#81なんでエッチなこと考えちゃうんだろう…
「かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
ミケさんのかけ声でバーベキューパーティーが始まった。
バーベキューパーティは、雪姉さんが持ってきたってことになっている牛肉によってみんな大盛り上がりだ。
僕とリックンも混ぜてもらってる立場だから、なにか出した方がいいと思って…僕はメイリアスの街のそばの農村で購入したオレンジジュースが入ったガラスボトルを何本か取り出した。その農村は山の地形を利用して、オレンジを長時間日光に当てて栽培していた。オレンジなどの果実は長時間日光に当たっていると甘みが増すのか、オレンジはとても甘くて美味しかった。そのオレンジで作られたオレンジジュースのお味もとても格別だった。始まりの街で聞いていた通り、甘味料をまったく使っていない、オレンジだけの甘味だった。作り方を教えてもらって自分で作ってみたけど、あのオレンジジュースは再現できなかった。
「ココ先生!このオレンジジュース美味しいです」
「こんな美味しいの初めて飲んだよ!」
「ココ先生、もう一杯ください!」
「わかったよ…」
こんなに大勢で飲むとは、予想していなかったな…
今日で買い溜めしといたオレンジジュースが全部なくなっちゃう勢いだ。
「ココさん、このオレンジジュースはどこで購入して来たんですか?」
学校の周辺の管理を任せている管理人さん、今は仮の校長先生をしてもらっている松岡さんが尋ねてくる。
「あ、松岡さん」
「どうもです…毎日子供たちと仲良く生活させていただいています。このオレンジジュースはどこでご購入を?」
普段は目を細めている松岡さんが、目をカッと見開いて背中をピンっと伸ばして僕に訪ねてくる。僕はこんな松岡さんを初めて見た。
「メイリアス付近の農村です。それがどうしたんですか?」
「いえ、懐かしい味だと思いまして…」
「そうですか?」
「ええ、私はメイリアスで探偵をやっていたのは話しましたか?」
あ、この前話していた事かな?
「はい、確かメイリアスで失踪事件が多発したとか…」
「その時に助手が買ってきてくれたオレンジジュースに少し似ています。その助手は若い女性で普段は新聞記者をしていて、私が悩んでいるといつも果物を買ってきてくれたんですよ。「先生!食事も取らないで捜査に没頭はいけません!あれほど口を酸っぱくして行ってるのに〜…今日はレモンでも食べて休憩しましょう。レモンは酸っぱくて目が覚めるんですよ!」って言ってね。おかしな子だったよ…彼女は」
なんかこういう「おかしな子だったよ…彼女は」っていう過去形の話し方って死んじゃったのかな。
「その…彼女はどうなったんですか?」
「彼女はその後、新聞社の中で1、2を争うまで成長して、私と中々会えなくなりました。そして私は間もなくしてメイリアス失踪事件の被害者の一人となってしまいました…」
え、なにその唐突のお別れ。死んだんじゃなくて松岡さんが捕まっちゃったのか…ペルさんがこの前ボソって話してたけど、魚人族の国と地上では時間差があるらしく、捕まっている人の中には150年前に生きていたことになっている人もいるらしい。
「このオレンジジュースはどのように製作されているのでしょうか?」
「このオレンジジュースはオレンジの皮を向いて、大型のミキサーにかけているそうです」
「それは普通のミキサーですか?」
「はい、普通の大きいミキサーですよ。けど自分で作ってみようとしたんですけど、製法ではなく、やはりオレンジの育て方の方が重要みたいです。その農村で購入したオレンジとメイリアスで購入したオレンジの両方で作ってみたのですが、農村の方のオレンジの方が甘みが強くて美味しかったですよ」
「そうですか…私も今歳65歳となる身。学校の管理をしながら果樹園でゆっくり果物でも栽培したいものです」
「果物好きなんですか?」
「はい…」
おそらく果物が好きになったのは新聞社の女の人の影響だ。果樹園か……ミケさんに少し相談してみようかな…って。あ、というか今回の目的バーベキューじゃなくてミケさんに狼をどうすれば良いか?の相談をしようと思ってたんじゃん。完全に忘れかけてた…
「松岡さん」
「何ですか?」
「学校の校庭の隣に果樹園を作ったらどうでしょうか?」
「そんな果樹園を作るほどの費用は私にはありません。残念なことに…」
というか今、費用って単語で思い出した。そうだよ、金貨とかのデザインも早く作って配布しないと。なんかどんどんやることが増えっててる気がする。
「この辺りは土地も余っているから、ミケさんに相談したら作ってもらえると思いますよ」
「そうですね…けどこんな老いぼれの安息の日々のために国のお金を使うのはどうかと思います」
「そうですか?けどみんなのために作ったら良いと思いますよ。果物は栄養に良いですし…」
「そうですねぇ…」
なんかやりたいけど、自分のために周りを巻き込むのは…って感じだ。けど果樹園があればみんなでイチゴ狩りとかさくらんぼ狩りが出来る!
