#66標準剣(スタンダードブレード)
白いマント姿の美少年がモジモジしながら話し始める。
「あの…すみません。僕、友達とかいなくてドラゴン討伐のクエストを一緒に受ける人がいないので………」
白いマントの美少年がモジモジするのをやめて笑顔で聞いてきた。
「もし良かったら一緒に受けてもらえませんか?」
「はい、お願いします」
僕は笑顔で答える。初対面だけど僕はこの白い美少年は悪い人ではないと直感した。だって…だってこの美少年の笑顔だぞ、笑顔。悪意なんて人間の汚れた感情を持っていない笑顔でのお誘いだぞ。受けるしかない。それに僕自身一人だったし…
「い、良いんですか?」
「はい、僕もちょうど1人だったので誰かメンバーを探してたんです」
「そ、そうなんですか…あ、ありがとうございます。不束者ですが、よろしくお願いします」
白い美少年が深々とお辞儀をする。
な、なんて律儀な可愛い美少年。この人、NPCじゃないよね?こんな律儀で穢れを知らない人間初めて見たよ。
「よろしくお願いします。それで白い…いや、あなたの名前は何ですか?」
ヤバイ。今、うっかり。ホントうっかり白い人って言いかけてた。
「僕の名前ですか?僕はシロと言います」
そのままかよ!
「シロさんですか?」
僕は一応、聞き直す。
「はい、カタカナでシロです」
シロさんかぁ…なんか見た目と名前が合致している。
「ところでリスさんのお名前は?」
り、リスさんだと…この人、丁寧すぎるだろ。
「僕はリックンと言います」
「リックンさんですか?」
リックンさんってなんか呼びづらそうだし呼ばれづらいなぁ。だってリックンさんだぞ。リックンに「さん」はつけないだろ。
「リックンで良いですよ」
「そうですか。じゃあリックン、早速クエストに向かいましょう!」
何だろう。シロさんの方が年上なのに凄い幼い感じがする。
一応、VRMMOゲームでは自分の身長や体重などを変更することができる。けどゲーム制作会社などはそれをあまり推奨していない。人間というのは自分の目線の高さや体格などが大きく変わると違和感を覚えたり視界が回る?酔ってしまうらしい。普通のパソコンゲームなら過激な動作ではなければ酔わないが、VRゲームとなると現実とあまり変わらない。だからでんぐり返しして現実でも目が回るようにここでもでんぐり返しをすれば目が回る。あとは痛覚をおかしく感じるだとか…
だからあまり身長や体重を変更している人はいない。顔の方も同様の理由でほとんどの人は変更しないでそのまま設定を終えるらしい。
「リックン」
「何ですか?」
「どこでクエストを受けたら良いのでしょうか?クエストの受注場所の記載がありません…」
ホントだ。この記念クエストどこで受けたらいいんだろう。
だがしかし、こういうVRMMORPGにおいてまず、始めにすることは決まっているのだ。
「まず最初に街の人に聞き込みをしてみませんか?」
「聞き込み?聞き込みってあの警察の人たちがしている聞き込みですか?」
「まぁ、それに近いものです。始まりの街のNPCたちに聞いたら何かわかるかもしれません」
「なるほど!では、早速あそこのリア充に話しかけてみますか?」
シロさんが指を指して言う。ちょっと指をさして行ったら失礼でしょ。というか何故にリア充?何故にリア充に聞きに行こうとしているし…
「もうちょっと普通の人に聞きに行きません?」
「じゃあ…あそこの武器屋の看板娘さんに聞きますか?」
シロさんが指を指して言う。指をさした先には茶色い髪のお姉さんがいた。なんかホント、どこにでもいそうなお姉さんだ。うちの姉もあれぐらい笑顔であればまだ弁解の余地があるのに…
僕とシロさんは武器屋の看板娘の人と思われる人に話しかけてみた。
「あの…すみません」
僕がお姉さんに声をかける。いや、シロさんがいざ話しかけん!という時にモジモジし始めたから僕が聞くことになってしまった。
「はい、何でしょうか?武器をお探しですか?うちには片手剣から斧まで色々な武器があるよ」
「あの…少しお伺いしたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?」
「はい、何ですか?」
「この辺りでドラゴンを見たっていう噂を聞いたことありませんか?」
「ドラゴン?ああ、聞きましたよ。確か北の平原に緑色のドラゴンが出たってさっきのお客さんが言ってたよ」
