表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/162

#74白金流剣技

 僕の目の前でシロが剣を構えて大きく技名を叫ぶ。

 その瞬間、どういうことだろうか?シロの姿が一瞬で消える。いや、さっきまで確かにシロは僕の目の前で剣技の構え方をしていたんだよ。もしかしてラグかな…けどラグで消えるなんて聞いたことないなぁ…

 後ろから物凄い大きな咆哮が聞こえる。え…まさかシロさんがドラゴンに攻撃したのか!

 僕が後ろを振り返ると凄い衝撃とともにドラゴンが地面に叩きつけられていた。

 おい、一体何をしたらそうなる?

「リックン、影魔術をお願いします」

 ドラゴンから距離をおいたシロが僕に叫ぶ。おい、本当になにしたんだよあの人。絶対只者じゃないだろ…

「は、はい!わかりました」

 僕は何故かシロに謎の恐怖を覚えていた。

 いや、なんかシロ一人だけでもドラゴン討伐とか余裕だったんじゃないのか…っていう考えにものすごい恐怖を覚えたよ。だってドラゴンを一人で倒せれば大抵の敵モブなんてもう雑魚じゃん。

 僕だってそれとほぼ一緒なようなもんじゃん。

「影魔術、影踏み発動!」

 僕はドラゴンの影を力強く踏むと影魔術影踏みを発動した。

 するとドラゴンは体を起こそうとしても動けないようで大きな声で吠える。

「シロ、お願いします」

「わかった!」

 シロはドラゴンが自分の正面に来るように立って、アグリメントソードを上段に構える。そしてシロはなにを思ったのか、そのままゆっくりと目を閉じて深く深呼吸をする。

 身体中の酸素を全て体内から出すように長々と息を吐き、身体中に新鮮な酸素を馴染ませるっていうのか?身体中に吸い込んだ。

 それを数回繰り返すと、なんの前ぶりもなくシロはキリッと目を見開いて剣を上段から下段に一気に振り落とした。

 僕にはシロの剣が速すぎて視認できなかった。いや、上段から下段に振り落としたってわかったのは、剣がただ上から下に降ろされていたからそう思っただけなんだけど。

 まったく聞こえないんだよ、音が。

 いや、普通はさ、剣を上段から下段に力一杯振り下ろしたらスパーン!とかズドーン!とかそういう効果音が聞こえてくるはずじゃん。現実でもゲームでも普通はさ。

 けど聞こえないんだよ。

 僕はリスの獣人だから聴覚は普通の人よりも良い。けどその聴覚を持ってしても彼の一振りは音を発しなかった。いや、正確には音自体は発したのだろう。

 数秒か…一瞬か。

 しかしそれは聴覚の問題…じゃなくて感覚の問題ではないのだろう。

 強者にしかわからないような何かがある気がする。

 強者でなければ捉えられない剣の速さ、強者でなければ聞こえない剣の斬撃の音。

 まるで素人プレイヤーだと思っていたシロさんが途端にどこか遠く離れた存在になってしまった気がした。

 シロは再び深呼吸をすると剣をゆっくりと鞘に戻す。

 剣が鞘に入ってカチン!っという金属のぶつかり合う乾いた音が野原に響き渡る。

 その瞬間、何かが切れる音がした。

 ブチッって…ドラゴンが切れたというのはわかった。けどなにが切れたのかがわからなかった。どこの部位を切ったのかが…

「リックン、ドラゴンは倒したよ」

 シロさんが僕の方に笑顔で近づきながら言う。

 僕は素朴な質問をシロさんに質問する。

「シロさん、ドラゴンを倒したって一体……どこを切ったんですか?」

「え、ドラゴンの心臓だよ」

 やっぱりそうなのか。「ドラゴンを倒したよ」って言われた時、薄々僕は首か頭か心臓かな…って思ってたけどやはりそうか。

 けどどうやって?僕はドラゴンの体を再び見渡し見てる。

 ない。ない…見渡す限りない。

 ドラゴンの外傷にドラゴンの心臓にまで届くほどの傷がなかった。

「どうやって心臓だけを切ったんですか?」

白金流剣技秘伝しろがねりゅうけんぎひでん透剣とうけん。発動中は自身の剣の当たり判定を無効化状態にする」

 ひ、秘伝!しかも当たり判定のむ、無効化!

「当たり判定の無効化ですか?」

「ああ、自身の当たり判定の無効化」

 ちょっと待てよ、自身の剣の当たり判定の無効化って…それじゃあ相手を殺せないじゃん。だって剣の当たり判定がないってことは、相手を斬っても切れないってことだろ。そんなの戦闘じゃほとんど役に立たないし、心臓だけを斬った説明にはなってない…

「けどこの剣技はそれだけじゃないんだよ。剣の当たり判定を発動したい時に発動したい部分に集中すると当たり判定が集中している間だけ戻るんだよ」

「ということはドラゴンを剣で斬った時、心臓のあたりで剣の当たり判定を発動して心臓を斬ったんですか?」

「そうだよ」

 なにそれ強くない、それ。だって発動中は当たり判定がないけど上手く利用すれば相手との戦闘で大きく役立つじゃん。

 剣の当たり判定を自由に操作できるとか、超強いじゃん。

「それ強すぎませんか?ユニークスキル的な何かですか?」

「ユニークスキル的なものって言ったらそうだよ」

 い、いいなぁ…ユニークスキル。羨ましいなぁ…

「けどこれユニークスキル的なものであって、ユニークスキルじゃないんだよ…」

 ユニークスキル的なものであって、ユニークスキルじゃない?なにそれ。

「え、それってユニークスキルじゃないんですか?」

「一応、今はユニークスキルって扱いかな。まず、白金流剣技自体がユニークな存在だから」

 剣技自体がユニークスキルってどういうこと?

「白金流剣技は僕が作った流派だからまだ誰も使えない剣技の中の流派だよ」

 流派を……作る………

「流派を新しく作ったってことですか?」

「うん、ゲーム開始の時の最初のガチャでスキルが手に入りますよね」

「手に入りますよ」

「その時に手に入ったのが、剣技、刀剣技、名もない流派の剣技」

「名もない流派の剣技?」

「はい、名もない流派の剣技とは、まだ名前が付けられていない流派の剣技…というか……」

「というか?」

「なんというか………」

「なんというか?」

 もしかして内容が意外と難しい話これ?

「簡単にいうとアレです。自分で剣技を新しく作れるんです」

 あ、理解した。僕は多少、頭が良い方であるから理解できた。

「つまり自分で新しく剣技を作れると…」

「そうです。それで作ったのが、白金流剣技です」

次回予告

僕は気づいてしまった。

剣技という戦闘技能は練習すれば様々なことが起きる。

例えば、ダメージがアップ!とか効果アップ!とかコツが掴めたりとかできる。

もしかしてクロはシロさんの教え子?じゃなくて弟子だよ、絶対!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