#79シュレディンガーの猫
僕とリックンはスキル構成や最新の情報に関しての予想などを話しながらメイリアスに向かった。
今のところ猫の世界への入り口は魚人族の国にしかない。
魚人族の国『サンライト』で一番大きな大通りに建てさせてもらった神社の鳥居をくぐると猫の世界へと行ける。この鳥居にはお坊さんの謎の術によって魚人族と僕たち以外は猫の世界に来れないようになっている。
だからメイリアスについてもまだまだ道のりは長い。
メイリアスに着いたら今度は魚人族の国に転移して大通りに向かわなければならない。
もっとショートカットできる方法があると良いんだけど、1つの世界に特定の人や種族しか入れないようにするには、ゲートのようなもので判別するしかないらしい (お坊さんの話によると)
そしてやっとの思いで猫の世界に帰ってきた。
凄い長かった…しかしまだ、道のりは険しい。
魚人族の国とのゲートは猫の世界の神社の鳥居に繋がっている。神社はこの国であまり建築物が密集していない森の中に建設されている。ミケさんが田舎の神社を再現したい!という意見からだ。
さらに雪姉さんの謎の情報が決め手となった。
異世界に転移するためのゲートは、通る度に2つの世界に魔物が湧くという怪奇現象が起きるという情報から必要以上にゲートを使わせないようにあえて遠くにしたとか。
今のところ神社は国の最も西の位置に建てられている。一方、学校は国の南西の辺りにある大きな山の麓にひっそりと建っている。外見はなんか歴史の授業で習った明治時代の時の学校みたいというのが、僕の感想だ。
木造の二階建てでスギナットという木材で建っている。
スギナットとは、ウォールナットとスギを合わせたものである。この世界だと、木と木を合わせて育てることで品種改良に似たようなことが出来るようだったから、僕とミケさんで試しに品種改良をしていた。スギや松、桜などの木を一緒に育ててみたが、一番ウォールナットとスギの組み合わせが加工も便利で有用だと考えた。
丈夫で加工もしやすい。その上、ウォールナットの外見の特性が大きく出ているため、キメが細かいから磨きあげると独特の美しい茶色になる。だから学校の木材にはスギナットにヤスリをかけて綺麗にした木材を使用していて、柱に顔を近づけると木材の独特な匂いがした。
なんか加工仕立ての木材ってすごいい匂いをしていた。
ミケさんは、次は体育館を建てるつもりらしい。
「ココ…」
「ん?どうしたの?」
「学校にまったく辿り着かない件について…どうしたらいい?」
「リックン、まさか道に迷ったとか言わないよね…」
今は魚人族の国のゲートを通って、猫の世界にやって来て、学校の方角に歩いているところだ。
本来、学校に向かうなら大通りの方から向かった方がわかりやすいんだけど、リックンのめんどくさがりな性格がある提案をして来た。
「学校って山の麓にあるんだよね。だったらあの山目指して歩いてけば学校に着くんじゃない!」
僕も少し疲労から思考が浅はかだったのかもしれない。それを許諾してリックンを戦闘に山を目指してひたすら森の中を歩いていた。
「そんな事実は確認されていない」
「じゃあ確認しようか、迷子になったか?なってないか?」
「いや…それをする必要はない。あれだ…この前、ココが読んだっていうアレ。そう、アレだよ」
「シュレディンガーの猫?」
「そう、それシュレンディンガーの猫」
「シュレディンガーだよ」
「それと同じだよ」
「え?」
「僕らは今、箱の中の猫と同じで、観測されるまでわからないんだよ」
「というと?」
「だから僕たちは神様が未来を見るまで辿り着けるか?辿り着けないか?わからないんだよ。わかった、ココ?」
「僕はリックンの言っていることが理解できない件について…」
というかまずこの状況とシュレディンガーの猫の概念が違う。
「リックン」
「ん?」
「まず、この迷子な状況とシュレディンガーの猫は概念そのものが違うからね。まず、シュレディンガーの猫は思考実験なんだよ」
「思考実験?妄想の中で実験するってこと?」
「うん、シュレディンガーの猫の実験状況は、蓋のある箱を用意して、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質のラジウムを一定量と、ガイガーカウンターを1台、青酸ガスの発生装置を1台入れておく。もし、箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出すと、これをガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、青酸ガスを吸った猫は死ぬ。しかし、ラジウムからアルファ粒子が出なければ、青酸ガスの発生装置は作動せず、猫は生き残る。一定時間経過後、果たして猫は生きているか?死んでいるか?って状況なんだよ」
「ココ先生!質問です、シュレディンガーの猫の状況に猫は出てきたけど、シュレディンガーって単語出てきませんでした。どこからシュレッダー出てきたんですか?」
「シュレッダーじゃなくてシュレディンガーね。シュレディンガーはこの思考実験を実際に行った人だよ」
「え、シュークリームさんって動物を殺した人なの?」
「うん、その時代の学者にも実際にやった人がいなかったから実験名はシュレディンガーの猫と呼ばれているんだよ」
「そうなんだぁ…」
「さて、リックン。シュレディンガーの猫を語ろうとしたってことは概要は知っているんだよね」
「………知りません」
「じゃあ学校に着くまでに教えてあげるよ!」
「やめい、なんでゲームの中でまで理科の勉強!」
「知ったかぶりのままじゃダメだから。正しい知識を持ってもらうために。というわけでこの実験において…………」
「だからゲームの中まで勉強はしないでいいだろぉ…誰か僕は救済を求む」
ココはしばらくの間、ずっとシュレディンガーの猫の解説をしていたのであった…
「………これが科学的に大きな問題となるのは、たとえ実際に妥当な手法を用いて実験を行ったとしても、観測して得られた実験結果は既に出た結果であり、本当に知りたいことである観測の影響を受ける前の状態ではないため、実験結果そのものには意味がなく、検証のしようがないということらしいんだよ。だからこの話の結論はシュレディンガーの猫は射影公準における収縮がどの段階で起きるのかが明確でないことによって引き起こされる矛盾を示すことを狙いとした思考実験だったんだよ」
「そ、そうなのかぁ…」
ココが説明を終えると、僕たちは無事学校に辿り着いていた。まるでライトノベルで狙った時に狙った出来事が起きるかのように…
次回予告
やっと辿り着いた学校でじゃ、ミケさんが子供たちに囲まれていた。
子供たちの面倒を見ているというより、子供たちに可愛がられてる…




