#82どうしちゃったんだろう…
「ミケさん、ユニークスキルってあのユニークスキルですか?」
「うん、ユニークスキルってあのユニークスキルだよ」
良いなぁ…僕もユニークスキル欲しい。ユニークスキルを持っているプレイヤーは数少ないらしく、ユニークスキルを所有するプレイヤーはスキルの効果にもよるけど、周りのプレイヤーからは尊敬されているらしい。
「どんなスキルなんですか?」
「それはナイショだよ。ペルちゃんに最初に伝えるんだ〜」
ミケさんは笑顔でワンピースを仄かに揺らす。
「そうですか…」
なんかすごい気になる…
「けどあまり使う機会がないスキルだからね…多分、ペルちゃんに見せたら後は使わないと思う」
使う機会がないスキル?ユニークスキルに使う機会がないスキルなんてあるのかな…
「まぁ、そういう事だから言えないよ」
「わかりました」
というか僕、ミケさんに狼のことを相談しに来たのに、話がだいぶズレちゃってるじゃん。
「ミケさん」
「なに、ココくん」
「ちょっと相談したいことがあるのですが、良いですか?」
「相談って果樹園の件以外のこと?」
「はい。今日、森に素材を取りに行ったら、怪我をしている小さな狼を見つけたんです」
「狼?」
「はい、狼を見つけたんですけど、狩人に遭遇したんです」
「狩人?」
「それで周りに狼の群れがあると思ったのですが、群れがなかったんです」
「群れ…」
「それで怪我をしていたので、リックンと相談して治療して連れてきたのですが、どうすれば良いのでしょうか?」
ミケさんは尻尾を左右に揺らしながら聞いていた。
「……………つまり…狼を捕まえてきたってこと?」
「連れてきたってことです」
ミケさんは少し考えると、笑顔で言った。
「やっぱり丸焼きじゃない?」
「………え?」
丸焼き?冗談だよね…
「いや、やっぱりありとあらゆる食べ物は火を通しておけば食べられるから…丸焼きじゃない?」
「……ミケさん、狼を食べる相談じゃなくてどう保護をしたら良いのか?という相談なんですけど」
「え、狼をどう調理するか?って相談じゃないの!」
え、本気で言ってたの…
「え〜じゃあ…」
ミケさんは腕を組んで、再び考え始める。
「ココくんが飼ったらどう?その狼は怪我をしているなら使い魔にしたら可哀想だから、ペットにしたら良いと思うよ」
リックンと同じ対応が返ってきた。けど狼をペットにしたら、僕が食べられる気がする…
「僕が食べられるような気がします」
「そこは問題ない!抜かりなしだよ」
抜かりなし…ってなにか名案があるのかな………
「食べられる時は僕も食べるから問題ない!」
私も食べるってどういう事?それってどういう意味…どういう意図を持って、ミケさんは僕にそんなエッチな発言をしてきてるのだろう。
「それはどういう意味で……」
「まぁ、僕が付いていればココくんが美味しくムシャられる事はないでしょう」
ミケさんはニコニコしながら言う。なんでムシャられないと思ってるんだろう…けどミケさんのことだ。きっと名案を思いついているのだろう。
「そうだと良いんですけど………」
「まぁ、とりあえずココくんよ」
ミケさんの白くて柔らかい手が僕の手を握る。僕はミケさんの行動に戸惑っていた。
雪姉さん以外の女の子に急に手を握られたら…恥ずかしい…
ミケさんが一体、何をしようとしているか、僕には検討もつかなかった。
「ミ、ミケさん…」
「とりあえずバーベキューを楽しみなさい。夜、私の部屋で2人でじっくり考えようか!だって…」
だ、だって?
「だって夜はこれからだよ!」
そういうとミケさんは僕の手を引いて、リックンや松岡さんのところへと歩き出した。
何か言おうと思った。けど何を言おうか?考えようとするとさっきのミケさんの笑顔が頭の中に出てくる。
し、しっかりしろ白宮志太。
思考を保つんだ。普段から話しているように話せば良いんだから…普通に。
そう、普通に!
「ミ、ミケさん」
「ん?」
「手、握られるの少し恥ずかしいです」
「そう、僕は恥ずかしくないよ。ココくんは良い子だし…」
い、良い子って…恥ずかしさと何か関係があるの…
「それに…」
「それに?」
「可愛いから」
「か、可愛い…」
ほんとに落ち着け…志太。そんな普段から可愛いだなんて言われてるじゃないか!い、今更照れることでもなんでもないじゃないか!
「ホラ、早くみんなのところに戻って、お肉食べるよ!」
「………は、はい…………」
ミケさんになぜか抵抗ができなかった。
流されるままっていうか、なんというか…僕は抵抗が出来なかった。
本当にどうしちゃったんだよ、僕。
次回予告
わ、私の出番が少ない!
帰ってきたらミケとココくんがいい感じの仲になってるし。私がバイトをしている間にこの二人に何があった!




