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#55最近の流行り

「あ〜疲れた〜」

 私は2人より先に着替え終わったので、お店のカウンタ席に座ってグダ〜ってしてた。正直、私は大変だった。だって6時になったら、お店に戻らなきゃいけないのに2人とも人混みの中にいて、見当たらないし…シロちゃんは男の人たちに祭り上げられてたし。キュウちゃんは迷子になってたし…

「ペルちゃん、ゴメンね…」

 キュウちゃんが私の頭を撫でながら言う。そうだよ…うん、私のキュウちゃんとシロちゃんを捜索する仕事の対価は、メイドさんとニャンニャンしないと割に合わんよ…

「別に大丈夫…早く家に帰ってゲームすれば回復する…はず…」

「そ、そうですか?」

「うん!ゲームの中でココくんを見ていれば自分の心が黒く染まる反面、精神的疲労は回復する!」

「ココくんってどんな人ですか?黒く染まるって悪者ですか?」

 ココくんが悪者…ではない。だが、悪い子になってしまうのなら私も悪者になってやろう。

「違うよ〜ココちゃんは私の弟だよ〜」

「ヒッ!シロちゃん、私の胸触らないでよ!」

 キュウちゃんを背後から抱きついて、胸を揉みながら言っているシロちゃんが容易に想像出来る。…あ、シロちゃんも着替え終わったんだ…

「2人とも着替え終わったの?」

「うん、着替え終わったよ」

 私が顔を上げると、私の右にキュウちゃん。左側にはシロちゃんが座っていた。アレ…胸触ってなかったんだ。キュウちゃんの声からして胸を揉んでると思ったのに。まぁ、そんな事どうでもいいや〜私は机から体を起こす。起こしている時に自分の足元に腕が伸びている事に気づいた。…誰の腕!後ろを見ると、何故か…何故か倒れた店長。というか怖!一瞬、ゾンビを連想させるほどの恐怖を覚えた…

「キュウちゃん…店長どうしたの?」

「え、あの…まぁ、盗撮カメラが隠してあったから、問い正した上で…ちょっと回し蹴りをしたら、あのような悲惨な状態になりました」

「そ、そうなんだ〜」

「それでこれからどうするの?」

 シロ…じゃなくて雪さん。やばい、シロですごい定着してた…危ない、危ない。雪さんが私たちの顔を見て言う。確かに…店長そこで死んでるけど、私たちどうするんだろう…

「それはだな…これから明日の事を話して解散だな!」

「うわ!お父さん…な、這いずってこないでよ」

「これが最近流行り?の這い寄り方だよ!」

「何それ…キモい」

 リナさんが「キモい」のところだけ小さく言う。ちょっと店長…

「店長…娘から「キモい」なんて言われてますよ」

「な、何だと!リナ…そんな言葉、どこで覚えたの…お父さんに教えなさい!」

 店長説教モード?まぁ、娘がそんな「キモい」なんていう汚い言葉を覚えちゃったら、少し怒るだろう…

「昨日、お父さんが見てた深夜アニメのヒロインの女の子。戦闘狂の主人公に力強く…「もう、あんたは何で、そうキモいのよ!」って言ってた」

 店長が原因じゃん!

「………」

「お父さん〜」

「…………」

 店長、言い訳思考中のようだ。私は普通にあまり使わないかな。だって周りにあまりキモい人いないし…

「リナ…あの台詞セリフはなぁ…あれは主人公はいつもかっこよくヒロインを守る。けど、主人公キャラには変なところ、いわゆるレアリティの高い性癖を持っている方が最近は良いんだよ。それであの深夜アニメは主人公は戦闘狂でドMな性格!っていう良い性格と悪い性格を持ち合わせた主人公が必要なんだよ!」

 戦闘狂もドMも良い性格じゃないと思う…

 というかそれサブキャラじゃない?

「店長さん」

 おーっと、ここで雪さんが口を挟む。い、嫌な予感がする…

「どうしましたか、シロさん?」

「店長さん〜最近は異世界転生ものの方が流行ってますよ」

「お父さん…最近の流行ってるもの違うらしいよ。つまり、そんなキモい主人公は今、旬じゃないんらしいよ…」

「何だと…時代遅れ…」

 雪さんって小説に詳しいのかな?