マジか!意外と簡単にドラゴンの情報手に入った。
「マジすか?」
「本当よ。それで君、今からドラゴンを倒しに行くの?」
「はい、行く予定です」
「そう、じゃあ武器にスキル「ドラゴンキラー」付きのやつを最近入荷したよ」
こ、この娘…できる。情報を僕たちに与えた上で、それに便利なアイテムを買わせようという巧みな技。この娘、何者じゃ。
「それは…いくらですか?」
シロさんが後ろからモジモジしながら言う。
「武器の種類にもよるよ。短剣とか細剣とかのあまり金属の使わない武器とかは安いけど、両手剣とか斧とかは金属の量的に値段が高くなっちゃうんだよね…」
「片手剣…何ですけどどうですかね」
「片手剣でドラゴンキラーの武器。それならこの白い剣が一番良いよ」
お姉さんが後ろにかけてある剣を取り外して、僕たちの前に出す。
持ち手の部分と鞘に大きな白い龍の彫刻が彫られている剣。な、なんか彫刻がすごい細かいけど…これっていくらなんだろう。
「この剣はここから北に約600キロぐらい離れたところで作られたっていわれてる剣。1年前に私がオークションで初めて落とした一品だよ」
「お、オークション…」
オークションなんてこのゲームにあるんだ。
「落としてから気づいたんだけど装飾が華美でドラゴンキラーを付いているっていう点ではすごいんだよ。けどこの剣はドラゴンと戦う時にしか抜けないっていう代物らしくてね」
何だと…何、そのドラゴンを倒すためだけの剣。ゴブリンとかスライムは殺せないってことじゃん。
「それで私自身、ドラゴンを討伐しに行かないから。店長に頼んでお店に置いてもらってるんだけど、それが誰も買ってくれないんだよねぇ…」
そ、そりゃあそうだろ。というか一番良いとか言いつつすごい訳あり商品じゃん。けどドラゴンを倒すだけなら十分使える。
「それはいくらですか?」
シロさんが剣を眺めながら言う。
「買ってくれるの?」
「ね、値段にもよりますけど?」
僕たちプレイヤーの最初の所持金は基本的に0円である。いくらって聞くってことは一応、いくらかは持っているのかな。
「あなたはいくらぐらいで考えてるの?」
「すみません。僕、あまり剣の物価がわからないので値段を提示してくれると嬉しいです」
「値段ね…けど私もこの剣の落札価格忘れちゃったんだよね。あなたの腰の剣と交換とかどう?」
シロさんの腰の剣は…片手剣のはずなのに鞘の大きさがおかしい。
あれ、シロさんもしかして自分の武器種を理解してない?ほんとは両手剣だけど片手剣だと勘違いしてるやつ。
「この剣ですか?」
「うん、その剣。その剣ってスタンダード型でしょ」
「す、スタンダード?」
す、スタンダート型とはなんぞい?何、剣にスタンダードとかあるの?
「うん、何にも特化してないから加工がとても楽なやつでしょ。それに鞘も加工していないってことは入手仕立ての新品でしょ」
「あのスタンダードって何ですか?」
「え、君知らない?スタンダード型っていうのは正式名称は標準剣。どのスタイルにも属さない剣で、鍛冶屋が加工する上で最も楽に加工や改造ができる剣だよ」
何、その謎の剣?存在の需要が加工用じゃん。加工用の剣なんてほとんどの人使わないじゃん。他のゲームでいう売却用にあたる存在か。
「そうなんですか」
「うん、その剣は鍛冶屋に高く売れていいのよ。だからこの剣と交換でどう?」
お姉さんが笑顔で聞いてくる。するとシロさんは笑顔で答えた。
「じゃあ交換をお願いします」
次回予告はあえてせず!ココくんの現在状況。
ココくんの治療魔術はみるみる小さな狼くんを直していき、小さな狼くんの傷口を完全に塞ぐことに成功。
しかしそこに這い寄る黒い人影と小さな影。一体、ココくんの運命はいかに?
By………から
作者より
徐々に冬から春にかけて気温が変化してきましたね。しかし私は一向に布団から出ることができない状態にあります。人知れずいわれるカタツムリ状態でございます。正直、春休みって布団に引きこもりがちですよね。それ私だけかもしれませんけど。
唐突ですが、次週あたりまでにキャラが最も増える予定なのでお楽しみを!っていうだけの予告です。
これからも気合い入れて書くのでよろしくお願いします!
感想とか評価とか意見とかしていただけると嬉しいです\\\\٩( 'ω' )و ////




