#57開店する1時間前
開店の1時間前。
店長は仕込み。私たちは着替えて店内の掃除をしている。3人でほうきを片手に埃や砂などを集める。ここでは中を見られても姿が映えるようにほうきを使っている。店長は「メイドさんってほうき持ってたほうが、可愛いじゃん!」と言っていた。誰も見る人はいないと思うけど…
「ペルさん、朝ごはんは何を食べましたか?」
「朝ごはんは昨日コンビニで買っておいたカレーパン2個とおむすび1つ」
「そうなんですか」
「キュウさんは何を食べましたか?」
「私はパンケーキを食べました」
わ、私よりもものすごい女子力の高い食べ物を朝から食べてるな…
「シロさんは何を食べましたか?」
「私は白米を三杯とハンバーグとサラダかな」
「あと唐揚げ棒25本」
私はシロさんの回答に後付けする。
「あ、朝からガッツリ食べてますね」
「そうかな〜」
とシロさんは照れているが、照れていい量ではないと私は思う。だって朝から唐揚げ棒を25本って唐揚げ棒1本あたり唐揚げが4つ刺さっているから唐揚げの個数は25×4=100…だから朝から100個の唐揚げを食べていることになる。もはや化け物並の胃袋を持つシロさんが笑いながら言う。
「2人ともあと50分後ぐらいで開店!意気込みのところはどう?」
「楽しみ!」
とキュウさん。
「頑張るよ…」
と私。
だって私、ボン、キュ、キュなのに人気ないもん。2人とは違って…
「あれ…ペルちゃん元気ないけどどうかしたの?」
シロさんが笑顔で聞いてくる。2人のスタイルが問題なのに…笑顔で聞いてきて。
「いや、2人はスタイル良くていいなぁ…って思っただけ」
「ペルちゃんも十分可愛いと思うよ」
とシロさん。
「そうです!ペルちゃんが一番可愛いと思います」
とキュウちゃん。
「そうかな」
なんか直接言われると恥ずかしい…
「そうです…」
「そうだよ…」
「「メイド服が似合い過ぎてて!」」
ちょっと待て!それスタイルと関係ないよね。
「2人ともそれスタイルと関係ない…」
「そんなわけでそろそろほうきとか片付けて接客の準備をしようか」
「OK!」
ちょ!私の質問はスルーか!
「けど結論、メイド服を着た女の子は可愛いってことだよ」
シロさんがほうきを片付けながら言う。
「そうですね〜」
とリナさんは言う。
つまり2人はスタイルではなく外見で話の体を進めているのか。
確かにメイド服を着た女の子は可愛いよ。けど私は外見ではなくスタイルについて言っているのに?あれ外見とスタイルってどう違うんだろう。外見って周りからの自分の姿とかだよね。スタイルって体の形だよね。
これらってどう違うんだろう。全く同じ気がしてきてならない。
日本語って難しい…
「とりあえずペルよ。自分の体に自信を持つのだ!そうでなければ魔王に倒されてしまうぞ!」
シロさんが鋭い声を出す。これは…乗った方がいいのか…
「ま、魔王…それはどのようなものなのだ?」
「魔王、それは人族や獣人族、エルフ族などの知識ありし種族に害をなす存在。人を殺し、村を占拠し…ありとあらゆるものを自身の欲と力で奪い去って来た者たち。そしてこれから来店されるのは魔王軍からの刺客の魔王軍であるぞ!」
「ま、魔王軍…だと」
「そうだ、魔王軍たちに抵抗してみよ。一瞬に服を剥ぎ取られてベットイン…だぞ!」
「な、なんと…」
「あの…2人はなんのお話をしているのですか?」
キュウちゃんが私とシロサンに恐る恐る伺う。確かにこれなんの話だ?これから来るご主人様たちを魔王軍というものに比喩したのか。
シロさんは質問されると笑顔で答える。
「私の次の小説のネタだよ!小説家という生き物は外界からネタと呼ばれる知識を吸収する能力を持っているんだよ」
なにその急な設定変更。今までの魔王ネタは実は小説のネタの一部でした!ってやつ。なにそれ流行ってるの?
「そうなんですか。シロさん、私もそのスキル入手出来ますか?」
「出来るよ。人間という生き物には元々備わっているけど、永きに渡り使われていないからスキル欄から消滅しちゃうんだよ」
平然と答えてるけどそんなスキル普通の人間にはないでしょ。
「そうなんですか!じゃあどうしたら蘇生できますか?」
蘇生…スキルを蘇生!なにそれ…蘇生って人に適応される単語だよね。スキルを蘇生って新手の能力か!
「まず、スキルの観察能力っていうスキルのランクを頑張ってAランクぐらいにまで上げる。あとは聞き耳スキルとかそこら辺の感覚を強化するスキルを上げれば自然と蘇生できるよ」
「なるほど!勉強になります」
そう言いながらキュウちゃんはメモ帳にメモを取っていく。
ちょっと。そんなことメモ取らなくていいでしょ。というかシロさんはなんていうデタラメな知識を与えてるの?私たちにスキルなんて存在しないからね。
「シロさん、他にどんなスキルがあるんですか?」
「他には…色々あるよ。例えば、店長。店長は調理スキルや指揮スキルなどを持っていると思うよ」
「本当ですか!あの変態のお父さんがですか!」
「うん」
「変態だなんてひどいじゃないか〜リナ!」
店長が調理室から飛び出してきた。お父さん、聞き耳スキル高い!
「本当のことじゃないですか。夕食のお味噌汁に媚薬を入れたり、お風呂に隠しカメラを仕掛けたり…」
ちょっと待って店長。自分の実の娘に何をしようとしてるの?
「待ってくれ、リナ。……これは罠だ!」
「はい、お父さんの罠ですね」
「違うんだぁ〜お父さんはただ娘とイチャイチャしたいだけなんだ〜」
「お父さん。今すぐ死ぬか、家族の縁を切ってから死ぬ。どっちが良いですか?」
ポキ…ポキ…リナさんは手を鳴らしながら言う。
あ。これは何度かお父さんがまた死ぬやつでしょ。
「リナとエッチなことし…て!」
そう、店長の悲鳴の10分後。お店は無事開店したのであった。
次回予告
開店すると嵐のように接客。
アニオタのお兄さんやアニオタの女の子などがたくさんやってきました。




