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#76時は少し遡る。

 時は少し遡る。

 眠っていた…と思われていたココはネズミ使いの意識が別の物に行くことを狙っていた。

 最初はクロさんが白金流剣技を放ったところで行動開始しようと思っていた。

 けど周囲を警戒されている中で戦闘に踏み出る勇気は僕にはなかった。

 それで今となってしまったわけだ。

 リックンが幻影魔術で作られた木の上から真っ逆さまになって落ちた瞬間、ドラチューの頭上に空間魔術取得書の中に載っていた空間魔術の一種、置換魔術を発動した。

「空間よ歪め、置換魔術ちかんまじゅつ発動!」

 置換魔術は空間を歪め、空間を違うところとつなげる魔術らしい。

 僕が最初、ネズミ使いに催眠弾を投げつけられた時、催眠ガスを吸わないように自分の周囲の空間をさっき僕が燃やしてしまった方と無理やり繋げて回避した。

 じゃあなんで寝てるふりなんてしていたんだって?それは相手の目的を知りたかったから。

 置換魔術があればどんな攻撃であろうと起きていればほぼ効かないから、特に捕まって逃げ出せなくなるとかは考えてなかった。

 とりあえず今はドラチューの頭上と僕の隣あたりに繋げてみた。これでリックンは無事なはず…

「リックン、危ない!」

 この声は…クロさん。

 ドラチューの頭上の歪みに入る寸前、黒い男の人がリックンをお姫様抱っこをして救い出す。そして僕の目の前に着地する。

「大丈夫、リックン?」

「え、あ、はい、大丈夫です、シロさん」

「どういたしまして、リックンが無事で良かったよ」

 クロさんが笑顔で答える。

「とりあえず今はネズミ使いを倒そうか?」

「はい、僕に任せてください。一撃で倒します」

「…………」

 僕は二人の前に出て、大きな声で言う。

「ネズミ使いのヨギさんでしたっけ?最後の忠告をさせていただきます。今すぐここから立ち去りなさい。でないと…」

「でないとなんだ?我をネズミ使いのヨギと知っての忠告か?」

「ええ、死にたくなければ…」

「お前みたいな生意気な子供に負けるわけないだろ」

 よし、忠告はした。あとは敵を倒すだけ。

「なら容赦はしません」

「容赦もなにもお前に私は殺せないよ」

 ネズミ使いは嘲笑いながら言う。

 よし、この人で試そう。

 僕がさっき思いついた最強の技を!

「覚悟してください。ミラージュキューブ!」

 ミラージュキューブとは、空間魔術と反射魔術のスキル所持者に使用できる魔術。

 この技は範囲を指定して、その範囲を箱のように囲む。その箱の中はありとあらゆるものを反射する。

 魔術はもちろん、ダメージや飛んできた武器なども反射する。壁に何かがぶつかると、壁の耐久のため多くの魔力を使用されるため使用する機会はあまりない。

 僕はネズミ使いとドラチューをミラージュキューブの中に閉じ込める。

「これは牢屋のつもりかい?こんなんで我を閉じ込めたと思ってもらった困る。ドラチュー、壁を噴き飛ばせ!」

「チュー!」

 ドラチューは小さな咆哮とともに壁に爪を立てて壁を吹き飛ばそうとしている。

「置換魔術発動!」

 僕はドラチューの背後とドラチューが吹き飛ばそうとしているところの空間を繋げる。するとドラチューの攻撃はドラチューの背中に命中する。

「ヂュー!」

 ドラチューの悲鳴にも似た鳴き声がはこの中からしてくる。

「また置換魔術か。小細工ばかりしやがって!」

「小細工じゃないですよ。小細工とは、こまごました手先の働きを要する仕事。転じて、すぐそれと分かってしまうような、浅い戦略のことなどを指します」

「それがどうした?」

「あなたに僕の戦略が理解できたとは思えませんが…」

「うるさい…黙れ!」

 僕はポシェットから出した火炎魔術用の触媒結晶を手で強くに握ると、その握った拳を前に突き出す。

 そして詠唱を開始する。

「我が名は灰塵の魔術師ココ。この名を持って我が命令を聞け!」

 僕の手の中で触媒結晶が小さくなっていくのが分かる。触媒結晶がまるで水に沈んで泡を立てながら溶けている入浴剤のような感じがする。

「我が命令を聞き入れ、我に力を与えよ、火の神、火之迦具土神ひのかぐつちのかみよ」

 僕の手から完全に触媒結晶がなくなった。

 けど僕の手には触媒結晶が完全に無くなったのを期に大きな魔法陣が描かれていく。魔法陣が出てくるのはわかっていたけど、魔法陣の大きさが僕の身長の2倍くらいだったことに少し驚いた。

「火の神の力を持って我の眼前を焼き尽くせ!」

 僕の目の前の巨大な魔法陣の前に置換魔術で空間を歪め、外から箱の中への一方通行にする。これで火炎魔術の炎が僕の方に押し戻されることはない。

「火炎魔術、無限インフィニティフレイム!」

 目の前の空間の歪みに向けて火焔魔術を使うと、ミラージュキューブの中に火炎魔術の炎が吸い込まれていく。

「なんだこの炎は…熱い!身体が焼けるように熱い!」

「ヂュ〜ー」

 ミラージュキューブの中でネズミ使いとドラチューが苦痛の声をあげる。

「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い!早く出せ!」

 小細工ばかりしやがって!っと言って起きながらなんの対策もしていないんだ…

「燃え尽きろ!」

 僕はそう言いながら火力をさらにあげる。

 ミラージュキューブの中にいるネズミ使いとドラチューが徐々に赤い炎に飲み込まれていき、見えなくなっていく。

 雪姉ちゃんが言っていたシーンってこんな感じでいいのかな。

 なんかリックンとクロさんを守っているはずなのに、なんかイケナイことをしている気持ちだ。僕はあまりこういう態度をしない方が、人には好かれると思うだけどなぁ…なんで雪姉ちゃんはこんなキャラクターを作ろうとしてるんだろう。

ココくん視点、久しぶりにやってきましたね。

今まではリックン視点でリックンのゲーム開始した時のお話を書きましたが、どうだったでしょうか?

美由紀ちゃんのアルバイトからかなり時間が経っているように見えますが、これで1日まだ経ってないんです!

リックンの回送中が少し長すぎたような気もしますが、毎日ちょっとずつ書いているので話数だけどんどん増えてっちゃいました。

もうすぐ美由紀ちゃんや雪ちゃんが帰ってきます!


次回予告

ついに明らかになりかけるシロさんとクロさんの関係。

この2人の関係とは一体?

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