「雪さんって小説好きなの?」

「え、ペルちゃんに伝えてなかったっけ〜」

 …私、何か伝えられたっけ?記憶がない。

「何か伝えられたっけ?」

「じゃあ私の伝え忘れだね。私、小説家だから最近の旬とかに敏感なんだ〜」

 小説家…雪さんが…私、初知りだ。小説家っていわゆる作家さんと同じ捉え方で良いのかな?まぁ、小説を書いてる人だよね。それが雪さん…

「シロ様…何というペンネームで書いているのですか?」

 店長が雪さんに向かって跪く。え、店長の態度が急に変化していた。店長って小説好きなのかな?

「お、お父さん…態度変わりすぎ…」

 娘からも言われてる…

「私は…待雪まつゆきというペンネームで書いています」

「え…あの、ライトノベル作家として大人気の待雪先生ですか!」

 大人気ライトノベル作家…待雪…

「あ!」

 思い出した、待雪さん。8歳の私がライトノベルにのめり込んだ原因となった作品。『転生したらホワイトベアーになりました!』を手がけた作家さんだ。ホワイトベアーはこっちの世界で一番近い生き物はシロクマ。それが異世界で魔石を体内に持つ個体をホワイトベアーと呼ばれる魔獣。ホワイトベアーは人間を襲う事で有名で、見つけ次第…すぐに殺される運命だった。だがしかし、8歳でホワイトベアーに転生した女の子、雪…ってちょっと待って。仮に雪さんが作者なら自分の名前使ってんじゃん!

「ペルちゃん、どうかしましたか?」

 ここは当回しに聞いていこう。

「雪さん…もしかして8歳の時から小説を書いていましたか?」

「うん、8歳の時に新人賞を取って書籍化されたんだよ」

 これは…まさか。まさかね…

「その本の題名は『転生したらホワイトベアーになりました!』という本ですか?」

「うん!『転生したらホワイトベアーになりました!』だよ。この時の私って今も同じだけど、シロクマになりたかったんだよ〜けどそんな事、現実じゃ叶いっこないでしょ。だから私を主人公として書いてみた小説をお母さんに見せたら、「上手だから新人賞にでも応募してみよう〜」的な感じで応募したら、特賞に入って書籍化されたんだよ」

「…………」

 私は驚きのあまり…言葉を失う。だって…短に小説家。しかも私がライトノベルにハマる原因となる作品を書いた作者様がいる…いたと思うと言葉が口から出てこない。

 現実とは、こんなにも幸福で満たされていたのか〜私は現実に初めて感謝をした。

「シロちゃんってシロクマになりたいの?」

「うん!シロクマってなんか可愛いから〜なんかパンチとかされても憎めない可愛さがあるよねぇ〜」

「うん、シロクマさんって真っ白で可愛いよね〜」

 なんか雪様とリナさんが笑顔でシロクマ談義している中…私は驚きのあまり頭が真っ白になった。頭の思考回路に雪が降り積もったかのように真っ白…只今、再起動中状態。そして店長は放心状態になっていた…


「いや〜まさか、シロさんがあの待雪先生だったなんて思いもしませんでしたよ…」

 店長が料理を作りながら言う。

「そうですか?」

「はい、バイトの子が小説家さんって凄い感激です!」

 早くも店長が下手に出てる。私とリナさんはオレンジジュースを飲んで二人の会話を聞いていた。なんか長くなりそう…私は早く家に帰って、ミケに癒されて…ココくんに癒されて、明日に備えなければならないのだ!

「待雪先生の学園ラブコメ『スカートの中は何色?』をいつも楽しみに読んでます!」

「そうですか…ありがとうございます」

「あれはいつ頃から書き始めたのですか?書籍化されたのは1週間前ですが、あんなに面白い小説かなり前から考えていたのではないですか?」

「いや、あれは中学3年生の冬休みに考えたものです。冬休みが後、2日で終わっちゃう時に…「今年から高校生だ〜」って考えてたら、なんか楽しみになっちゃって、それで自分の青春ラブコメを想像したものを書いたんです…」

 なんか普段の雪さんじゃないみたい…なんか普段よりもしっかりしてる。もしかして普段の雪さんは仮初め?それとも多重人格者!

 まぁ、どうなんだろう…私は人の気持ちとか考えるのって苦手だからわからない…

次回予告

メイドカフェアニマルズがついにオープン!

キュウやシロは大人気!私はというと…


作者より

しばらくの間、投稿ペースが1週間に2回になります。楽しみに待っててください!

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