#90咲さんの不可解な点
「そういえば咲さんはどうしてここにいるんですか?」
僕はふと思ったことをそのまま口に出した。
さっきから気になっていた事なんだけど、咲さんはどうしてこの猫の世界に来れてるんだろう。
猫の世界と現生 (最初にいた世界をそう呼んでる)にはペルさん以外はゲートで転移するしかなく、ゲートには転移制限がかかっているから普通なら入ってこれない。
なのにどうして咲さんいるんだろう?
というかまず咲さんはこのゲームやってたんだ。
僕と咲さんの関係はクラスメイトで少し仲が良いくらい。
「ど、どうしてここにいるってどういうこと?」
「ここに来るまでの間に結界的なものが張ってあってここに来れないと思うんだけど…」
「し、知らないよ。私はココくんがいたから話しかけようと後ろをついて来たら来れたんだよ」
咲さんが笑顔で答える。
なんか少し焦ってるような感じだけど何にそんな焦ってるんだろう…
「それは気づかなくてすみません。いつから後ろをついて来てましたか?」
「昨日の夕方頃からかな。この街に入って来てからは少し街を探索してたよ」
「そうですか?それでどうして咲さんがペルさんと雪姉さんとリックンのいる部屋に居たんですか?」
「私はここで今日部屋を借りて一晩過ごそうと思ってて、それで部屋を借りて二階の廊下を歩いていると奥の部屋の方からリックンの声が聞こえたからこの綺麗な街のこと何かわかるかなぁ〜って思ったんだよ」
「そうなんですか……」
リックンの声が外まで聞こえてたんだ……
一体、リックンはどんなことをされていたのだろうか?
「そしたら中から志太くんに媚薬剤や自白剤を飲ませてイチャイチャしようと作戦を立てている人たちがいたからその薬品の破壊を目的で侵入しました。それがまさか志太くんのお姉さんだったとは…本当にすみません」
「そんな謝らないでください。これで悪いのはペルさんと雪姉さんだとわかったので…」
「いえ、その姉弟でそういう関係なら、私はプライバシーの侵害をしてしまいした……」
咲さんは顔を少し赤くして言う。
そ、そういう関係って姉弟以外であっても変な関係じゃないよ…なんかプライバシーの侵害をしてしまいました、って言われてもそんな疚しいことは何一つしてないよ。
「そ、そんな…咲さん。僕はペルさんと雪姉さんの二人とは疚しい関係じゃないですから!」
「一緒にお風呂とかは入る関係だよ!」
「雪姉さんは黙っててください」
「あの……志太くん…」
「何ですか?」
「とりあえずこの騒動が終わったら街を案内してもらえませんか?」
「良いですよ。この街にはすごく美味しいカフェがあるんですよ」
「それは楽しみです」
「おやおや、二人とも仲が良さそうですね…」
雪姉さんがニコニコしながらこちらを見てくる。
「もしかして二人はもう恋人?」
「違うから…もう静かにしててよ」
「けどココくんよ。君は肝心な真実を野放しにしている」
雪姉さんが謎に意味深い発言をして来た。
これをスルーしたいけど重要な点を見逃してたら嫌だなぁ…
「何がですか?」
「さっき宿屋の廊下を歩いている時、リックンの声が聞こえたと主張していた。それに違和感を感じないかね」
「特に何も感じないよ」
「ココちゃんは優し過ぎるよ。尋問というものは相手の隙という隙を利用して情報を集めなければならない…」
「雪姉さんは何が言いたいの?」
「だから廊下の外から中の声が聞こえるってことは相当聴覚が良いって事だよ」
それは当たり前だ。
咲さんはウサギの獣人である。
ウサギの優れている器官は聴覚だから、ウサギの獣人も聴覚が優れている。
さらに付け加えるなら脚力もかなりのものである。
「当たり前?そう思うならまだまだだよ。私は部屋に風魔術の消音を使ったから室内の声が外に漏れだすことはほぼない。なのに彼女には聞き取れた。おかしいと思わないのか?」
確かにいくら聴覚が優れていても風魔術の消音なんて使われていたら多分普通じゃ聞こえない。
「ということは…」
「ということは咲さんは相当感覚系スキルに優れているってこと?」
「惜しい。正解は隠蔽系スキル、特に聞き耳系スキルがかなりの手練れということだよ。つまり彼女は実際はココくんをストーカーして吐息をハァハァ漏らしながらエッチなことを廊下でしていたって事なんだよ!」
「し、してません!」
「廊下でココくんの声を聞きながらエッチなことをしていた途中、ある部屋の一角から知り合いの声を聞いて自身の大きな声が気づかれていないか確認しに行ったんだよ!」
「し、してません。そんなエッチなことなんて…エッチなことなんて…」
「さぁ、素直になるんだ!」
「そんなことしてません!」
次回予告
意識のある人から事情聴取を終えたココくんはこの惨状に対して判決を言いわたす。
私たちの罪は一体?




