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#77クロさん?シロさん?

 僕はネズミ使いヨギとドラチューを炭に…いや、灰にすると乱れた服装、主にフードを綺麗に整える。

 人と接する時はどんな時も綺麗な格好で、笑顔で応対。初対面の相手にも特にこれは大事。

 僕は服装を整えると、笑顔でリックンとクロさんの元に戻る。

「倒し終わりましたよ」

「き、君…強いんだね」

「え、いや、そんなに強くありませんよ」

 というかお礼言わないと!

「あ、あの…リックンを助けていただいてありがとうございます」

 僕は深々とお辞儀をする。

「そ、そんな深々と頭を下げないで…えっと…志太くん」

「あ、はい…」

 あれ…今、志太くんって言われたような気がする。

「それよりも怪我してなかったの?」

「はい、僕はただそこでタヌキ寝入りをしていただけなので気にしないでください」

「そう、良かった!」

 クロさんは笑顔で返答する。このお兄さんカッコいいなぁ…

「ほら、リックンもお礼言いなよ」

 僕はリックンの顔を見ながら言う。

 しかしリックンの顔は普段と違った。いや、いつもはあまり考え事もしない運動バカなリックンが顔に困惑の色を浮かべていた。

「リックン、どうかしたの?」

 僕はリックンに聞く。

 するとリックンがゆっくりクロさんの顔を見て言う。

「クロさん」

「なに、リックン?」

「クロさんは一体何者ですか?」

 僕はリックンの質問の意味…いや、意図が全く掴めなかった。クロさんは一体何者ですか?ってクロさんはクロさんでしょ。

「何者ってクロはクロだよ。断罪の剣士クロ」

「あれ…漆黒の剣士クロじゃないんですか?さっきネズミ使いに言われていた時、「俺的には漆黒の剣士、クロの方がしっくり来るんだよな」って言ってませんでしたか?」

「あ、言ってたね。うん、僕は漆黒の剣士クロだよ」

「僕?」

「うん、僕」

「シロさん、下手な芝居はやめてくださいよ」

「そんな僕はお芝居なんてしてないよ。ねぇ、志太くん」

「え?…志太くん?」

 僕は思わず聞き直してしまった。というか今絶対ココくんじゃなくて志太くんって言ったよね。

 なんでゲーム内で僕の本名を知ってるんだ。リックンが教えたのかな?

「シロさん、なんでココの本名が志太って知ってるんですか?」

「そりゃあし…じゃなくてなんのこと?二人の聞き間違いだと思うんだけど…」

 あれ、この人の名前ってクロじゃないの?クロだからクロさんじゃなかったのかな?

「リックン、この人ってクロさん?シロさん?」

「俺はクロだよ」

「リックン、人の名前は間違えちゃダメだよ。この人はクロさんだよ」

「いや、僕はシロだよ!」

 あれ…聞き間違えたかな。

「この人はシロさんだって」

「俺はクロだって」

 どっちなんだよ!

「クロさん」

 リックンはこの人をクロさんと判断したのかな。

「なんだ?」

 クロさんは何事もなく返答する。

「シロさんとはどんな関係なんですか?」

「シロさんとの関係?俺はシロなんて人知らないな」

「そうですか…」

 リックンが言っているシロさんとはどんな人なのだろうか?

「シロさん」

 リックンは今度この人をシロさんと呼ぶ。

「リックンどうかした?」

 と笑顔で返答する。

「クロさんとはどんな関係ですか?」

「クロとは兄弟みたいな関係。双子だよ。ほんと志太くんと雪ちゃんの関係が羨ましいよ」

「「え?」」

 リックンと僕の声が重なる。

「ん?どうかした、志太くん?」

 ちょっと待てよ。「志太くんと雪ちゃんの関係が羨ましいよ?」って言ったってことは、僕と雪姉ちゃんはこの人とどこかで会ったことがある?というか雪ちゃんってことはかなり身近にいる人。

 僕の身の回りにこんな人いたっけなぁ……

「あの…すみません」

「志太くん。どうかしたの?」

「僕とシロさんってどこかで会いましたか?」

「あ、まだ直接会ったことのあるのは雪ちゃんだけだったね」

 雪姉さんが会ったことがあって

「僕はシロ、本名は黒宮皙くろみやせき。だから志太くんと雪ちゃんは親戚っていう関係だね」

「し、親戚!」

「黒宮皙…」

 黒宮皙は思い出せないけど、美香みかちゃんなら覚えてる。

 美香ちゃんの本名は黒宮美香くろみやみか。黒宮家の次女で僕と同じ小学5年生の女の子。長い黒髪が特徴的で、冬になるとよく猫耳ニット帽を被ってたはず…

 …確か最後に会ったのが、2年前のクリスマスだっけ?

「もしかして美香ちゃんのお兄さん?」

「そう!あってるあってるよ」

 こ、こんな人なんだ…美香ちゃんのお兄ちゃん。

 いや、けどまだ怪しい。

 オンラインゲームによくある『なりすまし』ではないか?だってこんな奇妙な人が美香ちゃんのお兄さんっていうのになんか納得できない。

 とりあえずこの人をどうするか…あ、そうだ。

「皙さんって雪姉さんと会ったことってあるんですか?」

「え、ああ、あるよ。2週間前もうちに遊びに来たよ」

 え、雪姉さんが和菓子を持って行った先って皙さんのところだったのかな。

 まぁ、雪姉さんに会わせればこの人が嘘をついているかが分かるからいっか…

 僕にはマジックキューブがあるし、お姉ちゃんに手を出そうとしたら倒せば解決だ!

「雪姉さんはあと2日後ぐらいにログインすると思うんですけど…確認のため会ってもらってもいいですか?」

 ここで拒否をすると、雪姉さんに見られると問題だと判断できる。だから嘘をついているなら、拒否してくるはず!

「え、ココ、その怪しい人会わせるの?」

 リックンが「え、それマズくね」って感じの顔でこっちを見てくるはスルー…

「うん、良いよ!それじゃあどこで何時くらいに待ってればいいかな?」

「じゃあメイリアスの噴水広場に12時ぐらいに待ち合わせはどうですか?」

「うん、わかった。じゃあまた後で」

 そういうと皙さんは笑顔で森の奥へと向かって行った。

「ココ、本当にあの人会わせて良いの?」

 とリックンが聞いてくる。

「多分…良いと思う」

 良くなくても、僕と雪姉さんと美香ちゃんの関係を知っている時点でなんで知っているのか?を明らかにしなければいけないと思う。

 そして雪姉ちゃんを守らないと!

次回予告

とりあえずシロさんとクロさんのことは置いといて、とりあえず狼をどうするか考えないと。

けどこういうのって僕とリックンで考えるより、大人の上にアドバイスしてもらった方がいい気がする。

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