#64偵察任務中の出来事
僕は黒くて長いマントに身を包んだ明らかに怪しい人が危険物Aを発動させたところを発見した。
これは…これは…いい感じに罠にかかってるじゃないですか。僕がかけたわけじゃないけど簡単にやれそう。
僕は怪しい人の背後に回り、マントと黒い髪の毛の間、白い首に向かって短剣を突きつけようとした。
僕の隠蔽はほぼ完璧に近かった。しかしそれを上回る何かを使用していたようだ。黒い人は何かを感づき片手剣を背中から引き抜き、後ろを向いたまま僕の短剣を防御してきた。
キーン…片手剣と短剣がぶつかり鋭い音が周囲に響く。
そして次の僕と黒い人の言葉は同じだった。
「「君は何者だ?」」
と。僕は剣を合わせた時点で感じてしまった。この黒い人と僕の戦闘能力は、天と地のようにかけ離れていることが。通常、片手剣と短剣は片手剣の方が強い。リーチが長いという点や剣の重さの差などではない。
しかしそれではわからない何かがある。そう、ゲーム内にある威圧スキルではないなにかを使われたような感覚。威圧スキルを使用されると相手が全体的に大きく見えたり色彩に異常が出るらしい。しかし言葉が重く感じる。逆らったら一瞬にして殺られる。そんな意味がこもっているような感じ。
だから結論、なんて表現したらいいのかわからないけどゲーム意外の何かに自分が恐怖している感じ。
しばらく剣を合わせて無言だった。
最初に話を始めたのは黒い人だった。
「…………あの、剣を下ろしてもらってもいいですか?小さな暗殺者さん」
ここでも僕は恐怖する。背を向けたまま…何故、僕が暗殺者だとわかったのか?
疑問が疑問を呼び、その疑問を解決しようとすると恐怖を感じる。だって人間のごく一部だろ。アニメでも背後からの攻撃を鼻歌交じりに相手できるレベルで。
「僕がどうして暗殺者だとわかった?」
「背後から何の気配もなく、素早く背後から短剣を突きつけてくるのなんて暗殺者さんっぽいな、って思って…それで君はここで何をしているんですか?剥ぎ取りですか?」
「違う」
「それでは何ですか?」
「その前に貴様が何をしているか聞かせてもらおう?貴様、罠師か?」
「違う。僕はこの森にいると言われているエリアボスの居場所を探しているんだ」
エリアボスがこの森に?
エリアボスとは、よくあるRPG系ゲームだと中ボスって感じのボス。大きな森には一体いて、そいつらが落とすアイテム、ボスドロップ品はかなり強いと聞いている。ここにエリアボスがいるのか?
「俺は答えた。君は何をしているんだ?」
「僕は周囲の偵察だ。そこにある罠が森中に仕掛けてあって、小さな狼が怪我をしていたんだ。狩人が森の動物を狩っているなら、助けてあげたいと思っただけだ」
「そうか、とりあえず剣を互いに納めないか?」
「わかった」
僕は短剣をズボンのベルト部分に吊るした短剣ケースに納める。
黒い人も黒い剣を納めると、ゆっくり僕の方に振り返った。
顔立ちは綺麗に整っていて、カッコ良くもなく可愛くもなくちょうどいい普通人だ。
黒い普通人は心なしか笑顔だった。お、怒ってないのか…いや、これは笑顔だけどうちは黒いやつ。
この外見も中身も黒いヤツめ!とは言えず…
「すみません、怒ってますか?」
「いや、怒ってないよ。今度から気をつけろよ」
「はい、気をつけます」
「まぁ、道理で森の中にやたら罠が仕掛けてあるわけだ。けどこの罠の数じゃ、罠鼠の仕業だと思うが?」
「トラップマウス?」
「ああ、漢字で罠に鼠と書いてトラップマウス。してくることも名前通り、トラップをフィールドに仕掛けて、トラップに獲物がかかると集団で襲いかかってくる奴らだ」
そんなのいるんだ…
「外見は風呂敷を頭に巻いたネズミなんだ」
「可愛いですね」
「ああ、しかしその外見とは裏腹にレベルが高くなればなるほど、トラップの性能も格段と上がる」
「あれ、レベルってシステムありましたっけ?」
「あ、このゲームなかったね。個体によってはトラップの性能が周りの奴らと違ってスゲー凝ってるんだよ」
「それかかったことあるんですか?」
「いや、ないよ。一回、トラップにかかったパーティを見たことがあったから…わかるんだよ。彼女たちは「可愛い〜」とか言って追っかけてたけど、まんまと罠にかかってムシャられてたな」
「む、ムシャられる…」
「まぁ、そういうことだけど…君、1人で大丈夫か?もし良かったらだが、僕もこの辺りを探索してるから君も一緒に来る?」
黒い人は笑顔で僕に聞いてくる。
どうする?この黒い人が嘘をついているとは思っていないが、信用して良いのか微妙である。けど今の今まで罠にかからなっかったから問題ないだろう。
「多分、大丈夫です」
「そうか」
「それでは僕は失礼します」
そう、そう一言、言ってココの元に戻るつもりだった。
僕がまた陰の中に戻るため陰のそばに歩いて行く。すると予想外のことに…さっきまで歩いて大丈夫だったところがいつの間にか落とし穴と化していた。
ズボ…地面に足が沈む感触がする。
「え?」
僕は驚きに声が出る。そして次の瞬間、体が穴に吸い込まれるように消えて行くところだった。
パシッ!落とし穴に落ちかけていた僕の手を黒い人が掴んでくれていた。
「き、君、やっぱり俺と一緒に行動しよう」
こういう出来事があり、僕は何故か?黒い人と周囲を偵察することになった。
次回予告
偵察任務中に黒い人に出会い。ココと合流して森を抜けるまで一緒に探索することになった。
どっかの偉い人が言っていた言葉に「人は外見だけで判断するのではなく、中身を重要視するのだ」的なのあったけど。やっぱ第一印象が重要だと、この時僕は思った。
アレ…これじゃ次回予告になってないかなぁ…




