#83羨ましい…
「「羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい………」」
「あ、ペルさんと雪さん!何してるんですか?」
僕、リックンは街角に潜んでいる2人に声をかける。
しかし二人は……
「「羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい………」」
と連呼していた。ペルさんと雪さんが見ている方角には、仲のいい雰囲気のココとミケさんがいた。
2人はミケさんに嫉妬しているのか…良いなぁ、ココは。可愛い姉と可愛い年上の友達に愛されてて…羨ましい限りだ。
「あの…ペルさん、雪さん…」
「「羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい…羨ましい……」」
反応が羨ましいでしかない。
「あの…ペルさん!雪さん!」
僕は二人の名前を強く呼ぶ。
「あ、リックン。こんにちは…何してるの?それより…」
とペルさん。
「あ、リックンよ…今何をなされておられた。それより…」
と雪さん。
「「なんでココくんとミケがあんなに仲良くなってるの?」」
二人が同時に僕に問いかける。
「さ、さぁ…」
「リックン、教えて!」
「少年よ、我に素直に話したまえ!大丈夫、聞いてないフリをするつもりだから」
二人の目は…本気だった。た、例えるのであれば…肉食動物が小動物を襲う時の目…
いや、バーベキューの後、ココとミケさんと別れてから特に何も話していない。というか…たった一晩の間に2人がすごい仲良くなっていた、っていう今の状況しか僕も知らない。
「僕は何も知らないんですけど…」
「リックン、一生のお願い!本当に何があったの!」
「少年よ、お姉さんに話して楽になりなさい」
二人は意地でも僕からなんらかの情報を聞き出すつもりらしい。
「いやいや、だから僕は何も…」
「そうだ。外だから話せないんだよね。宿屋に来ようか?大丈夫、雪さんは一応魔術もできるから。風魔術が出来るから、この前言ってた消音の魔術を使えば外には聞こえない」
「流石、ペルちゃん!ナイスアイディア!」
「え…」
ちょっと待って。
これって僕、ペルさんとミケさんに強制連行されるやつ…
「さぁ、行こっか…3人で仲良く」
「うんうん、私が買って置いたクッキーも食べさせてあげるから」
これは絶対に逃げた方がいい…そんな気がする。
「あの…拒否権は……ありますか?」
「フフフ…おかしなことを聞くねぇ、リックン。私とペルちゃんから逃げられると思っているのかしら」
雪さんが笑顔で僕の腕を掴む。両手でしっかりと…
雪さんは獣人の中でも筋力や腕力が高いクマの獣人の種類に含まれるシロクマの獣人。腕を掴まれた時点で確信した。
僕は逃げられないと………
「それじゃあペルちゃん、すぐに宿屋に行きましょう」
「世界転移発動!」
ペルさんがユニークスキル世界転移を発動する。
視界が真っ白に染まる。
世界転移は確か、異世界に転移できるユニークスキル。確か、異世界に転移するためのものだから、同じ世界の中では、自由に転移できなかったはず…
「世界転移発動!」
ペルさんが再びユニークスキルを発動する。
もしかしてユニークスキルを連続使用して、違う世界に転移してから猫の世界の行きたいところに転移するつもりなのだろうか…
なんと強引な技なのだろうか。
徐々に視界が元通りに戻って行く…するとそこはもう、宿屋の一室だった。
ペルさんは紅茶などのコーヒーなどを作り始め、雪さんは部屋に風魔術の消音や謎のスキルで部屋を密封する。
何重にも掛けているところを見る限りこれは逃げられないだろう。
恐らく、無理やり脱走しようとしても結界が強すぎて部屋すら壊れないだろう。僕は使えないから意味ないけど、転移魔術とかも恐らく封じているだろう。
拷問の準備ができた2人は僕に向かい合うように座って笑顔で僕に聞いてくる。
「さて、少年よ。大人しく話そうか?」
「リックン、早く帰りたいなら素直に話した方が良いよ」
いや、素直に話すも何も…何も知らないんだけど…
「私とペルちゃんがいない間に二人に何が起きたの?」
「知りません」
「さぁ、早く吐いて楽になった方が身の為だよ」
ペルさんの尻尾がなんかすごい荒ぶってる。右へ左へすごい速さで…
「ほんとに知らないんですよ」
「フッフッフ…私とペルちゃんに虚言が通用すると思っているの?いざとなったら私が作った自白剤を飲ませることになっちゃうけど…とっても苦いよ」
じ、自白剤!なにその麻薬みたいに危なそうな薬は…てか使ったことあるの!
