、壊れないように加工しなければなりません」
アリアは、ふと気づいたように尋ねた。
「魔道具を作る人も、学校で勉強するの?」
「王都には、魔道具について専門的に学べる場所があると聞いております。王立貴族学園にも魔道具科が設けられているそうです」
「学園で魔道具を作るの?」
「はい。魔石の性質や魔力の扱い方、道具の仕組みなどを学ぶのでしょう」
アリアは、青白い石を描いた絵から目を離せなかった。
魔法を使える人だけでなく、道具を作る人も、この世界には必要なのだ。
そして、その道具は人々の暮らしを少しずつ変えていく。
「いつか、魔石を見てみたいな」
「機会がございましたら、旦那様にお願いしてみましょう」
ミーナは微笑んだ。