僕は松岡さんの方を掴んで笑顔で言う。いや、決して威圧をかけようとしているわけじゃないからね。
「松岡さん、思い立ったら吉日ですよ。思ったらすぐ相談。他の国では出来ないけど、この国は犯罪以外はほぼ何でも自由なんですから」
僕はそういうと、何故か集まってきた猫との接し方をみんなにご教授しているミケさんに声をかける。
「ミケさん、ちょっと良いですか?」
「あ、ココくん。どうかしたの?」
ミケさんが僕と松岡さんの元に歩いてくる。ミケさんの格好は普段は派手なドレスアーマーを着ているのに今日は違った。
白色のAラインワンピースを着ていた。
なんか普段はガッチガチに防御を固めているけど、今日はリラックスモードなのか、すごい薄いワンピースだった。
可愛い…….じゃなくてそうだ。本題を言わないと…
「この学校の周りって今のところなにか建てる予定はありますか?」
「この周り?この周りは特に今の所考えてないよ。けど学校の隣に学生用の寮を建てようと思ってるんだけど…どうかな?」
「良いと思います。それで折り入って頼みたいことがあるんですけど良いですか?」
「うん、何でも言ってください!」
ミケさんは胸を張って言う。
「この周りに果樹園を建てる…作りませんか?」
今、一瞬戸惑ったんだけど、果樹園って建てるって言うのか?作るっていうのか?どっちなんだろう…
「果樹園?果樹園ってあの果物畑的なもの?」
「はい、そんな感じです」
「う〜ん……」
ミケさんは足元に歩いて来た黒猫を抱きかかえると、頭を撫でながら考える。
黒猫はとても気持ち良さそうだ。というかミケさんもペルさんと同じくらい胸が大きい…あ!なんで…なんで今日はエッチなこと想像しちゃうんだろう。もしかしてペルさんとか雪姉さんのエッチな思考が、僕に感染したのか!
「ココくん」
「はい!」
つい大きな声が出てしまった。
「ど、どうしたの?」
「な、なんでしょうか?」
「えっとね…一応、オッケーだよ。けどね、果物を作るのには種が必要でしょ。果樹園の建築は私が建築担当の人にお願いするから。ココくんは種を入手して来てもらえるかな…」
「それはお任せください」
「じゃあお願いしますね。松岡さんには学校の管理に引き続き、果樹園の管理もお願いしてよろしいでしょうか?」
「はい」
「施設の管理で人員が必要であれば言ってください」
「わかりました、ありがとうございます。それにココさんも種集めよろしくお願いします」
「わかりました。任せてくださいよ」
「けどココくんはその前に国の金貨のデザインの登録は終わりましたか?」
………………………
「終わってません」
「ダメだよ〜ちゃんと仕事しないと。けど今日はゆっくりすると良いよ」
何か良いことがあったのかな…けどいつもミケさんは笑顔な気がする…
「何か良いことあったんですか?」
「うん。今日ね…ユニークスキルっていうの手に入れたの!」
次回予告
ミケさんのユニークスキルとは一体…なんだろう。
ユニークスキルはペルさんの世界転移しか知らないから、なんかすごい気になる。
僕もユニークスキル欲しいなぁ…透明になるスキルとか1000メートル先が目の前に見えるスキルとか…