「とりあえず最後に3人出会ったのはいつですか?虚言を口にした瞬間…わかるよね」
雪さんが果物ナイフを片手に僕を脅してくる。
「あ、言い忘れてたけど…この空間で剣を抜いたり魔術を使用すると面白いことになるからね」
……面白いことって何?なにが起きるの!というか抜くつもりないし…
「僕が2人と会ったのは、昨日の夜、学校でバーベキューしたのが最後ですが…」
「「ば、バーベキュー!」」
「……はい」
「羨ましい…ココくんとバーベキュー羨ましい!」
「私も最近、バーベキューしてないのに………それでバーベキューではどうだったの?」
「バーベキューも特に変わった様子はありませんでしたよ」
「その後、2人はどうしたの?」
「バーベキューの後…火の後処理をして……確か、2人で話すために宿屋…」
「「や、宿屋!それホント!」
「え、はい…」
ガシ…二人が僕の肩を力強く掴んで、僕の体を前後に揺らしながら…
「雪さん」
「ペルちゃん」
「これはもう死刑ですね」
「だね〜」
ど、どういうこと?
「どういうことですか?というか揺らすのやめてください…」
「どういうことってリックン!この状況を理解していないの!」
ペルさんがさらに力強く揺らしながら嘆くように言う。
「だから…つまりココくんとミケが二人っきりで宿屋に行ったってことは」
「大人の階段を駆け上がったって事だよ!」
大人の階段…
「あ……」
そういうことか!
ココとミケさんが仲良くなっていたのは、きっと宿屋で相談している途中なんかの弾みで性的ななにかをし始めたんだ!
「………それで二人はこれから二人をどうするんですか?」
「それはねぇ…」
「もちろん」
「「二人の愛を一刀両断!」」
ひ、ひでぇ…この二人は決してリア充を許すつもりはないらしい。
「とりあえず今から二人を追跡!そしてエッチなことし始めたら…」
いやいや…しないでしょ。
「我の魔術で拘束!」
こ、拘束……
「そして…」
「そして…」
「「二人を調教して、イチャイチャエッチだ!」」
この二人…怖い。
笑顔で拘束して調教してイチャイチャエッチだ!ってただの変態が考えることじゃん。
けどこれで僕は解放されるはず。
ココよ、許せ。これも僕がこの二人から生還するのに必要なことだったんだ…
「とりあえず雪さん」
「そうだね、ペルちゃん」
「「これから調教用の薬作ろうか?」」
「差し当たりリックンは実験台?」
え…
「だね。じゃあリックン悪いけど……」
これは逃げた方がいい…
そう、僕の本能が訴えてくる。
これはヤバイ…
「「実験台よろしく!」」
「大丈夫!ことが全てうまく行ったら、何かしらさせてあげるから!」
とぺるさんが笑顔で言う。笑顔で言ってるけどまったく内容は笑顔じゃない…
「そうだよ。結果さえ良ければちょっとだけエッチなことしてあげるよ」
エッチなことは少し嬉しいけど…実験台に関しては嬉しくない!
この二人の溺愛姿と思考は恐怖でしかなかった。
次回予告
ココくんってなんでいつも陸くんや年上の女の人たちと一緒にいるんだろう……
私がここ最近ゲームをやっていての悩みである。
しかもココくんが一緒にいる女の人はいつもいつも胸のおっきな人ばっかだし!




